第11話 振り返ると着いてくる
初心者は俺の後ろにピッタリと付いて俺が指差した所にパスパスと撃ち込んでくれた。構え型も様になっていて初めてとは思えないくらい積極的に撃ち込んでいる。普通はビビってしまい中々動けないモノなのだがこの初心者は全くそんな感じはしない。その隙に俺は角度を付けて敵を撃破していった。そして初弾の数発で気付かれる前に撃てば電子トリガーは関係ないのである。俺はバラクラバの内側で少しニヤつくー少し性格悪いなと自分で思いながら進む。
敵の撃破を確認すると初心者は直ぐに俺の後ろにつく。
「よく付いて来れますね」
「必死です!」
「あそこに見えるのがフラッグのある電話ボックスですよ!」
ここでスタッフさんが俺達の写真を取りに来てくれた。俺は恥ずかしいからいつも緊張してしまう。
初心者は小さくピースしていた。
「あそこの数枚先に敵が二人居るから俺が引きつけてる間にフラッグまでダッシュしてボタン押してください!」
「やったりますわ!」
「おう!俺がやられても気にしないでくださいな!」
俺はそう行ってブッシュエリアから身を低くしながら前進した。市街地の反対側から牽制で敵のバリケードを撃ってこっちに気をそらさせた。
俺は初心者に行け行け!の合図を出してそのまま敵のバリケードへ向かった。
そして、一人撃破したがもう一人に撃たれた。
「ヒットーーーー!!」
「ナイスガッツです!!」
敵も俺に声を掛けてくれて倒した敵とフィールドアウトしていると後ろから“プーーーーー!!”とフラッグゲットの音がした。
「赤チームフラッグゲットでーす!」
スタッフさんの声が聞こえた。
「お!もう1人居たんですね!」
「はい!あの娘にフラッグ取らせてあげたくて囮になりました」
「さすが!あ!そのパッチと言うことはカゲトラさん?」
「本人は知らないけどそう言われてるみたいですね!」
一緒にフィールドアウトした敵さんが握手してきた。
ーあかりー
優しいお兄さんがアタシにフラッグを取らせてくれる為に突っ込んでくれた。
お兄さんからの合図を草の中で待った。
パンパン!と林の中でお兄さんが敵と撃ち合う音がして次にお兄さんが腕を振った。
「合図だ!」
アタシは電話ボックスへ走った。鉄砲は足元に置いてきた。電話ボックスに辿り着く前に「ヒットーーーー!!」お兄さんがやられた声がした。アタシにフラッグをゲットさせてくれるために戦死したのだ。
「死を無駄にはしない!」
アタシは赤いボタンを力強く押した。
隣でスタッフさんが写真を撮ってくれた。
“プーーーーー!!”
「おお!やった!」
「ナイスです!カゲトラさんのエスコート良かったですね!」
スタッフさんが後ろで見ていてくれていた。
「カゲトラさん?」
「エスコートしてくれた人ですよ」
「凄く優しく指示してくれました」
「カゲトラさんやるなぁ~!」
アタシはスタッフさんとフィールドを出たが鉄砲を忘れてきたことを思い出して直ぐに取りに戻った。
セーフティエリアに戻ると凛子と凛子の二人の後輩が敵チームの男の子三人のグループとキャッキャしていた。
凛子は昔の仕事仲間であり最近はサバゲー女子をしている。
「あ!あかり!フラッグゲットしたんだって!凄いじゃん!」
凛子達は可愛いミリタリーファッションをしている。
「優しいお兄さんがエスコートしてくれて…」
「そうなんだ!おめでと!あ!このお兄さん達とこれから合流するから黄色チームになるね!」
「え?でも、あのお兄さんにお礼出来てなくて…」
「じゃあ探してお礼してきなよ!ウチら移動しておくね!」
凛子達は席を移動し始めた。
続く
※レンタル
どのフィールドも初心者の為にレンタル電動ガン、フェイスマスク、BDU、手袋等を貸し出している。殆どが有料だが最初はレンタルで良いと思う。
あとは動きやすくて赤、黄色以外の服装が望ましいと思う。
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