第11話 義母は寝惚ける。「……んぅ……颯流……にゅぅ♪」


 何故だろうか……妙に懐かしい気がしてずっと浸りたっていたい気分に駆られる。

 ムニュっムニュっ。

 特にこのスベスベで柔らかいマシュマロのような何かが揉んでいて気持ち良い。

 それもただ柔らかいだけでなく奥へと手を伸ばす程に程よい弾力性もあるのだ。


 それに凄く良い匂いもする……これに身も預けたらどこまでも沼っていけそうだ。

 手の先から流れ込んで来る温かさも心地良いがこんな枕俺の部屋にあったっけ?

 そう曖昧に思っているとようやく意識が覚醒したので俺は目を開けると──


「…………はっ!? な、な、な──」

「……んぅ……颯流……にゅぅ♪」


 目をパチパチさせるとそこに居たのは俺の義母となった元幼馴染の月愛だった。

 しかもなんじゃこりゃ……朝目が覚めたら俺の目前に柔らかそうな弾力のある質量がポワンと置かれている……じゃなくて谷間の左上に黒子付きのおっぱいがあった。


 いやいや待て待て一度冷静になろうか冨永颯流今まで彼女歴無しの童貞よ……何故こうなってるんだ? 冷静に状況を分析しても因果関係が何一つ掴めやしない。


「…………」


 昨日俺は月愛に散々揶揄われてゲームを提案された後に部屋に入ると部屋でぐっすりと眠り始めたはずだが……何故ここに居ないはずの人間がここに居るんだよ!?


 俺と向かい合うようにして至近距離でスー、フーと可愛らしい息遣いをしてる月愛はパジャマのシャツのボタンが2つ外れていて、俺の右手はそれを握っていたのだ。


 くっ、これは非常に不味いぞ……母親のおっぱいを揉んでるなんてただのヤベえ奴じゃねえか。すぐさま俺は手を引っ込もうとするが、熟睡中のはずの月愛が何故か俺を決して逃さないよんふふ〜っと言わんばかりに深くまで抱きついて来た……ぐあっ!? 反射的に腰だけでもが彼女の脚に触れないように苦し紛れに下げた。


「んぅ……えへへ〜♪」


 俺は抱き枕じゃないから頼むから今すぐに離してくれ、じゃないとおれの朝勃ちがいつまで経っても収まらないんだよっ!? 何とか脱出しようとしてると腰から離れたが、今度は俺の顔がその立派そうな谷間へとぎゅーっと抱きしめられてしまった。


 女性特有の柔らかさと甘い匂いが朝から俺の理性をガリガリと擦り減らしていくが抜け出せそうにない。何故か俺の頭を抱き締めてる腕の拘束が強いのだ。くっ……どうすれば良いんだこれ。いや諦めるな……俺の貞操がこんなところで終わるものか!


 この甘い果物のような香りに惑わされるな……にしても同じシャンプーを使ったはずなのにどうしてここまで匂いが違う? ん、待てよ……何故か微妙にクセになりそうな汗臭さも混じってるような気がするんだが……ってアホか俺はさっさと出るぞ!


「ぅ……ん?」

「…………ぁ」


 月愛の腕に力を込めようとしたところで本人が目を開けた。自分のおっぱいに埋めている俺の顔を見ながら目をパチパチしてるんだが。これは不味いぞ……完全にうさぎを認識し始めたって感じのハイエナだ。


 少しずつ状況を把握し始めては次に取る手段を実行し始めるぞ。……それに月愛の告白を受けてから初めて遭遇する出来事だからどう反応すれば良いのかわからん……内心で滝汗をかきながら月愛の反応を伺う。


「チュッ♡ おはようございます颯流♪」

「……ああ、おはよう月愛」


 抱きつかれながら俺の額にキスされて結構恥ずかしかった。

 落ち着けよ俺……こんなの愛情深い母親だと当然の挨拶だから一々騒ぐな心臓。


「久しぶりのママのおっぱい、気持ちいいですか〜?」

「っ!?」


 知るかよ元のママのおっぱいの感触なんてもう覚えてねえんだから。……しかしこれは男なら嫌でもドキッとさせられるだろう。目の前には笑顔を浮かべた絶世の美女が居るのだ……それも俺のことが大好きだって言ってくるオプション付きだ。


 だがここで勢いに呑まれるわけにはいかない……何故なら俺は今腰の先端で爆弾を抱えているからだ。この生理現象がバレたら月愛がどんな手段に出るのか想像もつかない……だからここは間合いを図りながら上手く下半身を遠ざけなければならない。


「知らねえよ。ってか何でお前ここに居るんだよ!?」

「んふふっ。私がここに居ては不思議ですか〜?」

「当たり前だろっ! あれ、俺昨日部屋の鍵を閉めたはずだよな……」

「本当ですか? 寝ぼけてたんじゃないですか〜? んふふ〜」

「くっ……そうかも知れん……けどな、これは流石にアウトだろ」

「どうしてですか? 母が子と寝るのは当たり前のことですよ」

「それは小学生までの子供に限る」

「まあまあ、私からすれば颯流は永遠に私の赤ちゃんですから♪」

「昔に俺のママが言ってたセリフパクるんじゃねえ!」


 本当に俺のママになったかのようなことを言うんだなこいつは……しかしこのままじゃ埒が明かないな。強引だが月愛の腕を退かせて反対側を向かなければ!


