第19話 迷惑な霊
みおは時間を見つけては、霊能者を訪ねて歩く、しかし霊をることのできる霊能者に会えずにいる。
彼女は
弟子入りを願い出ると
「お嬢ちゃんは何で除霊を学びたいん
だい。」
「私は4人の友だちを呪い殺されまし
た、その時、多くの人が死にまし
た。」
「かたき討ちかい。」
「いいえ。」
「その時、呪いが見えていたのに何も
できませんでした。」
「出来なくて当然じゃよ。」
「でも、無力さを感じました、あんな
思いはもうたくさんです。」
「どんな呪いかい。」
「赤壁の家という所で受ける呪いで
す、祓い屋は誰もかないませんでし
た。」
「そうか、わしのその一人じゃ。」
「えっ、そうなんですか、
の前に2人祓い屋を雇ったと聞きま
した。」
「わしはそれじゃ、
した。」
「除霊中に亡くなられました。」
「そうかあやつでまで・・・」
「弟子にしてくれませんか。」
「わしはもう年じゃ、それに祓い屋な
んぞになるもんじゃない。」
「お願いします。」
「除霊は命がけじゃ、やめておけ。」
「何とか、お願いします。」
「まだ若いから、まともな道を歩みな
さい。」
清純はみおの願いを断る。
みおたちは高校3年生である。
大学受験のシーズンが近づいて来る。
みおは遠くの大学を選ぶ、彼女はこの町から離れたかったのである。
早苗、彩、恵子、咲子の4人は自宅から通える大学に合格する。
彩と恵子は同じ大学である。
みおは
町には簡単に帰って来れない遠い所にある。
早苗、彩、恵子、咲子の4人はみおと別れるのを嫌がっていたが、みおの意思は固い。
みおはさっそく下宿先のアパートを探す。
彼女は事故物件を漁った。
部屋を見る時、間取りなどの他に危なそうな霊が居ないかチェックする。
中には黒い
そして、東海市にあるアパートを訪れる、部屋中には首を吊った男性の霊がいる。
みおは不動産業者に
「前に住人、首を吊ったの。」
「なぜわかるのですか。」
「内緒。」
「ここはだめですか。」
「もう少し安ければ考えてもいい
わ。」
「わかりました、これでどうです
か。」
「はい、お願いします。」
みおは家賃を値切りアパートを決める。
4月になり大学生活が始まる。
順調な滑り出しである。
しかし、2週間ほどして問題が起こる。
着替え中や風呂に入って来る時に霊が現れるのだ。
それは猫背の中年男の霊である。
何かするわけではないが女子として許せない。
みおは再び霊能者を探す、しかし、霊を見ることのできるものは見つからない。
小池清純に頼むことを考えたが老体にこんな遠方まで来てもらうわけにはいかない。
彼女は探偵を雇って霊能者を探してもらおうかとも考える。
そんな中、学部で噂を耳にする探偵の助手をしている学生がいるという。
みおは噂の助手が誰か友人に聞いて回る、助手は意外に近くにいた。
しかし、彼は講義を休むことも多い。
講義が休校となりみおは図書館に本でも読もうとして行く。
そこにはレポートを書いている中野たすくがいる。
みおは話しかける
「中野君、探偵事務所でバイトしてい
るんだって。」
「そうだけど。」
「相談があるんだけど、私、幽霊とか
見えるんだ、変なこと言っていると
思わないでよ。」
「まあ、僕も見える人知っているから
大丈夫だよ。」
「そうなんだ、それで相談なんだけど
ストーカーする霊がいて困っている
の。」
「霊てどこでもいるんじゃないの。」
「違うわ、着替えやお風呂覗いたりす
るのよ。」
中野がみおを見ながら赤い顔をする。
彼女はこいつスケベだと思いながら
「今、想像したでしょ、ダメよ。」
と注意する。
中野はバツが悪そうに聞いてくる
「それで、幽霊のストーカーと探偵が
どうつながるの。」
「お祓いしてくれるところ探したんだ
けど、みんな口ばかりで偽物ばかり
なのよ。」
「で、本当に除霊してくれる人を探し
たいということ。」
「その通りよ。」
「なら、バイト先の探偵している人、
そういうの得意だから紹介する
よ。」
「ありがとう、中野君。」
