第8話

「だ……大丈夫かな」

 私は不安げに言った。

「これが彼女の仕事だ。まあ、たぶん何かあったら戻ってくるさ」

 リーレイは吐き捨てるように言って、玄関へと向かった。

「それに俺たちにできることは、たぶんないしな。そもそも、遺跡というのがどこにあるのかがわからん」

「でも……」

「しつこいな。とりあえず、待ってろよ。それとも一人で森の中にでも行くか?まあ、ここらには凶暴な野生動物もいるはずだからな。お前なんてひとたまりもないだろうよ。……まあ、俺としてはそれでも一向にかまわないんだが」

 私に死ねといっているのか、この男は。本当に嫌な奴。

 でも、確かにがどこにあるのかわからない以上、動くことはできないと思った。仕方なしにすごすごとリーレイの後をついていく。

 ふとリーレイの顔を見ると、冷静な言葉とは裏腹、険しい顔をしていた。


 ※※※


 確かに爆発は遺跡の方からだった、とハンナは思った。

 遺跡--弟が行方不明になった場所。小さい頃は遊び場だったが、弟が行方不明になって、探しに行ってそれから一度も足を踏み入れていない。

 遺跡には古代の結界が張ってあるはずだった。

 遺跡の周りを青い光が覆っているが、それは人間には作用しないもののようで、一体なにから遺跡を守っているのかハンナにはわからなかった。

 その遺跡から爆発--。

 ここら辺だと、さっきマリカたちを襲った賊が幅をきかせている。もし、他方からの侵入者でなければおそらく犯人はあいつらだろう。

 遺跡について、エリアスから降りる。エリアスに少し待っているように言い聞かせて、遺跡の中へ足を踏み入れた。

 --おかしい。

 結界が消えている。さっきの爆発のせいか、それとも元から消えていたのか。

 足を踏み入れる。

 パキッと床に敷き詰められている石が割れた。

風が変わった。

遺跡の奥の方から悲鳴のようなものが聞こえたような気がした。誰か襲われているのか?

ハンナが少し急足になったときだった。



 --二度目の爆発

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る