第13話 樹と純教の来訪
月曜日の朝、
みおが葵に
「大丈夫?」
「ちょっと寝不足なの。」
「そうよね。」
「お父さんはどうしているの。」
「部屋でいろいろ調べているみたい、
たぶん徹夜しているよ。」
「無理し過ぎね。」
2人は心配する。
朝のホームルームで担任が
教室は亜紀に続いての2人目の死に騒然となる。
教室の中では
そして、4人は祟られていると憶測が飛び回る。
「人が死んでいるのよ、軽々しく言わ
ないで。」
と怒鳴る。
昼休みになる、みおは葵を見るが顔は歪んだままだ。
葵がみおに話しかける
「私の顔、歪んだままでしょ。」
みおは言葉に詰まる
「まだ、お父さんから連絡来ていない
の、どう思う。」
「まだ、除霊していないかもしれない
よ。」
「そうね、でも失敗した時のことを思
うと耐えられそうにないかも。」
「今日、家まで付いて行こうか。」
「おねがい。」
みおは葵と一緒に下校することになる。
咲子が話に割り込んでくる
「どうしたの。」
「みんなの話を気にしないように言っ
ていたのよ。」
みおはごまかす
「みお、最近、葵たちと仲いいよ
ね。」
「そおかな。」
「この前も一緒に帰っていたでし
ょ。」
「うん、来てほしいと頼まれたの
よ。」
「じゃあ、今日は私と帰りましょ。」
「ごめん、先約があるの。」
「みお、冷たいよー」
「また今度ね。」
みおは咲子をなだめる。
月曜日の朝、
「おはようございます、川中です。」
「おはようございます。」
「今から家族で町を出ることにしま
す。」
「呪い屋の先生から霊に距離は関係な
いと聞きました。」
「じゃあ、どうしろと言うんだ。」
「今日、呪い屋と祓い屋が来ます、任
せてはみませんか。」
「これまで失敗しているだろ信じれる
か。」
「今度は、優秀な人たちですよ。」
「あんたは、そのやり方でやればい
い、俺は自分のやり方でやるよ。」
「話を聞いてくれませんか。」
「ダメだな、成功を祈っているよ。」
「私もご無事を祈ります。」
川中家は家族で遠くへ逃げるようだ。
午前中、
高志が応対する
「遠くからありがとうございます。」
「あれから変わりはありますか。」
まずは、家に上がったください。
2人は居間に案内される。
樹は純教を紹介する。
高志は話を始める
「電話で話したことは、純教さんはご
存じですか。」
「はい、私から話しています。」
樹が答える
「私は探偵を雇いました、そして自分
でも赤壁の家に行ってきました。」
「随分、無茶をしますね。」
「娘のためですから。」
「それで何かわかりましたか。」
「はい、あの家に住んでいた住人につ
いて分かりました。」
「そうですか。」
「3人家族で、娘がいましたが18歳
で亡くなっています、両親は15年
前に自殺しています。」
「その後は誰か住んだのですか。」
「いいえ、持ち主は変わっています
が、誰も住んでいません。」
「他にもありますか。」
「怨霊の正体は娘の
ます。」
「なぜですか。」
「彼女は生前、鬼子だと恐れられてい
ました。」
「どういう意味ですか。」
「不思議な力を持っていたようで
す。」
「どんな力か分かりますか。」
「探偵が親戚を周ったのですがみんな
言わなかったようです。」
「それだけで怨霊だと言うのです
か。」
「いいえ、私は家に行って一番奥の部
屋に行き本棚や机を調べました、そ
して、日記などを見ています。」
「かなり調べたのですね。」
「はい、それで呪いを受ける一番奥の
部屋は彼女の部屋と分かりまし
た。」
「他にありますか。」
「彼女はあの家に軟禁されていました
し病弱で家の外に出ることはありま
せんでした、今も、あの部屋に囚わ
れています。」
「それで彼女が怨霊と言うわけです
ね。」
「はい。」
純教が言う
「もと超能力者の怨霊か、厄介そうだ
な。」
「これまでの状況だけでもかなり危険
ですよ、生前の能力は影響します
か。」
「分からん、俺も初めてだからな。」
樹と純教の会話から状況は悪い方向に転がっているようだ。
さらに話は続く、高志は
「3番目の子は今朝、両親と
ら逃げ出しました。」
と言うと
「霊に距離はないといいましたが。」
樹が言う
「しかし、話を聞いてもらえなくては
何ともなりません。」
「しかしそれでは私たちが急いだ意味
がなくなります。」
「すみません。」
高志が謝ると純教が言う
「赤壁の家を調べる時間が出来たと思
えばいい。」
樹は高志に
「他にはありませんか。」
「加賀家の墓に行きました。」
「何をしに行ったのですか。」
