第51話 OL…恐るべき
撃ったり撃たれたり、勝ったり負けたりするのが楽しいのである。
上手な人とは
ヒットアピールが解りやすい。近接の時は顔以外狙える。銃口を人に向けないトリガーに指を掛けない等である。
それ以外はセンスである。
下手な人とは
ヒットアピールが解りずらい、声が小さいリアクションが小さい。サイトを使わずに撃っている。
サバイバルゲームという共通の趣味の人達の集まりなのだが全員が仲良しなわけでも無い、解り合える事も無い。それぞれの好みがあるから大きな枠の中での枝別れがたくさんあるのである。その中で同じ枝の人達が自然と仲良くなれるのである。
仲良くなれる人との出会いは自然なのである。
そして、フィールドでは敵だがセーフティでは敵味方は無くなる。
パーテーションの装備品の整理をしている。
「なんか使ってる銃が定着してきちゃったね」
「だね!どうしても馴染んだのしか使わなくなるね」
あかりちゃんはMWSとmp7、p226を主流にしている。以前の銃たちをベッド脇のガンラックに置いている。平蔵もM4a1レシーライフル風カスタム、p226しかほとんど使わなくなっている。
ガスブローバックライフルは電動ガンよりも構造が解りやすくなっていてあかりちゃんも最近はカスタムをしている。
東京マルイの製品は非常に精度が良く内部カスタムする必要が無い。しかし、サバゲーをしているとどうしても欲が出てしまい弄りたくなってしまうのだ。
あかりちゃんはチャンバーパッキンを社外品にしてストライクホップアームを入れている。デルタリング周辺は固く閉まっているから平蔵が担当である。
あかりちゃんの車が車検の為に職場へ迎えに行くと事務所裏手の建設機械がたくさん止めてある所のシューティングレンジであかりちゃんが射撃練習していた。事務服にファーストラインを付けてヒールで銃を構えていて格好良かった。宇佐美所長があかりちゃんの為に作ったシューティングレンジである。タクトレが出来るようにと重機やダンプでフィールドを作っていて1or1が出来るくらいになっている。
「平蔵!」
「ここすげーよ!いつもここで練習してんの?」
「宇佐美さんがその都度変えてくれてかなり練習になるよ」
「どうりであかりちゃんが上手くなっているわけだ!」
「ちょっと勝負しようか?」
「いいの?」
「もちろん!ちょっと宇佐美さんに言ってくる」
あかりちゃんは事務所へ走って行った。
いつの間にかここの人達はあかりちゃんのサバゲーの為に協力していた。笑えると同時に羨ましかった。
宇佐美さんとメンテナンス担当の柏木さんが高所作業車に乗って上から見下ろしている。
「始め!!」
宇佐美さんが楽しそうに言った。
1回戦目ー。
俺は2トンダンプの下を覗きながら姿勢を低くして索敵した。フォワーダーまで走って運転席に入り向こう側へ、こんな狭いフィールドなのにあかりちゃんが見つからない。
あ!ヒット!!
後ろから撃たれた。
「え!?まじか!」
俺が振り向くと重機のバケットに乗って笑うあかりちゃんがいた。
「ここは立体的フィールドだからね!」
2回戦目ー。
俺は直ぐさま4トンダンプへ乗り込んだ。まどを開けて索敵しているとグレネードが投げ込まれてきた。
うわぁ!!ヒット!!
車内はBB弾だらけになった。
「平蔵君!全然勝てないじゃん!」
「手を抜いてるんだよね!」
宇佐美さんと柏木さんがビール片手に高所作業車から煽ってくる。
「くそ~!悔しいし!ビール美味そうだし!」
俺は慌てている。
3回戦ー。
俺はフォワーダーの荷台に寝転がって高所作業車の宇佐美さんと柏木さんの目線を追った。あかりちゃんの動きが解るはずだ。そして、なぜあかりちゃんはグレネードを持っているんだ。内緒で買ったんだなと思った。
宇佐美さんがフォワーダーの隣の2トンダンプを見ている。
そこだ!と頭を挙げて2トンダンプへエイムー。
「いない!?」
「ヘッヘッヘ!」
フォワーダーの後ろを見るとあかりちゃんが銃口をこっちへ向けていた。
あかりちゃんは2トンダンプのミラーの角度を変えてフォワーダーの荷台が見えるようにしていたのである。俺が立ち上がると同時にフォワーダーの後ろから俺に銃口を向けたのである。鏡を使ったテクニックであった。
ここのフィールドはあかりちゃんの庭である。
つづく
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