第18話 ナチュラル・コスタ
薄らと街が見え始める頃に目を覚ました。
まだ寝ているあかりちゃんを起こさないようにシャワールームに入った。
シャワーを浴びながら歯磨きしていると“ガチャ”とドアが開いてあかりちゃんも入ってきた。
「おはよう」
「おはよう」
あかりちゃんは俺を見ないで身体を寄せてきた。
「恥ずかしい…」
「自分で入ってきたよね?」
「だけど恥ずかしい」
身体を寄せて肌をふれあわせながら互いに身体を洗った。
車に荷物を積み込み八王子へ向かって車を走らせた。
今日は千葉県では無くて八王子のフィールドへ行くことにしたのだ。
中央道を走っていてモノレールが見れたらその日は幸運という自分で決めた占いを作っている。
「あそこにモノレールが見えたらその日はついてるんだよ」
「そうなの?」
「俺が勝手に決めてるだけだけどね」
そして目の前をモノレールが走り去っていった。
「おお!」
「あ!」
運転している俺の頬にあかりちゃんがキスをした。
フィールドに着いて俺は定例会の券を券売機に買いに行っている間にあかりちゃんは更衣室へ向かった。
更衣室から出て来たあかりちゃんはデニムにマルチカムのファーストライン、プレキャリ、ヘルメットのスタイルであり「格好いい!」と声を掛けた。
「似合ってる?」
「もちろん!イメージ以上に似合ってるよ」
「やったね!後は強くならなきゃだ!」
「大丈夫!俺が着いてるから今日はヒットたくさん取ろう!」
「はーい!」
あかりちゃんは敬礼ポーズをした。
冷え込む朝だが郊外にもかかわらず参加者は多くてセーフティエリアはワチャワチャしている。
コケコッコー!
「ん?にわとり?」
あかりちゃんが周りを見渡した。
フィールドの造り込みが良くてコンテナのCQBやパーテーションを使ったルーム型のエリアとかがありCQCも有り得る位のフィールドであった。
装備が整ったあかりちゃんは動きもベテランのような感じになっている。ストックに頬を乗せてしっかりとアイアンサイトを覗きながら撃っている。
「ブラックナイト最高!」
「コスタ撃ち!?似合ってるよ!」
そう言う俺はあかりちゃんの後ろに居て守られているように思った。
どんどん突き進むあかりちゃんをフォローしながら俺は着いていくー。
「コンテナ裏に二人!」
あかりちゃんからの情報で俺はフィールド外周のネット沿いに進んだが敵にバレて俺のバリケードに撃ち込まれて動けなくなっているとー。
「ヒット!!」
「ヒットー!」
敵二人の同時にヒットコールが聞こえた。
「トゥーダウン!」
バリケードから顔を出すとあかりちゃんがガッツポーズを取っていた。
「マジか!?あかりちゃんめっちゃ強いぞ!いつ覚醒したんだ!」
俺は特殊部隊ばりの動きをするあかりちゃんが少し恐ろしくなった。
「ヒットーーーー!!ナイスショットでぇす!」
撃たれても相手を讃える余裕すらある…。
「あ!いて!ヒットーーーー!!」
そんな事を思っていると真後ろからケツを撃たれた。
セーフティに戻るとあかりちゃんがカントリーマアムを食べながら自分の銃のホップ調整していた。
「ねぇリョーディーンって何?」
「リョーディーン??」
「さっき隣の仲間がリョーディーン!リョーディーン!って言ってた」
「なんだそれ…リロードじゃない?」
「リロードって何?」
「弾倉の交換って事だね!弾が無くなって交換するから援護しておいてって事じゃ無いかな?」
「なるほど!略してリョーディーンか!」
「略になってないけどね」
「あ、確かに!」
「それよりも、あかりちゃんはいつ覚醒した??めっちゃ上手くなってるけど!しかもコスタ撃ち!」
「そう?ん?コスタ撃ち?」
「うん!ナチュラルなコスタ撃ちか!?」
「昨日、寝る前に一緒にユーチューブ観てたからじゃないかな?」
「それだけで??」
「ガスブロ撃ってみたい!」
「動画の人はリアカンのガスブロだったね」
「リアカンって?」
「リアルカウント、弾数を実物と同じにして戦争フェイクで楽しんでる人の事だね!無線機使ってチームプレイしてたりね!」
「格好いいなぁ!」
「格好いいよね!」
「アタシもリアカンのガスブロになりたい!」
「マジか!?」
あかりちゃんは既にレプリカに不満足のようで在った。
続く
※連携プレー
これは個人差あるから何とも言えないのだが友達でもフィールドで初めて会った人でも、連携プレーで遊ぶのはかなり楽しい。フラッグ周りを制圧してからのゲット等すると気持ちいいのである。
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