第16話 祖父の話
水曜日の朝、
「おはよう。」
「おはよう。」
「お父さん夜、寝ていた。」
「ええ、昨日はよく寝ていたみたいだ
よ。」
「よかった。」
「ありがとう、みおのおかげだよ。」
「私何もしいてないよ。」
「泣いておいて。」
「それは勢いで・・・」
「みおが私たちのこと心配してくれて
うれしいよ。」
「どういたしまして。」
みおは照れる。
教室に行くとみおに
「みお、最近、つ・め・た・い。」
「咲子どうしたの。」
「だって、葵にかまってばっかだも
ん。」
「そんなことないよ。」
「そんなことあります、私も仲間に入
れて。」
みおは咲子を巻き込む訳にはいかなかった。
友だちを失くすかもしてないという思いをするのは自分1人で十分である
「
「いるけど・・・」
「落ち着いたら、葵も早苗たちと仲良
くして欲しいの。」
「分かるよ。」
「そのために手をまわして欲しいの、
咲子にしか頼めないわ。」
「うん、承りました。」
咲子が離れてゆく。
みおは咲子をだましているようで心が痛む。
朝のホームルームは何事もなく終わるが、クラスは沈んだままである。
立て続けにクラスメートが3人も亡くなっているのだ。
午前中の授業を終え、昼休みになる。
葵がみおに話しかける
「お父さん、今日も出かけている
よ。」
「
「そうみたい。」
「いい情報、得られるといいね。」
「うん。」
2人は
水曜日の朝早く高志は出かける。
今日は加賀ひなの祖父母に会うつもりだ。
彼は午前中に祖父母の家に着く
「
せん。」
祖父が応対する
「何の用ですか。」
「お孫さんの加賀ひなさんのことにつ
いて来ました。」
「もう孫ではありません、両親と一緒
に勘当しています。」
「知っていることだけでいいです。」
「もう、関係のないことです。」
「では、お話を聞いていただけません
か。」
「あんた、しつこいぞ。」
「私たちには命がかかっているんで
す、引き下がれません。」
「どういうことだね。」
「お孫さんは怨霊になっています。」
祖父の顔が青くなる
「怨霊だと死んだことは知っていた
が・・・」
「私と娘は死の呪いにかけられていま
す。」
「あれは死んでまでも人殺しをしてい
るのか。」
「私が知っているだけでも6人死んで
います。」
「なんということだ。」
祖父の手が震える
「お話を聞いてくれませんか。」
「聞くだけだぞ。」
「お孫さんは住んでいた家の部屋の囚
われています、そして、そこは今、
心霊スポットになっています。」
「お化け屋敷か」
「はい、私の娘は友人と4人で肝試し
に行きました、そしてお孫さんの部
屋に行って呪われてしまったので
す。」
「軽率な行動の結果じゃないか。」
「そうです、しかし、友人の3人は呪
い殺されてしまいました。」
「次は、あんたの娘の番か。」
「はい、明日の夜に殺されるでしょ
う。」
「お祓いをしてもらえばいい。」
「お祓いはしたのですが和尚さんは呪
い殺されました。」
「酷いな。」
「これまでに2人の祓い屋と呪い屋の
3人を雇いましたが1人死んで、1
人重体です。」
「なんてことだ。」
「私は呪いに関わっているうちに呪わ
れてしまいました。」
「そうか、しかし、あれを止める方法
など知らんぞ。」
「彼女のことを教えてくれるだけで構
いません。」
「あれは人を殺す。」
「叔父に聞きました子供を殺した
と。」
「子供だけではない、何人も殺してい
る。」
「どのように殺すのですか。」
「あれがいとこにいじめられた時だっ
た、わしはその場にいなかったが、
殺されたいとこは恐怖に顔が歪んで
いた。」
「どうしてそのような顔になるのです
か。」
「あれの目だ、そのことでいとこの親
があれを殺そうとした、しかし、あ
れが親を睨むと突然苦しみだして死
んでしまった、わしの目の前で
な。」
「睨むだけで殺されるのですね。」
「ああ、そうだ、そんなことが、何度
もあって勘当したんだ。」
「物を壊すことはありましたか。」
「あれがものに当たることはなかっ
た、普段は大人しい子供だった。」
「いいえ、能力で物を壊すことが出来
ましたか。」
「分からない、あの力を使うのは人を
殺す時だけだった。」
「他に何かありませんでしたか。」
「知っていることはすべて話した
よ。」
「ありがとうございます。」
「あんたらが助かることを願っている
よ。」
高志は祖父母の家を後にする。
彼は呪いの力と彼女の力が一緒か知りたかったが確認できない。
彼の家では
除霊は夜行うことになる、手際よく除霊するために間取りを頭に入れシミュレーションしている。
明かりはヘッドライトを用意する。
彼は家長代行なので現場に出ることは珍しいのである。
しかし、今回は相手が強力なため自ら対応しているのである。
本来は家長が扱う依頼なのだが、家長は別の依頼に出てしまっている。
午後になり高志が家に帰って来る。
彼は樹と純教に成果を話す
「新しいことは分かりませんでし
た。」
「そうですか。」
樹が残念そうに言う
「やはり、目で睨んで人を殺すようで
す。」
「他にも人を殺しているのですね。」
「はい、しかし能力は人を殺す時にし
か使っていないようです。」
「物を壊したりはしないのですね。」
「それは分かりませんが祖父の知る限
りなかったようです、それに大人し
い性格だったと聞きました。」
「怒ると怖いタイプですね。」
「そうです。」
「高木さん、明日は家で休んでいてく
ださい。」
「何かありますか。」
「あなたは動き過ぎです、本番で倒れ
られてはいけません。」
「分かりました、休むことにしま
す。」
樹はたかしが動き過ぎていることを気にしている、昨晩は眠ったようだが休息は十分とは言えない。
放課後、葵とみおは一緒に下校する。
葵がみおに言う
「みお、一緒に下校するのはなぜ。」
「心配だからよ。」
「これまでも1人で下校していたから
大丈夫よ。」
「私の気が収まらないの、乗り切るま
で付き合うわよ。」
「うん、ありがとう。」
2人は話しながら歩く。
葵の家に着くと2人は家に入る
「ただいまー」
「お邪魔します。」
母親が応対に出る
「
2人は居間へ行く。
高志がみおに
「いらっしゃい。」
と言う
「お父さんどうだった。」
葵が聞く
「新しい情報はなかったよ。」
高志は答える。
みおは言う
「能力で物を壊すことはなかったんで
すか。」
「話の中ではなかったよ。」
「では、呪いの力と同じとは限らない
んですね。」
「そうだよ。」
彼は答える。
純教がみおに言う
「みおちゃん、明日は来ない方がい
い。」
「なぜですか。」
「深入りはよくない、君まで呪われて
しまうよ。」
「でも、気持ちが落ち着きません。」
「明日は自宅で葵ちゃんの無事を祈っ
ていなさい。」
「はい。」
みおは納得していない。
葵と高志を放っておけないと思っている。
彼女は明日、葵に付き添うつもりでいる。
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