第30話 あっちにもこっちにも!

 色んなフィールドへ出掛ける。


 本気で遊ぶー。


 二人の世界で戦うー。


 復活無しセミオートフラッグ戦ー。20対20位である。ここのフィールドのフラッグ戦はフラッグレバーを引いてブザーが30秒鳴り続ければ勝ちというフラッグをしばらく死守しなければならないというルールである。


 開始早々仲間の大多数はフィールド右側の平地バリケード地帯へと向かっていった。正面の小山エリアは薄く俺は正面の凝った造りの砦付近を警戒しつつ左側の塹壕地帯に向かったあかりちゃんをフォローした。塹壕地帯の奥の櫓二階からスナイパーが狙っている。

 あかりちゃんの隠れている塹壕は射程圏内なのだが完全にロックオンされていて身動きが取れないで居る。俺は周りの状況をみる。少し離れた廃車とドラム缶にナム戦装備のおじさんが居る。俺はそのおじさんにジェスチャーで櫓の敵の位置を教えた。

「まかしときや!」

おじさんがm16a1を構えながらあかりちゃんの左側の塹壕へと突撃してくれた。俺もそれに続いて右側へと動いた。おじさんが塹壕から櫓へ撃ち込んで居るが弾がブレて逆に撃たれてしまった「ヒット!!ナイスショットや!!」おじさんが大声でヒットコールしているうちに俺はスナイパーを仕留めた。

 その後、ゲームは敵チームの要の櫓を制圧できてその流れで敵チームのフラッグまでブッシュエリアから辿り着いてあかりちゃんがフラッグレバーを引いて俺は数人の仲間と周囲を警戒しつつ30秒守り切った。この特殊なフラッグ戦は緊張感がありかなり面白いのである。


 セーフティエリアに戻ると喫煙所からナムおじさんが声をかけてきた。

「姉さん凄いやん!めっちゃかっこええわ!」

ナムおじさんは明るい関西弁であかりちゃんを讃えてくれた。

「兄さんも指示良かったわ!名誉の戦死ができたわ!」

「いやいや!おっちゃん居てくれたからフラッグ取れましたよ!ありがとうございます」

俺とあかりちゃんは頭を下げながら煙草を咥えた。


 ナムおじさんは還暦と共にサバゲーを始めたらしく、まずはベトナム戦争からだと言うことでナム戦装備をしているらしい。ナムおじさんは見た目は厳ついが明るくて話しやすかった。

 その日はナムおじさんと連携プレーで遊んだ。関西のサバゲーマーは明るい人が多くヒットコールもそれぞれアピールが面白かった。その場でやられたふりをして倒れ込んでいたり白旗を挙げていたりと関東とは違った面白さがある。

 ナムおじさんの装備は“地獄の黙示録”のマーティンシーンをイメージしているらしい。


 その日以来、ナムおじさんと連絡先を交換して泊まりで関西へ行くことが多くなっていた。


 関西へ行く度にナムおじさんの装備は近代化していき仲間もかなり増えていた。器の大きいナムおじさんの周りには自然と人が集まってきていて気付くとチームは30人ほどになっていて毎週15人は集まるという驚異の出動率である。


 ゴルフ場を改装したかなり有名なフィールドへ行ったー。

 ナムおじさんのチームメンバーは20人来ていて半分ずつ敵と味方に別れた。仲間同士で同じチームだと他のお客さんの迷惑になりやすいからナムおじさんがフィールドに気を使って自らのチームメンバーを分けているのであるー。

「モッサンがカゲトラ氏と知り合いだったなんて凄いやん!」

チームのメカニック担当の二人が寄ってきた。一人はデジカム装備でもう一人はウッドランド装備であった。

「あかりちゃんとへいちゃんが有名だとはしらなんだよ」

モッサン(ナムおじさん)はチームメンバーに俺達を紹介している。俺とあかりちゃんはゲスト的な立ち位置でかなり恥ずかしかったのと関西のノリが掴めなかった。

 チームメンバーの準備が終わりフィールドの看板の前にて全員で記念撮影をした。


続く

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