第5話 フランシーヌの場合
恋次はラジオを聞きながら豚キムチチャーハンを食べながら思う。
「僕は豚キムチを頼んだような」
「ご飯は愛だよ」
「そっか」
ラジオを付けたのはなんとなくテレビよりかっこいいかな?と思ったからだ。
そして懐かしいメロディーとして流れた歌。
それがフランシーヌの場合だ。
「フランテーヌって誰だろ……?」
聖子が首をかしげる。
「フランシーヌって言ってるんじゃないかな?」
「誰?有名人?教科書に載ってる?」
「教科書に載っているかはわかんないけど。
有名人でもないけれど……
世界を変えようとした人だよ」
「世界を変える?」
「うん、僕も詳しくは知らないんだけど。
当時あった戦争で食料や物資を止められて亡くなった人がたくさんいたんだ。
それが国際問題になってその事実を知って心を痛めた人がフランシーヌさん」
「歌っている人?」
「違うよ。
フランシーヌさんはこれは良くないって抗議の意味を込めてパリの路上で焼身自殺したんだ」
「え?焼身自殺?」
「うん」
恋次は思った。
空気が重くなってしまった。
話題をそらさなくちゃ……
そう思った。
「でも、どうしてそんな人がおばかさんなの?」
「え?」
「出だしは、フランシーヌはおばかさんって言ってなかった?」
「そのへんは僕にもわかんないけど。
自分がそんなことをしても世界は変わらないって思っているけど行動したからじゃないかな」
「怖かっただろうな」
「うん」
「戦争なくなると良いね」
「うん」
恋次は「うん」しか言えない。
情けないなって思った。
「ふぅ、お腹いっぱい」
聖子は満足そうに言った。
「そうだね。お腹いっぱい」
「恋次さ。ほんと女子並みに食べないよね」
「え?」
「なのにそのお腹……」
「まぁ、動かないから太るんだろうな」
「うごけうごけ。
このあと一緒にタマの散歩する?」
「うん」
もう終わりにしないとと思う心とまだ一緒にいたいという。
まるで天使と悪魔が心のなかで言い合いをしてりうような気持ちになる。
こういう現象のことを心理学でパートということをふたりはまだ知ることはない。
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