みおは午後、中野がバイトへ行く時、一緒に行き紹介してもらうことになる。
事務所の中には妙齢の女性が1人いる。
彼女はみおと中野を見るなり
「今日は彼女連れなの。」
とげのある言い方をする
「違いますよ、お客さんです。」
中野は言い訳をする。
みおには二人がただの探偵と助手の関係に思えない。
とりあえず、自己紹介をする
「中野君と同じ大学の
す、相談があってきました。」
「たすくとは何でもないのね。」
「はい?」
「いいわ、相談を聞きます。」
みおは中野との関係を疑われていると感じる。
さらにこの女所長は中野が好きらしい、しかし中野は気づいていないようだ。
彼女は事情を説明する
「私はアパートに下宿しているんです
けど、幽霊に着替えやお風呂覗かれ
るんです。」
「どうしてわかるの。」
「私、霊が見えるんです。」
「じゃあ、この事務所にいるかし
ら。」
みおは事務所を見渡すが霊の姿はない
「いません、そういえば変ですね、全
く見当たらないです。」
「私がいるからよ。」
どうもこの女所長が除霊ををしてしまうらしい。
女所長はみおに
「私は
けるわ。」
「ありがとうございます。」
「依頼料払えるでしょうね。」
「はい、払います。」
古馬はお金に厳しいようだ。
みおは2人を下宿先のアパートに案内する。
アパートに着くと古馬は中野と腕を組む。
みおは古馬が何かに張り合っているように思える。
みおの部屋は2階にある。
2階に上がると通路の突き当りに黒い霊の塊がいる
ここ2日ほど前からあそこにいるがだんだん大きくなっている気がする。
中野が言う
「あれ危ないですよね。」
「そうね、消しましょ。」
古馬は答える。
みおは中野に霊が見えていることに驚き思わず
「中野君にも見えるの。」
と声に出す。
すると古馬は手品のように水で出来た刃を作り出し、黒い霊の塊に投げつける。
黒い霊の塊は水の刃に切り裂かれ消え去る。
みおは除霊を始めてみて感動するとともに古馬が本物であることを確信する。
みおの中で古馬が沙也加さんに変わる。
みおは中野に聞く
「中野君、霊が見えないんじゃなかっ
たの。」
「沙也加さんと手をつなぐと見えるん
だ、視覚の共有てやつかな。」
「じゃあ、私と手をつないでも見える
かもね。」
「どうかな。」
試しに手をつないだら沙也加さんが怒るだろう。
みおの部屋は203号室である。
玄関の前には老人の霊が立っている。
彼女は無視し、玄関ドアを開ける。
中野が部屋の中を見ると驚いたように
「うわっ」
と叫ぶ
「これくらいで驚いてたらだめよ。」
沙也加さんが中野に注意する。
みおは説明する
「ここは事故物件なの、前の住人が首
つり自殺したのよ。」
沙也加さんが聞く
「問題の霊は一条さんが着替えをした
り、風呂に入ると出てくるのね。」
「そうです、普段は姿を見せませ
ん。」
みおは答える。
中野はボーッと立っている。
みおは「今から着替えるのに中野君見るつもりかしら」と思う。
沙也加さんも中野を見ている。
「僕がどうかしましたか、一条さん着
替えをして霊を誘き出すんですよ
ね。」
中野は空気を読まずに堂々と聞く。
みおは鈍感男とむかつく。
そして沙也加さんが中野に目隠しをする。
みおは着替えを始める。
下着姿になると、部屋の壁から湧き出るように猫背の中年男の霊が出てくる
「こいつです、ストーカーです。」
みおは指さす
「わかったわ。」
沙也加さんは、ペットボトルから水を出す、しかし、手から流れ落ちることなく刀を形作っていく。
そして水の刀ができると中年男の霊を切り裂き消し去る。
「これでいなくなったわ。」
「終わったんですね。」
「ええ。」
みおは安心する。
中野が聞く
「終わったなら目隠し外してもいいで
すか。」
「中野君のエッチ、だめよ!」
みおは「こいつ、分かっていてやっているの、スケベな奴」と思う。
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