第35話 五條勝弘
日曜日の朝、
そうか
火曜日の夜は、僕の番だ
お父さん、がんばっているだろ
うん、そうだね
日向は落ち込んでいるようである。
日向の父親は、パソコンを操作しているが
博人もパソコンを操作して、祓い屋の検索をしている。
そして、
祓い屋の中でも実力者であるらしい。
博人は清純に電話してみる
「小池さんの電話ですか。」
「はい、そうですが。」
「お祓いをお願いできませんか。」
「まずは名前を教えてくれんかの。」
「松本博人です。」
「何があった。」
「友だち4人と肝試しに行きました、
そこで呪われてしまったのです。」
「詳しく話してくれんか。」
「玄関に入ると黒い影がありました、
そして居間に行くとソファーが飛ん
できて、台所では包丁が飛んできま
した。」
「そして、一番奥の部屋で若い女の翳
りのある声が言聞えて来たのだろ
う。」
「いいえ、違います。」
「そうか、勘違いか。」
「確かに一番奥の部屋に来ました。」
「そこで何があった。」
「少女の声が聞えてきました。」
「なんと言っていた。」
「最初はお前、次はお前、その次はお
前、最後にお前と言っていまし
た。」
「博人君は何番目かな。」
「最後です。」
「これまでに何かしたか。」
「お祓いを2回、除霊を1回しまし
た。」
「失敗したんじゃな。」
「そうです。」
清純は赤壁の家のような状態に冷や汗が滲む。
「除霊をしたのは誰じゃ。」
「
「嘘じゃろ、あ奴はわしより力がある
ぞ、生きているのか。」
「入ったきり出てきていません。」
「そうか、死んでおるな、まるで赤壁
の家のようじゃ。」
「僕が話しているのは赤壁の家で
す。」
「おかしいのう、怨霊は若い女のはず
じゃ。」
「僕たちは少女の声でした。」
「どちらにしろ、わしには手におえ
ん、すまない。」
「誰か祓い屋を知りませんか。」
「わしはあれに対処できる祓い屋を知
らん。」
「そうですか、何か方法はありません
か。」
「呪い屋はどうじゃ、呪いに関しては
専門家じゃぞ。」
「分かりました、ありがとうございま
す。」
清純は頭を振る、赤壁の家は何とかしないといけないが自分にはその力がない。
既に80歳を超えているのだ、若い頃なら何とかなったかもしてないが、老いがそれを許さない。
博人は日向の父親に電話する
「博人です、お話よろしいですか。」
「博人君か何かあったかな。」
「僕は、祓い屋の小林清純さんに電話
しました。」
「仕事を受けてもらえたのか。」
「いいえ、自分では力不足だと言って
いました。」
「そうか。」
「でも、赤壁の家についてよく知って
見えました。」
「何か情報があったんだね。」
「はい、呪い屋に当たってみてはと言
うことでした。」
「呪い屋。」
「呪いの専門家だそうです。」
「そうか、探してみるよ、君もいい情
報があったら知らせてくれ。」
日向の父親はやる気を取り戻す。
月曜日の朝、日向と博人が登校する。
さくら、
「大和はどうしたの。」
博人が答える
「大和は死んだよ。」
さくらたち3人は動揺して
「嘘でしょ。」
「本当だよ。」
日向と博人が肩を落とす。
さくらが聞く
「何もしなかったの。」
「したよ、除霊をしてもらったん
だ。」
「どうなったの。」
「失敗した、信泉さんは赤壁の家から
出てきていないんだ。」
「それって。」
「たぶん、死んでいる。」
さくらは言葉を失くす。
既に赤壁の家のために5人死んでいることになる。
その頃、
離れでは
「宇久井信泉は目を付けていた祓い屋
ですよ。」
「はいそうです、実力も私の知る限り最高かと思います。」
「
「はい、沙也加の場合、たすくが付い
ていますから。」
「そうですね、何があったのです。」
「赤壁の家の除霊を行ったそうで
す。」
「あそこは沙也加が怨霊を除霊してい
