第23話 義母はゲームの概要を整える。【集まれ! 颯流のチェリー・ポッパー】
「颯流、私が引っ越した初日に宣言したゲームの内容を覚えてますか?」
「ああ、ゲームのやつか? もちろん覚えてるが」
月愛と夕飯を食べた後に突然そんな話題を吹っかけられた。
確かあの日はめちゃくちゃ誘惑とかされてたな俺。
「好きな人に童貞を捧げたら俺の勝ち、逆に俺が月愛に靡いたら月愛の勝ちだろ?」
「ええ、心配せずともちゃんと覚えててくれたようですね」
「それがどうしたって言うんだよ」
「んふふっ。実はそのゲームに特殊ルールを追加しようと思いまして」
「え、特殊ルール?」
「ええ、こちらのノートに目を通しておいて下さい」
そう言うと居間で一緒にスイッチーズして遊んでたところに紙を差し出してきた。
それを見てみるとお手本だが丸みを帯びた可愛らしい字で書かれていた。
【ゲームの正式名称 : 弾けて! 颯流のチェリー・ポッパー】
【
・颯流が『好きな人』と初めてセックスしたら颯流の勝ち
・颯流が『冨永
・以上の2人に該当しない女性と初体験を迎えば月愛のヤンデレが重症化する
全世界の女性と『颯流』の貞操をかけた略奪ロワイヤル。
開催期間・本日から『冨永
◎ルール◎
・ハンデとして、『月愛』はあらゆる場面で颯流のオチンチンに触れるのは禁止。
・『颯流』に常時『避妊具』の常備を義務付ける。
・お互いの生殖器が直接干渉し合うことを『セックス』の線引きとする。
・『颯流』が期限までに童貞を捨てない、あるいは性転換手術を受けるなどして棄権するなどの行為は一切認めない。その場合『月愛』が実力を100万%解放する。
・『颯流』がセックスした際は主催者の『月愛』へ報告することを義務付ける。
◉颯流に与えられるルート別報酬◉
・颯流の勝ちルート……『冨永月愛』は今後一切ママから逸脱した行動を辞める。
・月愛の勝ちルート……『ピル服用』にて、いつどこでも生で挿入を可能にする。
※バッドエンドルート→『冨永月愛』が狂乱化して世界を滅ぼす。
【本日からのアクションプラン】
・同時に複数の女性と仲良くしていきましょう。
・明日から颯流が『冨永月愛』と『木下優希』以外にも女子3人以上と仲良くなることを目指します。
◎颯流が仲良くしていく女性の候補
・
・
・
・マディソン・エミリー・アーマン……アメリカ人の英語のネイティブの人妻先生
※颯流が『冨永月愛』と初体験を迎えた際は、ゲームが次のステージに移行する。
【冨永颯流のヤリチン化計画の概要及びルール】
・颯流がより優秀でカッコいい男へと成長するために『月愛』が全力で支援
・颯流は全世界のどの女性ともセックスすることを目指す
・先ずは花園高校の女性たちを始め、次第に活動範囲を海外にも拡張する
・颯流が経験値を増やす度に称号が『脱童貞したオナ猿』より上の位へ昇格する
颯流がヤリチン界のトップに君臨してハーレム帝国を築くことを目標に指定する。
◎ルール◎
・颯流が相手の女性と初セックスする際は避妊することを義務付ける。
・相手の女性が安全日&性病にかかってないことを条件に生ですることも可能。
・彼氏持ちや人妻などとセックスに至る際は基本的に『月愛』と相談すること。
・颯流が未成年の女性と性行為の類を連想する行動は一切認めない。
→破れば刑務所を出ても『冨永月愛』の隣へと無期懲役の刑に処罰する。
◉女性とセックスした際は『特殊な書類』にて月愛に報告することを義務付ける。
→颯流から月愛へと『特殊な書類』にて報告された女性は『メイティング図鑑』に自動的に登録される仕組みとする。全世界の図鑑の解放を目指しましょう!
