第10話 サバゲー女子!?

 千葉のフィールドで“カゲトラさんですか?”と声を掛けられる回数が増えてきた。

 俺は「違います」と答えるのだが若い男の子がTwitterの画面を見せてくれた。そこには先月に遊んだ俺の写真が写っていた。

「あ!俺だ」

「やっぱりそうですよね!」

「でもなんで?」

「ユーチューバーさんがTwitterに上げててフォロワー内でバズってるんですよ」

「どういう事ですか?」

「ユーチューバーさんが“この人を見習え!”ってカゲトラさんの写真を上げて誰々?ってなって皆探してるんです!」

「なぜカゲトラ?」

「毘と上杉謙信のパッチしてるから“カゲトラさん”ですよ」

「なるほどですね」

俺は肩の“毘”を見た。プレキャリには上杉謙信の家紋を付けている。やっと“カゲトラ”の意味が解った。


 次のゲームはセミオートフラッグ戦ー。

 このフィールドは市街戦的な作りになっていてパイプで組まれた建物があちこちにあって街中をイメージした作りになっている。隣にも同じグループのフィールドがあり大人数のイベント等の時は開放されたりしていた。今日は40対40位であった。

 俺は外周のリールドラム地帯を回ってフラッグの裏から回ろうと考えている。


 そしてゲーム開始ー。


 殆どの人は入り口近くの建物やキャットウォーク周辺へダッシュしていた。俺はテンポをずらしてスタートして中央付近の交戦の音を確認してから黒いバリケードまで進んだ。仲間が数人前に居るが俺からは距離があるから動きだけを確認していた。

 俺のバリケードへスタスタとレンタル電動ガンとレンタルフェイスマスクをしたパーカーにスウェットの女性が合流してきた。

「何回目ですか?」

俺は聞いてみた。

「あ、今日初めてなんです」

「マジすか?楽しんでますか?」

「敵が全然見えないです!」

「敵もバリケードに隠れてますからね」

「ですよね」

「怪しいなと思ったら撃ったらいいんですよ」

「はい!」

「では、俺は前に行くので!ご武運を!」

俺はその人を置いて外周沿いに動いた。バリケードが混み合うからレシーライフルを後ろに回してハンドガンに持ち替えてバリケードの裏をクリアリングしながら進んだ。

 ある程度、索敵して何人か敵の後ろからヒットした。

 ブッシュエリアのバリケードに隠れてハンドガンのマガジンをリロードしてレシーライフルに持ち替えようとしていると、さっきの女性が付いてきていた。

「付いてきたの?」

「はい!」

「よく撃たれないで付いて来れたね」

「頑張りました!」

「よし!フラッグ狙いますか?」

「え?大丈夫ですかね?」

「指示出すからツーマンセルで行きましょう!フラッグはここから20メートル位先にあって透明の電話ボックスの中にあります!その周辺には敵がまだ残ってるはずだから俺が周りを引きつけます。ユーは俺の直ぐそばにいて俺があっち!こっち!言うからそこに撃ち込んで下さい」

「オッケーです!やりましょう!」

初めてなのにめちゃめちゃやる気満々な人である。


続く


※ブラインドショット

 バリケードに隠れながら銃だけを出して手当たり次第撃ちまくる行為。

 これをするのはテロリストくらいである。サバゲーマーはテロリストでは無いからこれをする意味が無いからしなくていいのである。撃つときは牽制であってもちゃんと狙って撃ちましょう。

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