ますよ。」
「そうですが、いまだに黒い影やポル
ターガイストがあるそうです。」
「そうなんですか。」
「おそらく怨霊も復活していると思わ
れます。」
「皆に連絡して、赤壁の家の依頼は受
けてはいけません、そして依頼があ
ったら連絡するように徹底してくだ
さい。」
「分かりました。」
美月は、沙也加が撃ち漏らすはずはない、あそこには何かあるに違いないと考える。
朝のホームルームで担任が大和の死を伝える。
クラスは、洋に続く大和の死に動揺する。
午前中は授業にならない。
昼休み、日向と博人は話す
「お父さん、呪い屋の方はどお。」
「分からない、昨日遅くまで探してい
たみたい。」
さくらが割り込む
「呪い屋って何。」
「呪いの専門家だよ。」
「呪いを解いてもらうの。」
「分からない、まだ呪い屋が見つから
ないんだ。」
「そうなの。」
さくらは気にしているようだ。
放課後、日向と博人は一緒に帰る。
日向は言う
「帰り寄っていかないか。」
「いいよ。」
「お父さんと話をしてもらいたいと思
うんだ。」
「分かったけど、電話でいいんじゃな
い。」
「それはそうだけど、細かいことは会
って話さないといけないよ。」
「分かったよ。」
博人は答える。
日向の家につく
「ただいま。」
「お邪魔します。」
日向たちは家に入る。
居間に日向の父親がいる
「いらっしゃい、博人君。」
「呪い屋はどうですか。」
「まだ見つかっていない。」
「やはり、呪い屋は人を呪うのが仕事
ですね。」
「そうなんだ、人を守るとなるとほと
んど依頼を受けてくれない。」
「少しは、いるのですね。」
「ああ、だが赤壁の家となると断られ
てしまう。」
「そうですか。」
博人は呪い屋を雇うのは難しいのではないかと考える。
博人は帰宅すると母親に電話をする
「博人、元気にしている。」
「それなんだけど、金曜日の夕方帰っ
て来れない、お父さんと。」
「何かあったの。」
「金曜日の夜、俺死ぬんだ。」
「何を言っているの。」
「もう、
母親は青くなる
「何が起きているのか説明して。」
「俺たち4人で肝試しをしたんだ。」
「まさか赤壁の家に行ったの。」
「そう、それで呪われてしまったん
だ。」
「何をやっているの。」
母親は思わず興奮してしまう
「落ち着いて。」
「そうね。」
「俺たちは玄関で黒い影を見て、居間
に行ったらポルターガイストに遭っ
た、そして台所では包丁が飛んでき
た。」
「なぜ、逃げないのよ。」
母親は泣きだしそうになる
「そして、一番奥の部屋に入ったん
だ。」
「何があったの。」
「頭の中に少女の声が聞えて来たん
だ。」
「なんていったの。」
「最初はお前、次はお前、その次はお
前、最後にお前と言っていった。」
「博人は何番目。」
「最後だよ。」
「日向君は無事なのね。」
「ああ、でも明日の夜、死ぬよ。」
「なんてことなの、何もしないでいる
の。」
「お祓いを2回したよ。」
「そうなの。」
「でも、2回とも和尚様が死んでしま
った。」
「何それ。」
母親は震える。
「それから、赤壁の家に除霊しに行っ
たんだ。」
「どうだった。」
「祓い屋の人、入ったきり出てこなか
った、たぶん死んでいるよ。」
「どうしたらいいの。」
「今、日向のお父さんと俺で呪い屋を
探しているんだ。」
「呪い屋って。」
「呪いの専門家だよ。」
「分かったわ、お父さんに話して金曜
日に帰るからね。」
「最後に合えるならうれしいよ。」
「そんなことを言わないで。」
母親はどうしたらいいのか分からない。
夕方、博人の母親の元に父親が帰って来る。
母親はいきなり
「金曜日に家に帰りましょ。」
「急にどうしたんだ。」
「博人が死んでしまうの。」
母親は泣きだす。
父親は彼女をなだめてから話を聞く
