4 どこだ?
「ど、どういうこと……?」
僕は焦る。だってさらは隣のクラスだと言ってたじゃあないか。まさかあれは夢だったのだろうか。いや、夢にしてはリアルすぎる。
「大丈夫ですか?」
「あ、うん。だ、大丈夫。教えてくれてありがとう。じゃあ。」
混乱しながらも、さらはいないと教えてくれた人に感謝の言葉をかけてから立ち去る。
「さら、どこにいるんだ……?」
キョロ、と廊下を見渡すと、ああ、そういえばこの学年は六クラスあるのだということを僕は思い出した。
「もしかしたら……」
さらと出会った三年二組をさらは違うクラスだと勘違いして覚えてて、本当は五組とかなのかもしれない。
じゃあ順に聞いていってみよう。ここまで来たら何組か知りたいし。くるりと方向転換し、四組を目指す。
扉の前でもう一度深呼吸し、また近くにいた人に話しかける。
「あの、このクラスに雨宮 さらって女の子、いる?」
「いないよぉ~?」
「そ、そっか。教えてくれてありがとう。」
四組でもない。いやいや、まだ二クラスある。五組と六組が。だからきっと大丈夫。そんな風に自己暗示をかけ、次へと進む。
五組の前に来た。また同じような手順を踏む。
「あの、このクラスに雨宮 さらって女の子、いる?」
「いませんね。」
「そっか……。教えてくれてありがとう。」
「はい。」
ここも違うのか。よし、次だ次。さらが六組にいることを信じて進む。六組の扉の前でもう一度深呼吸し、扉の近くにいた人に聞く。
「あの、このクラスに雨宮 さらって女の子、いる?」
「いないわよ?」
「え……」
その言葉に僕の頭の中は真っ白になった。どういうこと? さらは嘘を言ったってことだよね……?
「大丈夫?」
「……、大丈夫。教えてくれてありがとう。」
かろうじて残っていた意識でお礼を言い、三年二組まで戻る。
どうして、どうしてどうしてどうして? どうしてさらは嘘をついたの?
どうして
何故
そんな言葉がぐるぐると頭の中を駆け巡る。
「も、もしかしたら……違う学年とか……?」
そんなことあるだろうか。そうだとしたらさらはおっちょこちょ……ドジっ子ってことになるよね。しかし昨日話してみてそんな感じには見えなかったけれども。ふーむ、どうなのだろうか。
「だ、ダメ元で聞いてみる、か……」
しかしあと何クラス聞けば……いや、確か二年生は五クラス、一年生は六クラスだったような気がする。確かではないが。
だが聞き回るのはアリかもしれない。もう一度会って話したいと思うし、何故隣のクラスだと嘘をついたのかも聞きたいし。
ならば、と二年生の教室がある二階へと降りることにした。
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