応援コメント

第94話:「機能不全」」への応援コメント

  • 三話前に共和国軍の錬度が低い事が
    示されていた事に違和感があった。

    もしかして。
    正面の共和国軍は市民志願兵だけで
    構成されていたのかも?
    (およそ10万人と言う途方もない数だが
    敗れれば国家滅亡と言う危機なれば
    市民は立ち上がるはず)

    それなら戦線右翼に5万の兵を
    投入する事も可能だな。
    おそらくは再編成された部隊に補充兵を加えて
    完全編成を整えたのだろう。

    援軍は錬度の高い正規兵。
    予備兵力を投入しても五分に持ち込めるかどうか。

    さらにはまだ姿を見せない砲兵隊。

    実にマズイ。

    これからの展開を予想すると…。

    左右からの反撃に対して
    予備兵力を投入して拮抗状態となる。
    正面に対して連合軍が突撃。
    (左右が崩壊する前に突破して
    敵本陣を粉砕し決着をつけるため。)
    敵正面部隊が左右へ押される形で本陣の前が空く。
    連合軍が突撃。
    敵本陣前に配置された大砲列が一斉射撃。
    連合軍主力は壊滅的損害を受ける。
    さらに士気崩壊により左右も懐走状態に…。

    こんな所でしょうか。

    まぁ、無駄に歳をとった
    ミリタリーマニアの戯れ言ですがね(笑)



    作者からの返信

    隼 一平様、いつもありがとうございます!

    ちょっとネタバレになってしまうかもですが、連合軍の崩壊はもっと速いです。
    というのは、ムナール将軍の大放列の投入が、帝国軍中枢がどう対応するかを即決できず、もたついている間に発動するからです。
    (凡庸な皇帝と、常識外の事態に対応できない将校や貴族たちという、旧態依然とした帝国という姿を強調し、今後のエドゥアルドたちの行動の動機づけのための展開です)
    連合側の指揮系統がちゃんと機能していたら、隼 一平様が想定された通り、中央突破を狙うことになったと思うのですが、帝国は指揮系統が機能不全を起こしてしまうためムナール将軍の手玉にとられたままやられてしまうことになります。

    また、共和国軍の兵士の練度が低い描写についてですが、これは市民兵の投入ではなく、「徴兵制」によって作られた軍隊だからです。
    熊吉としては、市民兵はもちろん参加しているのですが、その任務は後方支援や首都オルタンシアの防備などで、この戦場に出てきているのは共和国軍の正規軍である、というつもりです。

    熊吉が調べた限りだと、ナポレオン戦争時代、兵の練度においてはフランス軍は必ずしも高くはなかったようです。
    比較対象には軍事大国・プロイセンなども含まれるため仕方ない部分もあるのですが、傭兵によって作られた王政国家の軍隊は、長年兵隊として勤めている兵士が多いので、その分練度が高い傾向があったそうです。

    また、余談ですが、革命のために立ちあがった民衆も、その多くは兵役期間を終えると「義務は果たした」と、さっさと軍役を離れてしまう例が多かったそうで。
    そんな状態で軍の戦力を維持するために実施されたという側面もあるのが徴兵制でして、当時のフランス兵(特に、作中で想定している、革命完成直後のアルエット共和国)は、必ずしも熟練した兵士ではなかったようです。

    大きく違うのは、国民皆兵によって作られたフランス軍の方が士気が、徴兵によって作られた軍隊の「過去の常識」に比べて非常に高い、ということです。

    革命によって自分たちの手にした権利を守るために戦うわけですから、金のために戦っている志願兵(傭兵と言うべき人々)や、同じ徴兵でも嫌々連れ去られて来た人々によって作られた王政国家の常備軍よりも、やる気があるというのがその特徴だと思っています。

    我が国においては「徴兵=苦役」というイメージがあるために忘れられがちではありますが、自分の故郷や権利を守るために戦う兵というのは、徴兵制であっても士気が高い傾向があります。

    このために、共和国軍は練度で勝る帝国軍と交戦しても壊走せず、北部方面で一度撃破された部隊もその兵力をほとんど減らさないまま再集結して、短期間で戦線に復帰する、という描写をしています。
    「古い軍隊」である帝国軍と、「新しい軍隊」である共和国軍のもっとも異なっている点です。

    蛇足ですが、現在続いている、ウクライナにおける戦争でウクライナ軍が善戦しているのは、こういった、防衛側、自分の権利を守るのだという意識のある兵士と、特に目的も意義もわからずに戦っている兵士(ロシア軍)との違いも理由としてあるのでは、と熊吉は思っております。

    19世紀から20世紀にかけて各国で国民皆兵性が導入されていくのは、それが間違いなく「過去の軍隊」よりも強力であったからです。
    徴兵制は平時から大量の予備役を積み上げることにより、戦時にはそれまではできなかった画期的な大規模動員が可能となるという点もありますが、それまで王侯貴族の一部の者が外交手段として行っていた戦争が、国民主権の広まりと共に国民の戦争となって行った点が、この時代に起こった大きな変化なのかな、というふうに思います。

    それまでの戦争は、王侯貴族など一部の特権階級が起こすもので、兵士たちは「金のため」あるいは「無理やり」戦わされていたわけですが、それが共和制国家になって国民主権となり、「自分にとっても無縁ではない」ものとなったのですから、「古い軍隊」と「新しい軍隊」とは大きく違っただろうと思います。

    こういった熊吉の視点を元にこの時代の「変化」を書けたら面白いかな、と考えています。

    今後の展開ですが、共和国軍という「新しい軍隊」に対抗するために、エドゥアルドたちが悪戦苦闘しながら帝国を再生していくことを考えております。
    史実のヨーロッパ諸国はナポレオン軍に席巻されましたが、エドゥアルドは帝国をムナール将軍の共和国軍の手から守っていくことができるのか。

    ナポレオンがヨーロッパを席巻したのは、もちろん、彼が天才であったからでもあります。
    しかし、それ以外の要素もあったはずです。

    歴史上稀な軍事の天才と「どうやって渡り合うか」というのを、キャラクターだけでなく、国家の仕組みという点からも描写するのを、本作の見どころにしていきたいと思っています。

    これからも熊吉なりに頑張って参りますので、隼 一平様、もしよろしければ、今後もよろしくお願いいたします。

    編集済