第47話 フィールドは異世界への入口


 セーフティでさっきのゲームの余韻を語りあっていると道化の三人が寄ってきた。


「カゲトラさんですよね?ってか平蔵さんですよね?」

「え?」

「へいちゃん知り合い?」

「いや、初めましてだよね?」

「いや、昔に世話になってましたよ」

「は?」

「俺らが始めたばかりの時に面倒見てくれたのが平蔵さんなんですよ!当時サバゲーは敷居が高い感じだったのを親切にしてくれて毎週遊んでくれたんですよ。でも、俺が就職で地方行っちゃってからなかなか出来なくなって3年前にこっち戻ってきてまた三人で始めたんです」

ジェスターが言った。

「ごめん!全く覚えてない」

「無理ないですよ!半年間くらいですもん!名前も語ってなかったし!」

クラウンが言った。

「俺らを道化って呼んだのも平蔵さんですよ」

「そうなの?」

「え?そんな失礼なこと言った?」

「はい!でも、気に入ってたからコードネームに使ってます!俺ら昔はギャル男で!なのにサバゲーやってたから!」

「あ!?思い出した!ショットとかナインとかフォレストとか現地合流で遊んでたギャル男達か!?」

「ですです!」

「まだやってたんだ!しかも見た目変わりすぎだろ!」

「当時がおかしかったんですよ!サーフボードケース積んだレクサスでサバゲー来てましたもんね」

「そうだそうだ!懐かしいな!」

喫煙所で昔話をしていると休憩しているスタッフが来た。

「道化さん達とカゲトラさんって繋がりあったんですか?」

「カゲトラさんは俺らの師匠ですよ!」

ジェスターが言った。

「マジすか!」

「いやいや!当時は俺も初心者でしたから仲良くしてもらってただけですよ」

「当時、休憩時間に1on1とか連携の練習とかカゲトラさん達とやらしてもらっていたんですよ」

「そうだったんですね」

「しかし、今日会えるとは思いませんでした」

「俺も君達がまさかまだやってるとは思わなかったし、しかもめっちゃ強いし!」

「カゲトラさんも相変わらず読みがすげぇすよ!彼女さんもめっちゃ美人だし!」

「え!?いきなりアタシにきた!美人だなんて!」

「あかりちゃんは世界一美人でしょ?」

「はい!!」

ピエロが即答した。

「調子良すぎだよ!」

タバコを吸いながら5人で楽しく会話した。


 10年前ー。

 平蔵は仲間とチームを作ってサバゲーをしていた。

 当時からm14、sr16を愛用していたのである。少し慣れてきていて千葉県や埼玉県等によく行っていた。あちこちで顔なじみが出来ていて一人で行っても誰かしら知り合いが居たのである。

 この三人は当時、ギャル男が流行っていてゴチゴチのミリタリー系のサバゲーに似付かない装備で浮いた存在であった。サバゲー始める前まで遊び人だった平蔵は直ぐに意気投合してしばらく遊んでいた仲間なのである。

 サバゲー仲間はプライベートでは赤の他人、フィールドでは苦楽を共にした戦友なのである。


つづく

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