第54話 迷彩
ウッドランドは気分を高めるー。
単色のグリーンの装備品にウッドランドを合わせた装備を仲間と整えた。
チームSQ。五人編成の小隊で、隊長は斉藤で俺の同僚の木下、徳川と斉藤のオンラインゲーム仲間の里見であった。全員揃った時はドレスコードを決めていてウッドランドのズボンとブーニーを合わせている。無線機は骨伝導を使っている。なかなか全員揃うことは無いが最低でも毎週三人はいる。平蔵は土曜日か日曜日のどちらかを毎週行っている。他の隊員はかなり装備品を持っているが平蔵はノーマルでアイアンサイトを使い続けている。m14とコルトパイソンがトレードマークである。
チームのモットーは強い弱いでは無くてクリーンなサバゲーを目指している。フラッグを取るときは回りを完全に制圧してから余裕を持ってた取る。初弾ヒット狙い、シチュエーションヒット、フルオートは極力使わない等を決めている。撃たれたら相手に敬意を払う。近距離の時は首から下を狙うようにする。周りから格好いいと思われる動作、連携を心掛けている。
斉藤の愛銃は次世代電動ガンのm4a1マグプルカスタムである。木下も次世代電動ガンのスカーh、徳川はHK416d、里見もHK416である。それぞれ外装カスタムや光学機器を上手く使っている。
アタッカーは里見と徳川が担当していて平蔵と木下は二人の援護、斉藤は後方から指示をするのが基本動作になっている。
平蔵は葛飾区のローカルな街の線路沿いのマンションに暮らしていてコーヒーを煎れながら銃と装備品の手入れが日課である。夜になると戦争映画を観ながらウィスキーを呑むー。
頭の中は常にサバゲーの事ばかりである。
何に対しても喜びを感じてきていなかった平蔵には仕事とサバゲー以外にやることが無いのである。仕事帰りにスーパーに寄って惣菜を買って帰る。
空が暗くなる頃に電気式のサイフォンでコーヒーを煎れながら湯が沸くのを見つめている。
夜空を見上げて野良猫達の声を聞きながら夜が去るのを待っている。
週末だけが喜びだからだ。
ある日ー。
仕事終わりに木下に夜遊びに誘われた。サバゲーを初めてから一切合切夜遊びをしなくなった。
「へいちゃん!たまには付き合ってよ」
木下は奢るからと言って会社の前でタクシーを捕まえた。
俺は渋々タクシーに乗り込んだ。
「あら!久し振りの平蔵ちゃんじゃん!」
毎日のように呼んでいたタクシー運転手が俺を覚えていた。
堀切を抜けて荒川沿いを走って向かった先は三河島のキャバクラであった。
都電の線路脇の小道を入り小さなネオン看板に向かった。
木下は店員に挨拶しながら慣れた様子で店に入って行った。
俺も後を着いた。
「木下がキャバクラの常連になっているとはな…」
「ここに可愛い娘が居てね!指名して通ってるんだよ」
「マジかよ!」
そんな会話をしながらキャストが隣に着くのを待った。
木下の隣にはモデルのような美人な女が着いて俺の隣にはどこか影のあるキツネっぽい女が着いた。
既に女遊びに喜びを感じていない俺にとっては親しくない女との会話に価値は無くキツネっぽい女の会話は全く頭に入ってこないのである。それよりはこの薄暗い店内でナイトビジョン使って撃ち合っている想像しかしていないのである。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます