第55話 憧れは引き継がれる
この山林フィールドはよく作り込まれていてブッシュエリアは迷路のようになって視界が悪い、俺は前衛の木下の合図を待って徳川と背後と左右を警戒した。
「キノピ!行けたら行っちゃっていいよ」
「オッケー!たぶんこの先の入り口付近のバリケに二人位居ると思うわ」
「ソイツら確認出来ればフラッグまで多少開けるなぁ」
「うん!俺が前で囮になるから側面突く準備お願い!」
「俺が行く」
平蔵は匍匐で進んで木下に合流した。
「俺がブッシュの中に入ったらキノピは動いてくれ」
「了解!」
そう伝えてからブッシュに入った。
入り口付近のバリケを確認できる位置まで匍匐してセーフティを解除した。
木下は平蔵の動きを確認してから前に進んだ。
斉藤は木下の動きに合わせて声をかけた。
「里見はそのまま!徳さんはキノピに続いて援護、平蔵は敵確認したら仕留めてくれ!俺は里見と状況見て動くわ!」
「オケー!」
木下は敵が隠れていると思われるバリケに数発撃ち込んで様子を見ながら外周ネット際に向かった。
徳川はその場にしゃがみ込みバリケから敵が撃ち返してくるのを警戒したが敵は顔を出さない。
「あのバリケの後ろのドラム缶注意!キノピ射線に入ってるから気を付けて!」
徳川の無線に平蔵は反応してドラム缶が見える位置まで進んで針葉樹根元の板バリケに貼り付いた。
平蔵はフラッグ近くのはずだが敵影が確認出来ないのを不信に思った。
ーあ!今日は敵に“激徒”がいたなー
「全員警戒!側面に気を付けてくれ!敵に激徒が居るのを思いだした!」
平蔵は慌てて全員に伝えた。
すると、平蔵のバリケに何処からともかく撃ち込まれた。バリケには少しの隙間が有りそこを狙ってきている。
ヒット!!
木下の声だ。
「キノピがやられた!恐らくフラッグ奥の軽バンからの狙撃だ!だいぶ距離があるぞ」
斉藤は直ぐさま判断して里見と二人で逆戻りで大外周りに切り換えた。
「徳さんは平蔵の援護して時間稼ぎしてくれ!」
「オッケー!平蔵!行くから適当に射撃してくれ!」
「りょ!」
徳川からの無線で平蔵は視界に入り敵が居そうなバリケに数発づつ撃ち込んだ。
フラッグの裏手の木が横並びに積み上げてある所に敵影が確認できた。
「材木裏に確認!徳ちゃん俺の2つ隣のバリケなら死角のはずだ!」
「オッケー!そこに行く!」
平蔵は徳川にそれを伝えてから材木裏の敵が移動しないように牽制撃ちを続けた。材木裏以外からは撃ち込まれない…と言うことは、そこが敵の前衛で他は入り口周りの外周の警戒と中央からの守りに入っていると思われる。打開策としては材木裏を撃破して突破口を開くのが良いー。
激徒も五人の小隊でこのフィールドの常連チームである。連携に長けていて大人数の定例会でも激徒が居るチームは有利になるくらいの強敵である。平蔵達もドレスコードを決めてチーム編成を始めたのも“激徒”に影響されたのであった。
「こっちは一人やられて不利になってるけど激徒さん達とやり合えるのは嬉しいぜぇ」
平蔵は強敵が居ると燃えるタイプである。
正面での撃ち合いは得策では無いから斉藤と里見が回り込んで交戦するのを牽制しながら待ったー。
つづく
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