第149話 私の彼はパイロット

久しぶりに外に出た恋次は楽しかった。


「あー。病院帰りたくない」


恋次がつぶやく。


「なんでお前だけ病院なんだろうな?」


百道が恋次に尋ねる。


「わかんないよ。

 百地くんも水面さんも帰れのいいなぁ」


「えへへへー

 いいだろー」


菜花が得意げに笑う。


「なんで菜花さんが得意げなの?」


恋次が口を尖らせる。


「私は自由だー」


菜花がビューンと走り出す。


「私も自由ーーー」


自由が走る。


ふたりが飛行機のごとくびゅんびゅんする。


「びゅーんびゅーん」


菜花と自由がなにかリズムを奏でる。


「私の彼はパイロットー」


百道は驚く。


「おい、恋次。

 お前はいつからパイロットになったんだよ?

 びっくりしたぞ」


「僕はその発言にびっくりだよ」


「なんでだ?

 お前ら付き合っているんじゃ……」


「え?そうなの?」


水面が驚く。


「僕は君たちにびっくりだよ」


恋次は驚くしかなかった。

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