第17話-命の駆け引き-
少し考え込んでいると、私の足元に椿さんの頭が置いてあった。それは、寝ていた。ここは、そう思うと、私は気絶したことを思い出した。つまり、ここは病院なのだと。長い夢を見ていた気がする。あれから何日経ったのだろうか。私が眠っている間に何かが変わったのであろうか。そう思った。その時、ふと思った。あの少女は誰だったのか、と。私の心にはモヤモヤが残る。それと共に、窓に映り込んでいたのは、赤い髪が揺れる細く白い肌をもった少女が風に流されていた。その少女は一歩ずつ歩く。歩く足を見ているとふと止まった。そこは、屋上の端っこで。空は蒼然となっており、視界がぼんやりしている。気づけば足が動いていた。このルートは屋上への道だ、と思った。そして、私の病室には一人椿さんだけが残されていた。私は屋上にたどり着くと共に叫んだ。
「赤い彼岸花、それはあなたのことですよね」
私は勝手に言っていた。決して私の意志で発言したわけでは無い。これは何なのだ、と思う。少女はゆっくりとこちらに顔だけを向ける。そして、目があった。その瞳は真っ赤に燃え上がったかのような瞳だ。私は唾を飲み込むと共に汗が頭を使い流れてきた。私はものすごく焦っていたのだ。少女、彼女はこちらだけを見つめている。ただ、一点を。それは、私に向けられた視線ではない。私の背後に向けた瞳なのだと気づいた。私の背後に何かがある?またはいる?。私は一か八かで背後を見ることとした。震える足を動かす。この後何が待ち構えているのかがわからない。もしかすると死ぬのかもしれない。そう考えるほど私の脳内は死で埋め尽くされていく。苦しい、息さえもが難しい。
「ハァ、ハァ」
そして私は背後を見た。
「何もない」
そう言った次の瞬間、私は屋上から落ちた。背中を押された感触があった。その犯人は間違えなく少女だ。落ちると共に少女の瞳をみる。それは赤く先ほどよりも何倍も赤くなった瞳が映り出されていた。先ほどまであった私の背後のドアはいつの間にか消え、私の背後のフェンスさえもが消えていた。これも全て少女の仕業なのか?。考えるが、少女の不気味な笑い声が耳をよぎり考えることさえも困難だ。私、死ぬんだ。怖くはなかった。ただ、少し心が軽くなった。私はゆっくりと目を閉じる。この感覚、夢と同じ。私が夢の世界で命を落とす時と同じ感覚だ、と気づく。だが、これが本当に夢なのか、と言われると本当のとこわからない。ただ、強く体を打ちつけられたことだけが何も見えない暗闇の中で分かった。気づけば暗闇にいた。
「私、死んだのかな」
天国でもなく地獄でもない、ここはどこ。それだけが不思議であった。だが、小さな鳴き声が聞こえた。私はもう面倒ごとには巻き込まれたくない。なのに、勝手に体が動く。見捨てられない。声の聞こえる方へと歩いていく。
「や…めて…」
その声が聞こえた時、私は見知らぬ市場へといた。小さく幼い少女が苦しんでいた。体は刃物で傷つけられた後があり、腕も足も切り落とされていた。その光景を見ている市場の住民どもは喜んでいた。もっとやれ、殺せ、腹を刺せ、考えられないほどの苦しい言葉が私の心を支配した。助けないと、と思った私は腕を引っ張られた。その先にいたのはあの少女であった。
「あなた、私をよくも!」
私は一人感情的となっていた。少女は落ち着いた顔でこちらを見つめる。そしてすぐに落ち着いた口調で喋った。
「これは、顔の見えない少女だ。」
顔の見えない少女、それは夢の少女。その時ようやく我に返った私は侍どもに傷つけられている少女の顔を見る。ハッ、鶴野家。
「お前顔だけはいいから、顔の皮削いでやるよ」
そして周囲の地面には溢れんばかりの血が飛び散った。それから動かなくなった少女はそのまま紐に吊るされ捨てられた。その数分後、とても醜い小僧どもが来ると共に少女の遺体を持っていったのだ。私はついてゆく。その先で思いもしない行動が始まったのだ。人肉を喰う。少女は親族も親もおらず、食欲として引き取られたのだ。少女の肉は次々と引きちぎられ食べられる。そして骨を残し他全て肉、臓器を食べ、血を飲みほした頃に異変が起きた。それは、少女の肉を貪り食ったやつら全ての顔が少女の顔へと突如変化したのだ。それを君悪がり始めた人肉を喰う人間どもは醜く殺し合いを始めた。顔をナイフで切り裂いたりと次々と死んでいく中、最終的に一人の少女が生き残った。その少女は美しい顔へと変わりただ一人喜んでいました。そこからは時が早く進み、次見た時は、子を育てていました。その子ももちろんあの顔の見えない少女と同じ顔となっていました。そう、ここからが全ての始まりなのだ。母親が亡くなると子供は母親を喰う。喰うことによって、さらに顔立ちが良くなるのだ。そんな一族、鶴野家でもただ一つ、彼岸花を愛していた。
「次生まれてくる子は彼岸花のように美しく赤に染まった子供にしよう。」
そのために取られた行動と言うと、母親が普段から彼岸花の葉を食わせる。それであった。だが、彼岸花には約二十種類の有毒アルカロイドが含まれており、母親も子供も危ない状況へと変わっていきました。一族は悟りました。彼岸花の子を欲しい。ただ、その欲望だけが、一族を支配していたのです。そして、数日後母親と子供、両方命を落としました。亡くなった後、母親の腹から子供を取り上げた。その子供は一族が願っていた、赤く美しい瞳、髪を持っていました。そして神と讃えられた少女はミイラとされ、今でも残っているとか。それを聞いて思い出すことと言えば、おばあちゃんにここには神様がいる、と伝えられた覚えがあった。だが、一眼見ようと近づくも、すぐに追い出されました。あの時の中身はこの子供。私は考えるだけで腹から食べたものが出てきそうな感覚へと落ちた。
「母さん」
私の隣には赤く美しい髪と瞳をもつ少女がいる。つまり、あれはこの少女なのだろう。お母さんか、私もよく何を言われようとお母さんお母さんって言ってついて言ってたな。結局殴られるだけなのに。なんだが、あの頃がバカだったみたい。今考えると全てがなかったかのようにと感じる。私は少女を見る。少女も私を見る。
「私はもう死んでいます。だけど、成仏できませんでした。そのまま幽霊となり育っていった私に残されたものは何もなかった。あなたの体を私に貸して欲しいです。私の使命が果たせるまでの間、どうか私に命を捧げて欲しいです。」
その眼差しは一言で表すと言うならば、憎しみ、である。彼女の眼差しは開演した物語を閉演させる熱意がある。だけど、ここで体を貸していいのか、そこだけが分からなかった。
「…私が今幽霊として育っていけるのはね、四つの理由があるの。一つ目は、彼岸花。彼岸花の生命力を吸い取り生きている。二つ目は、顔の見えない少女の力。三つ目は、あなた。四つ目は、ミイラ」
少女の瞳に偽りの無い真実、と書いてあるかのように思えた。そして、私は一度頷き顔を上げると共に聞いた。
「あなたって、どう言う意味?」
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