第25話 14はシュガードのアイリーンに!


 フルオート無限復活カウンター戦ー30対30位の戦いである。


 将太はM14を上手に使いこなしていた。

「なれてるじゃん!」

「研究してたからね!やっぱM14いいわぁ!」

将太は櫓下に籠もりながらM14を撫でている。

「あ!ヒット~~~!」

「おい~!」

将太は跳弾でヒットしていた。少し後ろのバリケードであかりちゃんとミクちゃんは笑っていた。

「ヒットーーーー!!」

それを見ていた俺もヒットした。


 何回も突撃してヒットしての繰り返しで朝一のゲームは四人でわいわいした。


 セーフティエリアで弾を込めていると

「お姉さんlight氏ですか??」

あかりちゃんがギリーを着た人に声を掛けられた。

「え!は、はい!」

「やっぱり!フォローさせてもらってます!」

「ありがとうございます!」

「写真いいですか?」

「え?あ!…はい」

「カゲトラ氏も良いですか?」

俺は後ろで少しの嫉妬の目を向けていたが声を掛けられてニヤついた。

 将太に写真を撮ってもらった。


「Twitterの威力凄いね!」

「凄いな!あかりちゃんをlight氏って呼んでくれてたね」

「うん!なんかめっちゃ恥ずかしい!マスク付けようかなぁ」

その後も数人に声を掛けられた。


 将太とミクちゃんはかなり慣れていて教えることは何も無かった。

 他の参加者ともコミュニケーションを上手くとっていてヒットアピールも素晴らしかった。


 セミオート復活無しフラッグ戦ー。


「はーい!ヒット判定は自分に厳しくしてくださいね~!!」

フィールドマスターが大きな声でアナウンスするとミクちゃんが撃たれてないのに

「ヒット~~~~!ヒット出まぁす!!」

と小さい身体で大きくアピールしながらフィールドアウトしていった。


「あれ?ミクちゃん撃たれた?」

あかりちゃんが不思議そうに言った。

 ミクちゃんは完全にバリケードに隠れていて弾も飛んできていなかった。

「たぶん!周りにお手本を見せようとしたんじゃ無いかな~」

「将太!めっちゃ素敵な彼女じゃないか!逃がすなよ!」

「おう!解ってる!」

「がんばってね!!」

「はい!あかりさんも叔父さんをよろしくです!」

「はい!任せておいて!」

「おいおい!本人の目の前で恥ずかしいぞ!」

三人でブッシュに隠れながらそんな会話した。


 将太はすっかりM14が気に入ったらしくセーフティエリアでずっと握り締めている。

「それあげるよ!」

「え?」

「長年の俺の愛銃で色々と共に戦ってきた幸運の14だよ!」

「そうなの!?」

「いや、そうでも無いかな~」

「嬉しいけどまじでいいの?」

「もちろん!壊れるまで使ってくれよ」

「やった!!」

俺はM14を将太に譲った。


“今日はアキバに行ったら新しい銃を買っちゃうんだもんね!”

と心で呟いた。

 新しい銃の条件はM14と同等の性能とSR25固定ストックである。映画アメリカンスナイパーやローンサバイバーに登場するM110と同じ形の銃が昔から欲しかったのである。しかし、東京マルイからは発売されていなくて海外メーカーは怖いから今まで諦めていた。しかし、最近の海外メーカーも性能が良くなってきていて多少の安心感で買えるかも知れないと台湾産のモノを買おうと決めていた。


 それを知っているあかりちゃんはカントリーマアムを食べながらニヤニヤしている。


 ラストゲームー。

 フルオートフラッグ戦ー。


「楽しい一日はアッという間だよね!」

「だね~」

四人はフィールドを眺め回しながらうんうんと頷いた。


 俺達は四人でバンブーエリアから攻め上がった。

 ぼろ屋に将太が潜って親指を立てて合図してそれに従って三人で前に、あかりちゃんが先行して索敵、ミクちゃんが続く、俺は少し後ろで全体をみる。

 バンブーエリアの奥の廃車と櫓に敵影を確認したあかりちゃんが撃ち込むとそれに合わせてミクちゃんが角度を取りながら横のバリケードへ移動した。将太が単発で廃車の敵を撃つ

“ヒット!!”

「廃車ダウン!」

「ナイッス~!」

その廃車へミクちゃんが貼り付くと周りの敵から集中砲火を受けて動けなくなった。

「ワチャーーー!動けない~!」

「ミクちゃん!そのまま待機!」

「はい!」

あかりちゃんが匍匐前進で前に進んだ。

 俺はあかりちゃんがいたバリケードまで進んで将太にもう少し前に来るように手招きした。

「たぶんミクを狙ってる敵は5人くらい居るよ!」

将太がドラム缶に着いて隙間から索敵している。

「オッケー!取り敢えず一人は確認してる」

俺はミクちゃんの隠れている廃車の奥にあるベニヤバリケードに敵影を確認している。射線が狭く下手するとミクちゃんをフレンドリーファイアしてしまう危険があり撃とうにも撃てないで居た。将太も違う方角の仲間の援護をしながらドラム缶から敵の動きを注視するのが精一杯であった。


“あかりちゃんは何処行った?やられたのか?”


 そう思っていると

“ヒットーーーー!”

“ヒット!ビックリした!!”

敵のヒットコールが二回聞こえた。

 あかりちゃんが匍匐前進で敵の真後ろまで進んで二人を撃破したのである。

「すげ~!」

将太がそれを見ていて唖然としている。


 俺はそれを確認して一気に進んで敵が居た櫓に着いた。あかりちゃんも合流した。

「あかりちゃん……凄すぎ!!」

「やったね~!」

落ち葉だらけのあかりちゃんが笑ってる。

 何とも頼もしいお姫様だと思った。


 ミクちゃんを救出成功して進むとケツを撃たれた。

「ヒットーーーー!」

後ろに敵が居ないのを確認して居たのに何でだと思ったらミクちゃんの誤射であった。

 振り返るとミクちゃんが土下座していた。

 隣であかりちゃんがツボった。そのまま敵の狙撃で

「あ~ヒットーーーー!」

俺とあかりちゃんは二人でフィールドアウトした。

 あかりちゃんは終始ツボっていた。


「平蔵さんの後ろでミクちゃんがリロードしてて誤射しちゃってね!お尻撃った後にそのまま土下座してたの!もうめっちゃ笑ったよ~平蔵さんもキョトンとしててね」

「めっちゃビックリしたよ!え?!だれ?将太か?って将太を疑ってしまった」

「それ可哀想!」

話ながら荷物を整理しているとフィールドスタッフが近づいてきた。


「すいません!今日のTwitterとかブログで載せさせてもらってもいいですかね?」

「あ!全然大丈夫ですよ~」

「ありがとうございます!」

「こちらこそです!サバゲーの仙台四郎さんになりたいね!」


続く

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