第12話 探偵の死
純教は遺書を書いている、戻って来れない予感がしているのだ。
そして、翌日の朝、2人は
到着するのは月曜日の朝の予定である。
今日の午後、何が起きるのかは分からないが死ぬのだろう。
その恐怖を少しでも紛らわしかったのだ。
彼は酩酊し、わめき散らし、そして眠り込む。
そして、午後2時頃、目を覚ます。
まだ生きていると彼は思う、そして赤壁の家に入ったのは午後2時頃だったのを思い出す。
彼は別れてしまった妻のことと子供たちのことを思い出す。
そして何をいまさらと
彼は仕事にのめり込み、離婚のきっかけを作ってしまっている。
午後3時を過ぎても何も起きない。
彼は再びウトウトしてくる。
午後4時になろうとする頃、神谷のいる部屋の床に黒い穴が開く。
彼は寝ぼけまなこでそれを見る。
夢でも見ているのかと思う。
穴からは手が2本出てきてズルズルとやせ細った青白い腕が伸びてくる。
手はビタビタとあたりを探る。
神谷の目が見開かれる。
彼は頭を振る、夢ではない、これが
そして、部屋から逃げようとする。
しかし、体が思うように動かない
「うわわあぁぁ」
思わず叫び声が口から出る。
呪いは、さらに這い出てくる、頭が出てくる、黒いばさばさの長髪である、目は黒い虚空になっている、口からは
「あああああ」
とうめき声が聞こえる。
ズルズルと這い出てくる、やせ細った肩、あばらの浮き出た胸が穴からでてくる。
そして、足まで出ると立つことも四つん這いになることもなく腹ばいのまま神谷の方へ這いずってくる。
彼は部屋から出ようと必死にあがく。
呪いはズルズルと緩慢な動きで這いずって来るが、確実に神谷に近づいている。
彼の足に呪いの手が触れる、手は冷水のように冷たい。
彼は掴まれないように呪いの手を足でけろうとするがうまくいかない。
ついに、足が掴まれる、ズルズルと呪いは体の上に這いあがってくる。
彼は叫ぼうとするが声が出ない。
とうとう呪いの頭が顔をのところまで来る。
彼は恐怖に引きつる。
黒い虚空の目が神谷の顔を見る。
彼は魂を吸われたかのように倒れる。
呪いはズルズルと穴の中に戻っていく。
みおは日曜日の朝から
場所はこの前と同じ喫茶店である。
葵がみおに言う
「
「呪い屋はどうしたの。」
高志が答える
「呪い屋は来たよ、それも優秀な
人が、でもダメだった。」
「そうなんだ。」
みおは落ち込む
「
みおはつぶやく、それに高志が答える。
「お父さんが連れて逃げるそうだ
よ。」
「逃げられるものなの。」
「呪い屋の話では距離は関係ないそう
だよ。」
「止めなかったの。」
「あの人は人の言うことを聞いてはく
れないよ。」
「でも、逃げるだけじゃ・・・」
「結果は分からないよ。」
「私は見ていることだけしかできない
の。」
「何かしようとしてはいけないよ、大
人に任せておくんだ。」
「失敗続きでしょ。」
「その通りだ、でも明日、もっと優秀
な呪い屋と祓い屋が来ることになっ
ている。」
高志が言うと葵が
「もし失敗したらどうするの。」
「分からない。」
高志が話を切り替える
「今日、来てもらったのはもう1つ用
事があったからなんだ。」
「用事って何。」
「赤壁の家の住人の墓を調べようと思
うんだ。」
「墓があるの。」
「ああ、坂井霊園にあるはずだ。」
「調べる必要があるの。」
「実は赤壁の家に行ったんだ。」
「なんてことするの。」
「とんでもない所だと思ったよ。」
「無事に帰って来れてよかった。」
「怨霊の正体だけど住人の娘だと思う
んだ。」
「どうしてわかるの。」
「探偵に調べてもらったんだけど。」
「探偵。」
「そう、住人は
「聞いたことないわ。」
「15年前に自殺しているんだよ。」
「自殺なんて。」
「そこの娘が加賀ひなと言って病弱で
18歳で死んでいる。」
「その子が怨霊なの。」
「おそらく、鬼子と言われて、不思議
な力を持っていて恐れられていたよ
うだよ。」
「どんな力なの。」
「分からない、でも生前はあの部屋に
軟禁されていたらしい。」
「ひどい話ね。」
「家の外には出られなかったらしい、
だから、いまだにあの部屋に囚われ
ているんだと思う。」
「なら、墓には居ないよね。」
「霊に距離は関係ないんだろ。」
「あっ」
「彼女は外に出ることを望んでいたん
だと思う。」
「墓に参るのね。」
「そう、効果があるかもしれないと思
っている。」
「私は霊を見ればいいのね。」
「お願いします。」
「分かりました。」
高志、葵、みおの3人は墓を調べることになる。
坂井霊園は坂井町のはずれにある、3人は高志の運転する車で向かう。
神谷は墓が坂井霊園にあることを突き止めているが、霊園のどこにあるのかは調べていなかった。
3人は霊園の中を探す。
加賀は坂井町では聞かない姓である。
簡単に見つかると思っている。
しかし、霊園は予想外に広い、見つからず昼となる。
一旦、食事を食べに町へ戻る
「見つかりませんね。」
「あんなに広いとは思なかったよ。」
「昼からは手分けをして探そう。」
高志が提案をする
「こんなことに巻き込んでごめん
ね。」
葵が言う
「いいよ、じっとはしてられないし、
助かるよ。」
みおが答える。
「お祈りしたら、助けてくれるか
な。」
「分からないわ。」
「どちらにしてもやれることはしてみ
るしかないよ。」
3人は話し合う。
再び、3人は霊園の中に戻る。
今度は分かれて手分けをして探す。
みおは霊園のふちに墓石の倒れた墓を見つける。
彼女は墓石をよく見ると加賀と彫られている石の横には加賀ひなの名前もある。
彼女は葵と高志に携帯電話で連絡する。
3人は集まる。
そして、倒れた墓石を元通りにして掃除をする。
高志がみおに聞く
「ここにはいるのかい。」
「霊園の中には霊がたくさんいます
よ。」
「この墓はどうかな。」
「居ますが年寄りの霊ばかりです。」
「若い女の子の霊はいないんだね。」
「はい、いません、。」
「どうするの。」
葵が聞く
とにかく、お墓の前で祈ろう。
「はい。」
3人は、墓に花を添え祈る
娘の呪いだけは解いてください。
高志は必死に祈る。
葵は祈る
おとうさんを助けてください。
呪いをどうか解いてください。
みおは祈る。
3人は霊園を後にする。
帰りに喫茶店に立ち寄る
高志がみおに聞く
「私たちの顔は歪んだままかい。」
みおは黙っている
「はっきり言ってくれ。」
「歪んでいるわ。」
みおは
「そうか、もしかしたらと思ったんだ
が。」
高志は考え込む
「お父さん、明日呪い屋と祓い屋が来
るんでしょ、まだわからないよ。」
葵が高志を励ます
「そうだな。」
高志が答えるが無理をしているようにみおには聞える。
彼は呪い屋と祓い屋が怨霊に通用するのか不安が残っている。
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