第148話 いちごクレープ

恋次もなにかクレープを頼もうとキッチンカーの前に立つ。


「ちゃんちゃかちゃーん」


キッチンカーの男性が小さく笑う。


「え?」


「君は10000人目のお客様だよ」


「え?」


恋次は戸惑う。


「アレルギーはあるかい?」


「いえ、特には……」


「イチゴとバナナどっちが好きだい?」


「イチゴ」


「ヨーグルトとチョコレートどっちが好きだい?」


「チョコレートかな」


「では最後にコンフレークは好きかい?」


「はい」


「では、君にこれをプレゼントだ」


「それは……イチゴスペシャル!!!

 2500円!!」


水面が驚く。


「なに?水面さん食べる?」


「おっとそれには及ばない」


すると男性がニッコリと笑い。

全員分のイチゴスペシャルを用意した。


「いや、みんな。

 そんなお金持ってませんよ?」


恋次がそう言うと男は笑う。


「ははははは。君はこの奇跡がわかってないようだね。

 みんな僕からのささやかなお礼さ」


「え?」


「僕は吾郎。

 名前を軽く頭の隅っこに入れてくれるだけでいい」


「吾郎さん!ありがと!!」


自由はクレープに飛びつく。


「あ……」


十三が焦る。


「溶けないうちにどうぞ」


吾郎がそう言って笑った。

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