第4話 354日のひとりぼっち
364日のひとりぼっち。
1日は誰かと一緒にいてもいい。
そんな彼は尽くしたい系男子。
尽くしたい系男子は異性に持てない。
恋次はそう思った。
ああ、そうだった。
周りの男友達は攻めて女の子を口説いている。
自分はどうだ?
好きな人ができてその人に好きな人ができたら応援してしまう。
応援すればするほど好きになるのに……
ずっと聖子に片思い。
10年以上片思い。
そんな彼が唯一、聖子を独り占めできる日があった。
それは恋次の父親の命日だ。
恋次の母親は仕事で忙しい。
なのでずっとひとりの恋次。
毎日誰かに甘えたい。
でも甘えることなど許されない。
甘えても誰も応じてくれない。
甘えが許される存在でもない。
「甘えてもいいんだよ」
聖子が恋次に言った言葉。
でも甘えることなど許されない。
「じゃ1年に1日だけ私に甘えていいよ」
でもいつまでも許されるモノじゃない。
小学生だった恋次はもう高校生になる。
恋次はこの甘えてもいい日を終わりにしよう。
そう思った。
「今日は何食べたい?」
聖子がそう言ってエプロンをつける。
「豚キムチ」
恋次は豚キムチは好きでも嫌いでもない。
そのうえ食べたいわけでもない。
「……覚悟はできているの?」
「え?」
なんの覚悟だろう。
恋次は不安になる。
「私のキムチはからいよ?」
「……そうなの?」
「痔になるよ?」
恋次は痔になることなど気にしない。
だって恋次はもう痔なのだから。
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