→なお話しかけた時点でも登録出来るように『冨永月愛』が衛星とGPS装置をハッキング済みですが、実際に性行為に及ばないと詳細情報を閲覧できないものとする。
「……なんだこれ」
「んふふっ。夢が広がりませんか?」
「そんなわけないしツッコミどころしか無い。何なんだよ俺のヤリチン化計画って」
他にも月愛のヤンデレが重症化するだの避妊具の常備が義務だの色々とカオスだ。
木下さんか月愛のどちらかが、いつの間にか全世界の女性が参加してる感じだし。
そもそもメイティング図鑑って何だよ意味不明過ぎるだろ。
月愛は俺が女性と身体を重ねることをポ◯モンゲーム風に捉えてたりするのか?
その上にもう既にハッキング『済み』だってのが色々と恐ろしすぎるだろオイ。
「よくぞ聞いてくれましたね! 文字通りに颯流を世界最高のオスに仕立て上げるためのアドベンチャーゲームですよ。どうです、ワクワクしませんか? 私のサポートがあれば不可能はありません、私の力を颯流に尽くすと生涯を渡って誓います」
「いや意味わかんねえよ。クロワッサンと言い親父と良い、何で俺の周囲の人間はこうも性欲旺盛な奴らばっかりなんだ」
「んふふっ。まあ今の段階は優希ちゃんとの平凡だが幸せな幸せな結婚生活しか思い描いてないでしょうから、今はまだ拒絶反応を起こしていても構いません」
「ああ、そうだよ。こんなクソゲー誰がやってられるか!」
「随分な言いようですね……まだプレイすらしていないのにやる前から批判だなんて関心しませんよ? ママとしても颯流にはそんなことをする人間にはなって欲しくありません」
「くっ……そうだな。けど俺は木下さん以外の女性とセックスする気はないぞ」
「んふふっ。その威勢がどこまで続くかは見ものですね。それに、」
自信満々に微笑みながら力強い瞳で上から見下ろしてくる月愛。
「──私のヤリチン化計画が気に入らなければ、優希ちゃんルートを貫けば良いだけの話です。……そうでしょう?」
「っ……確かにそうだな」
そうだ落ち着け俺。
確かに月愛の言う通りで、喚くなんてみっともないだけだ。
俺はゲームのルール通りに正々堂々と戦って木下さんを選べば良いだけなのだ。
だったら俺は今後も俺の野望を貫くことだけに集中していれば良いのだ。
「なのでヤリチン化計画云々は私に童貞を捧げない限りは忘れてくれて構いません」
「……そうだな、そうしよう」
俺はノートの右半分ちぎって丸めるとゴミ箱へスリーポイントシュートを決めた。
「んふふっ、ナイスシュートですね。まあそんなことをしても全てのルールは既に私のスマホ内へと保管されているので心配ご無用です」
「だろうな」
「なので私ルートに無事入った際にちゃんと説明しますね。それでは話を進めましょう。【集まれ! 颯流のチェリー・ポッパー】のゲームでは文字通りに颯流の筆下ろしをかけた早い者勝ちのゲームとなってますね」
「ネーミングセンスから凄いんだが……なんで参加者が木下さんと月愛以外にもいる設定になってんだよ。しかも全世界の女性って」
幾ら何でもスケールがデカ過ぎるし、まあそもそもそんな女性居ないだろたぶん。
「それは颯流がイケメン童貞という、絶滅危惧種だからですよ」
「……は?」
「ええ。
「……いや俺なんて、」
「自分を卑下するの禁止です! 流石のママも怒りますからね」
そう言いながらプクッと頬を膨らませて眉を細めてる顔から威厳は感じられんが。
「分かったよ。けどわざわざゲーム内に第三者を巻き込む必要あるか?」
「それは今後ゲームをする上で颯流に初めてのセックスをプレゼントしたいと考える子が出て来ないと限るからですよ」
「いやだから居ないだろそんな物好き──何でも無いですすいません」
思いっきり睨まれた。
「なので誠に不本意ですが、万が一のために彼女たちにも参加の枠を与えるのです」
「……そうかよ。それでお前か木下さん以外の女性とエッチしたらお前のヤンデレが重症化するって何だよ」
「…………私の見立てではその確率は限りなく低いですがゼロとは断言出来ませんからね。万が一というものは起きてしまうものなんですよ……そしてそれが起きたら私がどうなるのか……颯流もおおよその検討はついてるんじゃ無いでしょうか?」
「……かもな」
ルート別報酬で物凄く物騒なことが書かれてあったし、こいつならやりかねん。
【──後書き──】
これから更に物語がヒートアップしていきます。
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