第49話 良い趣味三昧

 夕方ー。


 荷物を車に積み込んで道化達がと昔話や近況を話した。

 別れ際、クエッションマークのチームワッペンをカゲトラとライトにくれた。

「今度、こっちの方に来るときに連絡下さいよ」

「了解!」

「さっきのゲームは完敗でしたわ!」

「それまでにボコボコにやられてたからね!俺とあかりちゃんもまだまだだよぉ」

「お互いにサバゲーを本気で遊びましょ!」

「ですね!」

「あかりさんもめっちゃ上手くてビックリでした!」

「ありがとうございます!」

「俺らもガスに影響されましたわ!マグプルm4とmp7をパクらせてもらいますよ!」

「どっちもあかりちゃんの奴だよ~!俺は今、ガスブロを考え中!」

「そうなんすか!?めっちゃセンスいいすね!俺らこれからアキバ行きますわ!」

そんな会話をしながら彼等と別れたー。


 あかりちゃんと二人でいつものビジネスホテルー。

 いつものコースでサバゲーショップを回る。

 あかりちゃんは籠に消耗品やメンテナンス用品を入れている。


 俺の目の前にはあるハンドガードがある。


 レシーライフルMWS用ー。


「おお!?こんなのあるのかぁ~」

前にサバゲーしていた頃からの憧れの銃レシーライフル、偵察用ライフルである。

 俺がくすみ始めている目をキラキラ輝かせていると後ろからあかりちゃんが肩に手を置いて微笑んだ。

「兄さん!アタシ今日は機嫌が良いからソイツを取っても良いんだぜ!」

「ダンナァ~!あざっす!!」

「あっちにM4a1もありますぜ!」

「ダンナァ~!あんた良い人だぁ~!」

俺は直ぐに店員を読んでレシーライフルハンドガードと東京マルイGBBのM4カービンを用意してもらったー。

「平蔵さんにはいつも幸せをもらってるし仕事も頑張ってるし!アタシが出来る事は隣にいる事だから!」

「んな事無いさぁ!あかりちゃんが俺にとっての幸せそのものだよ」

「照れるなぁ~!今日はお寿司ね!」

「良いねぇ!」

中央通りを御徒町方面に歩いていると…。


「あ!?」

正面から道化の三人がそれぞれナガモノの箱を持って歩いていた。

「あかりさん!」

ピエロが気が付いた。

「そこは“平蔵さん!”だろ!」

「あかりさんのキャラが際立っていて平蔵さんがちと薄れてました!」

「君ね~!」

「二人もアキバでしたか!」

「みんなで飯いくか?」

「良いっすね!」

そのまま“三昧”する事にした。


 五人で席についてそれぞれの足元に東京マルイが置いてある。

「早速買ってしまいましたわ!」

「軍拡は誰も止められないよね!」

「平蔵さんは何買ったんですか?」

「M4カービンをレシーカスタムするの!」

「お!良いっすね!俺はMWSをキャリングハンドル付けてアイアンでいきますよ!」

「渋いな!」

「俺はCQB-Rです。サプ付けて!突撃ですわ」

「いいねいいね!」

「俺もレシー系でロンサバっぽくしますよ!平蔵さんの影響です!M14から少し近代的にいきますよ!」

「やはり三人とも好みは変わらずだね!」

「ですね!」

寿司を食べながら五人でサバゲー話で盛り上がった。

 東京に居るときのサバゲー仲間がまだ現役で遊んでいるのに平蔵は感動した。サバイバルゲームはアクティビティとしてはコアな分野だが人を惹きつける魔力みたいな物がある。不思議な平和的な刺激の遊びの中でこうして継続出来るものなんだなぁと改めて思った。

 小さい頃、縁日で買ってもらったエアーコッキングガンで友達と撃ち合ってた延長戦ー。仮面ライダーのお面付けて拾ったBB弾を込めながら太陽が沈むまでひたすら遊んでた頃と何も変わらない。銃を見せ合って、笑い合って、讃え合って、またね!と別れてそれぞれの日常へ帰って行くー。


「良い趣味だよね」

鏡越しに髪を乾かしながらあかりちゃんが言った。

 ベッドに寝転がって天井を眺めながら感傷に浸っている俺の台詞をあかりちゃんが言ったのに驚いた。

「それ今言おうとしてた」

「先に言っちゃった!昔、男の子達が神社で戦争ごっこしてたのを女の子グループで馬鹿にしてたけど本当は混ざって遊びたかったんだよね」

「うんうん!」

「今になってやっぱり楽しい遊びだったんだって思える」

「だね!」

「平蔵さんとあの時に出会って無かったらアタシは今頃何も無い時間を過ごしてたと思うよ」

「そんな事無いだろ」

「スタートして直ぐに平蔵さんの背中を見て追い掛けて、いい歳した男の人が鉄砲持って走り回ってる!けど、熱意が溢れていて着いて回る打ちに完全に心が持っていかれてたよ。帰り道で夢中に話している平蔵さんが酒々井駅を通り過ぎたときに“もう少し一緒に居られる”て思ってディズニーを越える辺りには平蔵さんが好きになっててアキバに居るときには一緒にこうしてサバゲー通ってるイメージしかしてなかったの」

「そんな事思ってたのか!めちゃめちゃ嬉しいな」

「ありがとう!」

「こちらこそ!本当にありがとう!」

二人でベッドに寝転がって天井を見つめながら語り合って、スマホでサバゲー動画を見始めたー。


つづく

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