「お祈りと、娘の霊がいるのか確かめ
にです。」
「霊が見えるのですか。」
「いいえ、霊が見える子がいるので
す。」
「ああ、そういえば言って見えました
ね。」
「
力をしてもらっています。」
「それは、心強いですね。」
「はい、知識はないそうですが、はっ
きり見えるようです、」
「純教、あなたの弟子にどうです
か。」
「俺は引退しているんだよ、今さら弟
子は取れないさ。」
「引退しているのですか。」
高志は驚く
「彼は、引退していますが、説得して
きてもらいました。」
「大丈夫ですか。」
「心配しなくてもいいよ、最後の仕事
だ、きっちりやるさ。」
純教は言う、さらに高志は
「お墓にお祈りは効果ありますか。」
「何とも言えません、そこに娘さんは
いたのですか。」
「居ませんでした、お祈りも効果がみ
えません。」
「そうですか、高木さんの言うように
あの部屋に囚われているようです
ね。」
既に昼を過ぎており、3人は遅めの昼食を摂る。
放課後になり、葵とみおは一緒に下校する。
みおが葵に聞く
「お父さんから連絡あった。」
「無いわ。」
「今日は、除霊をしないのかもしれな
いわ。」
「失敗していたらどうしよう。」
「まだわからないでしょ。」
「あのお父さんなら何とかしてくれそ
うな気がするわ。」
「お父さん、一生懸命よ。」
「葵が羨ましいな。」
「どうして、もうすぐ死ぬのよ。」
「違うよ、あんなに一生懸命になって
くれるお父さんがいることよ。」
「みおのお父さんだって、いざとなれ
ば一生懸命になってくれるよ。」
「そうかなー」
「そうよ。」
2人は話して歩いているうちに葵の家に着く。
葵は
「ただいまー」
と言いながら玄関を開けるとみおに声をかける
「寄っていって。」
「分かったわ、お邪魔します。」
母親が玄関に出てくる
「お母さん、ただいま、こちら一条
みおさん。」
「あなたがみおさん、話は主人から聞
いてます、お世話になっていま
す。」
「こちらこそ、お世話になっていま
す。」
「今、呪い屋と祓い屋の先生が来てい
ます、あなたたちも一緒にどお。」
「葵、まだ除霊していなかったね。」
「うん。」
2人は居間に行く。
居間には、高志と会ったことのない男性が2人いる。
「お父さん、ただいま。」
「おかえり、一条さんもいらっしゃ
い。」
「お邪魔します。」
「こちらは、娘の葵と話していた一条
みおさんです。」
高志は樹と純教に紹介する。
「こちらは、呪い屋の五條樹さんと祓
い屋の草薙純教さんです。」
みおと葵に高志が紹介する。
「みおちゃん、霊が見えるんだっ
て。」
純教が声をかける
「はい、見えます。」
「じゃあ、今から赤壁の家に行くけど
付き合ってくれるかな。」
「私、中に入りませんよ。」
「分かっている、今日は外から見るだ
けだ、君の意見も聞こうと思って
ね。」
「分かりました。」
高志たち5人は、高志の運転する車で赤壁の家に行く。
既に夕方である、赤壁の家の周囲はうす暗くなっている。
車から降りると、みおは家を見る。
やはり、家は黒い
純教が聞く
「どんなふうに見える。」
「家が黒い靄に包まれています。」
「本当に見えているんだね、他には何
がある。」
「見えるだけで後は分かりません。」
「おじさんには悪霊の気配がするよ、
これまで会ったことのないくらいに
強力だ。」
「怨霊はどうですか。」
「気配では怨霊と悪霊の違いは分から
ない、おそらく怨霊の物だと思
う。」
純教が説明をする。
高志が純教に聞く
「どうですか、祓えそうですか。」
「分からない、それにいるのは1体だ
けではないから、体力を温存して戦
って、最後に怨霊と戦わなければな
らないようだ。」
純教が言うと樹が
「怨霊がこちらに気づいたぞ。」
と警告する。
「ああ、俺たちを見ているな、引き返
した方が良さそうだ。」
純教が答える。
5人は引き返すことにする。
帰りの車の中で純教は高志に
「良く生きた出られたなあ。」
「知っている限りでは、あの中で人は
死んでいません、ただ、一番奥の部
屋に行くと後で呪い殺されます。」
「哲也は重傷を負ったよな。」
「そうです、死にかけています。」
「祓い屋と普通の人で反応が違う
な。」
「そう言えばそうですね。」
「後で中に入った時のこと教えてく
れ。」
「分かりました。」
高志は純教は情報を集めてからお祓いをしようとしている慎重に仕事をこなすタイプだと考える。
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