第9話 未来のチャンピョン

北へ。

南へ。

西へ。

東へ。


少年は走る。

少年の名前は百道。


将来の夢はボクシングチャンピオン。

目指すは一番星。


てっぺんだ。


とりあえず河川敷を走る。


泣いている男子と苦笑いを浮べている女子。


百道は悟った。


「アイツ、振られたんだな」


それが、思わず声に出る。


気にせずも持ちは走る。


子供に飛びつかれている学生と。

それを微笑みながら見る女子学生。


「ここも青春か」


百道は寂しくない。


「ぎゅいーーーん」


子供が百道にぶつかる。


「おっと大丈夫か?」


「ダメなの!百道!

 ここは『何処見て歩いているんだ!』って言わなきゃ!」


「なんでだよ」


「じゃないと恋に発展しないの」


「俺はロリコンじゃないぞ」


「自由は4歳なの。

 ロリコンの対象じゃないの!


少女の名前は自由。

元気いっぱいの幼稚園児だ。


「あの……」


恋次は声をかけようか迷った。


「うん?」


百道が首を傾げる。


「弱い者いじめはダメだよ」


「ああん?」


百道は眉をしかめる。


「そうなの!自由は百道の100倍強いの。

 でも、百道のほうが強いの!」


「え?知り合いなんですか?」


「ああ、知り合いだ」


百道はニッコリと笑った。

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