第10話 釣りはいらないぜ

「百道くんごめんね。

 今日も自由が迷惑をかけて……」


そういって優男が現れる。

優男の名前は久留里十三。

歳は32歳。

バツなし子持ち。


ちなみに高校教師をしている。


「気にすんな!

 十三さんには恩があっから大丈夫!」


「それこそ気にしなくていいよ」


十三がニッコリと笑う。


「えっとおふたりさんは知り合い?」


恋次が首を傾げる。


「おっと俺の名前は桜庭百道。

 こっちの優男が久留里十三さん。

 高校教師だ。

 すごく強いんだぜ?」


「え?そうなんですか?」


百道の言葉に恋次が驚く。


「強くないよ」


十三が笑う。


「ちょっと百道!自由の紹介は?」


自由が頬を膨らませる。


「このちびっこは自由」


「自由なの!自由な自由なの!女神なの!

 えっへん。偉いの!崇めるの!どんぐりを差し出すの!」


自由の言葉に恋次は戸惑う。


「松ぼっくりでもいい?」


恋次はとっさに出た言葉がそうだった。


「お釣りは出ないの」


自由の目がそれだけで輝いた。


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