第15話-エリカの花後々警察署
ふと目が覚めると、カバンに入れていたはずのエリカの髪飾りが足元に置いてあった。私はそれを拾うとともに、スマホを取り出して調べた。『エリカの花』それが私の何も無い道に光を差し込ませてくれる手がかりとなる気がしたからだ。そして私は見つけた。エリカの花の精霊が住み着いていると言う噂の場所を。私はただ鞄を手に取ると靴を履き走り始めた。その間は何も感じず、ただ必死に走り興奮していた。私は早く、1秒でも早く自分を取り戻したかった。悪の私の影から、私を救い出すために。
「着いた」
そこは私の想像を超えるほどの場所であったのだ。『エリカの花の展覧会』入場券を購入し終わると、私は中にへと足を踏み込んだ。周囲には溢れるほどの、エリカの花、エリカの絵、エリカのお土産、すごかった。そんな中で私は一つの物にへと体が引きつけられた。それは、私が持っているものと全く同じエリカの髪飾りであったのだ。私はそれに手を近づけようとした瞬間、警報器が発動した。周囲がざわつき始める。それとともに、私の周りには警備員が走ってき、そのまま連呼された。それからはあまり覚えていない。ただ、触ろうとしたことは謝るけど、盗もうとはしていないのに。事情聴取って言われたらカツ丼思い浮かべるけどさ、あのカツ丼って後からお金の請求書くるから食べたく無いし、本当に最悪だった。
「私、確かに手を近づけましたが、盗む気とかなんて一つもなかったし、ある意味悪く言えば、ただ持ってみたかっただけなんだよ」
そのうちゴリラのような警官は呆れながら交代を要請した。そして、ゴリラの先にいたのは、椿さんであった。私は驚くあまり、喉から心臓が飛び出るかと思いましたよ。そして入ってくると、目の前の椅子に腰掛け目を開けるとともに言ってきた。
「えーと、彩芽さんは盗む気なかったんだよね」
なぜか喉から声が出ない。緊張しすぎて、バレないか。いや、バレてるだろうけどさ。
「は、は〜い」
私の声はとても弱かった。まるで、さっきの警官はゴリラだったのに、今の警官は虎だ。恐ろしや恐ろしや、こんな奴に近づく奴などいないだろう。彩芽、自分の彼氏だろうとこれは戦争だ。ここで負ければ間違いなく窃盗犯として捕まっちまう。だけど、怖くて言い返せない。手やら足やら冷や汗がひどくてもうビチャビチャだ。あー、もう最悪。
「大丈夫?」
…大丈夫、か。大丈夫だったら今こんなに焦っていないんだろうな。だって、ただ自分の気持ち吐いて終わりだろうからね。なんでこうなるわけ?マジ分かんない。マジいや。それよりも、視線怖い。ホストしてた頃の椿さんのあの優しい瞳はどこへいったのー!
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