「博人たち4人で赤壁の家に行って呪
われてしまったの。」
「何を言っているんだ。」
「もう洋君と大和君が死んでいるそう
よ。」
父親は博人に話を聞くことにする。
彼は博人に電話する
「博人、何が起こっているんだ。」
「俺たち4人は肝試しをして呪われて
しまったんだ。」
「それは聞いている、どうして呪われ
るんだ。」
「わからないけど、一番奥の部屋に行
ったら少女の声が頭の中に聞こえ
た。」
「なんて、言っていた。」
「最初はお前、次はお前、その次はお
前、最後にお前と言っていた。」
「お前は何番目だ。」
「最後だよ。」
「何とかできないのか。」
「お祓いを2回した。」
「それなら大丈夫だろ。」
「お祓いをしてくれた和尚様は2人と
も死んでしまったよ。」
父親は言葉に詰まる
「そうか。」
「それから除霊を頼んだけど、その人
は赤壁の家に入ったきり出てこなか
った、たぶん死んでいると思う。」
「私に何かできないか。」
「無いと思う、今は日向のお父さんと
呪い屋を探している。」
「分かった、お父さんの方でも探して
みる、金曜日には帰るよ。」
「ありがとう、お父さん。」
博人は死ぬとき1人にならずに済むことに安心する。
火曜日の朝、日向と博人が登校する。
さくらが2人に話しかけてくる
「呪い屋は見つかった。」
「いや、まだだ。」
「どうして見つからないの。」
「呪い屋は呪う方が主で人を守ること
はあまりしないようなんだ。」
「でも、守れる人もいるのでしょ。」
「そうだけど、赤壁の家となるとみん
な断られているんだ。」
「そうなんだ。」
さくらが落ち込んでいるように見える。
昨日とは変わってクラスは落ち着きを取り戻している。
昼休み、日向に父親から連絡がある。
日向が電話にでると明るい声で父親が
「日向、見つかったぞ。」
「呪い屋のこと。」
「決まっているじゃないか。」
「ありがとう、お父さん。」
日向も喜ぶ。
日向が博人に言う
「呪い屋、見つかったよ。」
「それは良かった。」
博人も喜ぶ。
日向の父親は
「木村と言います、息子を呪いから守
って欲しいのですが。」
「どのような呪いですか。」
「赤壁の家に行って呪われてしまった
のです。」
「お祓いはしたのですか。」
「はい、2回しましたが和尚様が2人
死んでいます。」
「ほかにはどうですか。」
「除霊を頼みました。」
「どうなりました。」
「赤壁の家に入ったまま出てきません
でした。」
勝弘は青くなる
「そうですか相当強力な怨霊の呪いで
すね。」
「はい。」
勝弘は危ない仕事は受けないことにしていたが、この仕事は五條樹が失敗した赤壁の家の呪いである。
自分を破門した五條家を見返す良い機会である。
「分かりました、息子さんは私が守っ
て見せます、呪いも撃退しましょ
う。」
「お願いします。」
こうして勝弘は赤壁の家に関わることになる。
放課後、日向と博人は一緒に帰る。
そして、日向の家に着く。
日向の父親が出迎える
「博人君見つかったよ。」
「日向から聞きました、なんていう人
ですか。」
「五條勝弘と言う人だよ。」
「これで安心ですね。」
「君ももう大丈夫だよ。」
「はい。」
日向の父親は機嫌が良い。
博人は家に帰ると五條について調べ始める。
五條は古くから続く呪いの家系で呪い屋の世界では一流らしい。
博人は安心する。
午後7時、日向の家に五條勝弘が訪れる。
勝弘は父親に言う
「こんばんは、さっそく準備を始めて
よいですか。」
「お願いします。」
勝弘は日向の部屋へ行き、ベットをどかし、円を描き中に文字のような模様を描く。
彼は陣を完成させると陣の周りに小さな円を描き中に文字のような模様を描く。
この小さな円をいくつか描き、陣の周りは小さな円に囲まれる。
父親は勝弘に聞く
「これは何ですか。」