「月愛、寝返りを打ちたいから離してくれ」

「嫌です〜」

「っ……こ、腰が痛くなって来た……でも反対向いて体重をかけたら治るかも」

「何おじいちゃんみたいなこと言ってるんですか?」

「ジジイ言うな、とにかく俺は寝返りを打つから」

「逃がしませんよ〜」

「アホかここで意固地になってどうすんだよ、もう良いから離せって!」

「しつこいですね、我儘な息子にはハグの刑でお仕置きしちゃうんですから♪」

「は? っておいバカ!? やめろ──」

「ぇっ?」


 今度は足をも絡ませようとしてきた月愛の太腿に俺の精力で漲ったソレが思いっきり当たってしまい、時間が凍りついた。猛烈な恥ずかしさで顔が真っ赤になり、月愛も気づいてくれたようで足を少し引っ込めたが頬を真っ赤に染めたまま黙った。


「…………」

「…………はぁっ……うぅんっ!!」


 な、な、何なんだ一体!? 突然月愛の息が荒くなり始めた気がしたんだが、相変わらず腕の拘束を緩んでくれない月愛だったから離れて様子を確かめようがない。というより何だか苦しそうにも見えたから心配になって声を掛けてしまった。


「お、おい月愛。その、大丈夫か?」

「んっ…………え、ええ……拘束してすみません」


 やっと解放さてたので土下座するように頭を下げた。


「本当にごめん月愛!!」


 抱き締められたのが不可抗力とはいえアレが当たったのは完全に俺の落ち度だ。

 しばらく頭を下げていると月愛もクスッと笑ったが、向こうも謝って来た。


「全然大丈夫ですよ、元はと言えば颯流も健康的な思春期の男子だということを忘れてたのが悪いです。それにこちらこそすいません。約束を破るような真似をして」

「い、いや……あれは不可抗力だから不慮の事故みたいなものだろ」


 こいつが俺とのゲームのルールを説明する際にハンデとして俺の股間に向こうから触れるのはナシって言ってたんだっけな。悪気が無いからノーカンで良いと思うが。


「っ……んふふっ、そう言って頂けると嬉しいです」

「…………」


 とは猛烈に恥ずかしくて冗談抜きに死ねるぞ。自分の母親にギンギンになったそれを当てる息子ってどうなんだよ……それにいくら俺のことが大好きと言えどもこんなことは今まで1度も起きたことがない……流石にドン引きするんじゃないだろうか。


「……んっ……ぅあっ……」

「おい、月愛?」


 ようやく元気棒が収まってくれたので両足を床に着けてベッドに座ったが、一向に月愛が布団に包まったまま出て来ないから気になってしまった。よく観察すればおっぱいの谷間が小刻みにプルプルと揺れてるんだが引きすぎて痙攣してるんだろうか?


「なあ月愛……その、アレだ……ごめんな、流石に気持ち悪かったろ?」

「はっ……い、いえ……もう気にしてないので大丈夫ですよ」

「そ、そうか? ……それにしては恐怖で体が震えて──」

「そんなことはありませんよっ? た、ただ……足が冷えたかもっしれないですね」

「……でも」

「そんなことよりも、颯流は……ん……朝のルーティン、しなくて良いんですか?」

「あ、いっけね……もう6時30分か……」


 月愛が言っていたのは俺のモーニングルーティンのことで、俺は毎朝起きると軽い運動と読書をするのだ。仮にも趣味とはいえブレイクダンスをしてる以上は日々のメンテナンスが欠かせないからな……普段の俺は6時に起きると30分間ストレッチやギリギリ汗をかかない範囲内で運動をしてから、7時まで自己啓発書を読むのだ。


 朝から自己啓発書なのは脳味噌に栄養分を吸収させる名目だし、運動と相まって地頭が良くなって勉強も一層捗るようになった。今朝に限って色々ハプニングあったせいで読書の大半は朝食が終わってからに回すことになるだろうが。月愛は大丈夫か?


「じゃあ俺もう行くけど…………念のためにコーンスープでも作ってこようか?」

「ンっ! ふ、ふふふっ……嬉しい気遣い有難う御座います……けど大丈夫ですよ」

「そ、そう? お前がそう言うのなら分かった。じゃあまた後でな」

「ええ……んぁ……私は朝食を作って待ってますので、存分に朝活に励んで下さい」


 終始震えてた月愛を謎に思いながらも、1回まで降りてダンスなり運動するときに使ってる部屋でヨガマットを敷いて朝のストレッチを始める俺だった。




【──後書き──】

 朝起きて隣に可愛い子が居たら最高ですね。

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