第46話 道化師

 フラッグ戦裏ゲームー。


 ピエロ達に先程の借りを返す為にツーマンセルで離れないように連携を取ることにした。

 彼等はジェスター、クラウン、ピエロとそれぞれ道化師のコードネームを使っているらしい。ワッペンはクエッションマークがモチーフでよく目立っている。武器はジェスターがm14ソーコム、クラウンがsr 16固定ストック、ピエロがm4ソップモッドでそれぞれがカスタムしてある。カゲトラとライトは好みが同じような彼等に共感を覚えている。


 ゲーム開始早々にカゲトラとライトを誘うかのように5番フラッグ(使わないフラッグ)の方へ道化達が移動していくのが見えた。

「あれってアタシ達を誘ってない?」

「かもしれないね!よし!乗っかろうか!」

「いいね!」

櫓側からCQBに入った。

 ライトが下から警戒してカゲトラが上を警戒する。カゲトラが次の壁まで移動して周囲警戒で下を見る。ライトが合流して上を警戒する。

「CQB外のリールに確認!」

「恐らくわざと見せてるね!って事は既に違う角度に他が廻ってきてるはずだから!戻るぞ!」

「オッケー!」

二人は逆走したかに見せかけて互いが見える違う場所に籠もって敵が中に入ってくるのを待った。


 パンパンッ!


 敵の銃声ー。

 カゲトラはその音の方へそっと移動してクラウンを発見、狙撃。


ヒット~~~!まじか!


 クラウンは両手を挙げながらフィールドアウトしていった。

「ナイッス!」

「危なかった!」

「多分、他の二人は合流したと思う。さっきの銃声は他の仲間を狙ってたよ」

「オッケー!よし!これで二対二だから正面で撃ち合うか?」

「いいね!」

カゲトラはライトと合流して5番フラッグ付近まで移動した。

 ライトはパレットバリケードの辺りに敵影を見つけてわざと周辺へ撃ち込んで挑発してみた。

「来るよ!」

「オッケー!」

敵は一人が撃ち込んでるうちに一人が前進、もしくは横へ移動する。カゲトラとライトと同じような動きをしている。

 カゲトラは外周へ籠もって牽制撃ちを続けてライトを自由に動かした。

 ライトが狙われるとカゲトラが敵を狙う。回り込もうとするとカゲトラは動く素振りを見せて敵の警戒を誘うー。

 この2on2はかなり緊迫した探り合いになっている。

「まだ仕掛けるには早いよね」

「だね!まだ我慢だ。敵が先に動くのを待つ」

「オッケー!しかし、この敵の動きはアタシ達に似てるね!」

「だね!厄介な動きだわ」

「うん!手汗がヤバいよ」

「同じく!」


 パツ!パツ!


 カゲトラの近くのバリケードに単発で撃ち込んできた。

 カゲトラは構えたが敵は動いてきてない。

「今のは何の牽制かな…」

カゲトラは無駄な動きはしないように様子を伺った。


 パツ!パツ!


 ライトの隠れているバリケードに撃ち込んできた。

「カゲトラどうぞ~」

「どした?」

「単発で撃ち込んできてるんだけどなんだろう」

「こっちも撃ってきてるよ」

「顔出させる為かな…」

「それか……」


 ジャッジャッジャッジャッ!!


 砂利を走る音ー。


「突っ込んでくるぞ!!」

「あ!?」


 ライトの方へピエロが同時に銃口を向けあった。


 カゲトラの方へジェスターが同時に銃口を向けあった。


 その瞬間ー。


 ピーーーーーッ!

 ゲーム終了!ゲーム終了!赤チームさんフラッグゲットでぇす。


「おおお!!」

「すげぇ終わり方だ!」

「めっちゃビビったわ!」

「気付かれてたかぁ!」

四人は直ぐに銃口を下に向けた。


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る