「真ん中の大きな円は陣であの中で呪
いから守ります、小さな円は呪い撃
退用のものです。」
「これで息子を守るのですね。」
「はい、呪いも消え去るはずです。」
父親は納得する。
そして、日向と勝弘は陣の中に入る。
居間では両親が待つ。
母親は言う
「大丈夫よね。」
「きっと大丈夫だよ。」
「失敗続きだから心配で。」
「日向は助かるよ。」
父親が言う。
日向の部屋では勝弘が日向に言う
「この中にいる時は声を出してはいけ
ないよ。」
「はい。」
「声を出すと呪いに気づかれるから
ね。」
「分かりました。」
日向は答える。
居間で両親は息子の無事を願っている。
午後10時頃、日向の部屋の床に黒い穴が開く。
穴から2本の手が出てくる、手は青白く小学生の高学年くらいの小さな手である。
穴から引き続き腕がズルズルと出てくる、短く細い腕だ
手はビタビタと穴の周りを探る。
日向は叫びたくなるのを押さえる。
勝弘は呪いを見ることが出来ないので首に呪いを見ることが出来る呪具をかけて見ている。
日向は体が動かなくなる。
呪いは止まらずズルズルと出続ける、黒髪のおかっぱ頭が出てくる。
顔は少女の顔をしているが青白く、目は黒い虚空になっている。
口は半開きで
「ああああああ」
とうめき声を出す。
勝弘は呪いの禍々しさに青くなる。
さらに肩、胸と続けて出てくる。
少女の形をした呪いは足まで穴から出る。
呪いは立つことも四つん這いになることもなく腹ばいのまま這いずり回る。
呪いは日向の正確な位置が分からないのだ。
しかし、諦めることなくズルズルと緩慢な動きで這いずり回る。
そのうち、呪いは小さな陣に触れる。
呪いは痙攣するようにのたうつ。
勝弘はこのまま消え去れと思う。
しかし、呪いは陣を描いた床を見るとバリッと音を立て床が割れる。
勝弘は驚く、呪いが物体に干渉したのだ。
彼は自分が実力以上の化け物を相手にしていることを知る。
冷や汗がにじみ出てくる。
床にもう1つ黒い穴が開く。
穴から2本の手が出てくる、続けてズルズルと腕が出てくる。
勝弘は自分も呪われたことを理解する
呪いは止まらずズルズルと出続ける、黒髪のおかっぱ頭が出てくる。
そして、少女の形をした呪いは足まで穴から出る。
呪いは立つことも四つん這いになることもなく腹ばいのまま這いずり回る。
日向の部屋には2体の呪いがはずりまわっている。
日向は恐怖のあまり顔は歪み目から涙が流れる。
勝弘も体が動かなくなっている。
また1つ小さな陣が壊される。
日向の呪いが陣にたどり着く。
陣に入れず、手でビタビタとと叩く。
そのうち右手が陣の中に入る。
勝弘は驚く陣が破られたのだ。
彼は死を覚悟する。
日向の呪いはズルズルと陣の中に入って来る。
手が日向の足に触れる、手は冷水のように冷たい。
呪いの手が彼の足を掴む、さらに体に掴まりながらズルズルと上がって来る。
そして、呪いの頭が彼の顔の所へ来る。
黒い虚空の目が彼を見る。
日向は魂を抜かれるように倒れる。
居間にいる両親にドサッと音が聞こえる。
両親は日向の部屋に駆け付ける。
勝弘の呪いが陣にぶつかり、ビタビタと手で陣を叩く。
そのうち、左手が陣の中に入る。
呪いが陣の中にズルズルと入って来る。
手が彼の足に触れる、手は冷水のように冷たい。
呪いの手が彼の足を掴む、さらに体に掴まりながらズルズルと上がって来る
勝弘の顔が恐怖に歪む。
その時、両親がドアを開ける。
両親は日向が床に倒れ、勝弘の顔が恐怖に歪んでいるところを見る。
呪いの頭が勝弘の顔の所へ来る。
黒い虚空の目が彼を見る。
彼は魂を抜かれるように倒れる。
父親は救護隊に連絡する。
両親は惨状に
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