ひとりでできるもん!

「あのさ、俺男子高校生なんだよ? 犬どころかオオカミになっちゃうかもしんないよ?沙羅ママそのへんわかって言ってる?」



「なに言ってんのバカ! 悠君のバカ!」




もう食べたものを口から吹き出しそうなんですけど!

それなのに悠君は……。



「うわ。なにこのプリン、うまー!」



言いたいことだけ言って、食べたいだけ食べてもう食後のお楽しみに手をつけていた。



「こらっ、人の話を聞けっ! 重大な家族会議してんでしょ今! この場合デザートはあとまわし! ね、ママそうだよね?」



必死にママに同意を求めたのにママったら……。



「ね、そのプリン美味しいでしょ? 駅前のね……」



……もう、お話になりません。てか、話が前に進まない!



「ママはプリンじゃなくて、オオカミに対してリアクションしてよ!」



もうやだ。なんなのこの人たち。

息切れしてるのは私だけ。

ママと悠君はいつものごとく、仲良くスイーツ談義が始まってる。



「ママは悠君のこと信じてるもーん」



おっ、この台詞はママから悠君への圧力と捉えていいんだよね?



「それずるい!」



悠君はスプーンをくわえたまま表情は複雑そう。



「でもまぁ、いつかお嫁にもらってくれるならママのこと裏切ってくれて構わないけど」


「もらうもらう、嫁にもらうー!」



軽い。軽すぎるよ私の未来。



「ねぇ、私ってラスト一個のプリンみたいになってない? それに私はママの所有物じゃないからね!」



……なんでみんなこんななの。



「そう思うんなら自活自炊、できるでしょ?」



「そ、それは……」


ううう。


「心細いなら悠君に頼るしかないし」


「別に心細くなんか……」


ぐぬぬ。


「俺考えてやってもいいよ? 沙羅がどうしてもっていうんならね」


「なんでたまに上から目線なのよ」



まとまらない話し合いに業を煮やして、私は椅子から立ち上がった。



「大丈夫! 私ひとりでも大丈夫だから。悠君の世話にはならないもん。一週間でも二週間でもママがあっちにいても全然大丈夫だから!」



思わず啖呵切っちゃった。

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