第9話 食わず嫌いはねぇ~!

 弾の散らばりを抑えるために比較的評判の良い真っ白な弾を買ってみた。そして重さも0.2㌘から0.25㌘に変えた。集弾性の良さは明らかだが自分の脇の締め方が甘いから弾道が多少ズレていると感じた。小さな隙間から見える敵をヒットさせる為には飛距離と弾道をもっと把握して安定した射撃を心掛けなければと思いながら遊んでいる。相手からの射線を切りながら先の先までの移動を考えながら自分の射程距離まで詰めないと上手にヒットが取れないから立ち回りを研究しなくてはならないー。


 フィールドで知り合った人達はかなりのカスタム銃を使っていてそれぞれが格好いい。今は海外メーカーもかなり性能向上して更にショップによるカスタムも有りサバゲー業界が盛り上がっているように感じている。年齢層も比較的若い人が多く装備もお洒落である。LEやPMC、マーシャル装備が多く見られる。銃も50mの的をパスパスと当てられるほどであった。

「電子トリガー入れてないんですか?」

「電子トリガーってなに?」

「知らないんですか?電気制御でキレをよく出来るんですよ。プリコックも制御してセミのキレが向上しますよ」

「ほう?キレが良いとどうなるの?」

「単純に撃ち合う時に強くなりますよ」

「なるほど,数秒の差が出るのか…」

俺はその彼の銃をシューティングレンジで試射させてもらった。

 確かにトリガーを触るだけで弾が出るくらい敏感になっている。

「これは凄いな!」

「ですよね!今はこれじゃないと!」

「ほほう」

物凄い性能だなと思いながら次のゲームが始まった。


 東京マルイスタンダード電動ガンのフルオートと電子トリガーのセミオート連射とさほど変わらないー。

 そこで思った。

 

 俺は要らないなぁー。


 しかし、食わず嫌いは良くないからショップオーナーの勧めでたまたま入荷した電子トリガー入りのハニーバジャーを買ってみたのである。


 それからしばらくハニーバジャーを使ってみたー。

 確かに電子トリガーなる装置はかなりの性能でありトリガーのストレスが無く撃てる。しかし、何か物足りないのである。弾の跳び方も問題なく箱出しで遊んでいても何ら問題は無いものしかし、何か物足りないのである。銃も軽い、剛性も良い。しかし、何か物足りないのである。


 そして使わなくなってしまった。


 若いサバゲーマーとの会話は新鮮でありそれなりに楽しめた。

 俺はたまに千葉県へ泊まりで遊びに行くようになりアキバのビジネスホテルを予約して土日連チャンで遊んでいる。ホテルは御徒町とアキバの間にあるから夜はミリタリーショップを徘徊しながら飯を食べた。必ず行くのはアメ横の中田商店である。ここは中学の頃から通ったお店で昔のオーナーさんがやたらとおまけをしてくれた記憶がある青春のお店の一つであった。それ以外に老舗ショップと新しいショップを見て回っておもちゃ屋を見て回る少年に戻った感覚でウロウロするのである。


 昔も今も基本は何も変わらないのである。


続く


※シチュエーションヒット

 自分が気付く前に銃口を向けられていたり至近距離で完全に負けたと思ったら撃たれてなくても“ヒット”する事である。これは相手とのコミュニケーションの一つとして覚えておいて損は無いと思う。至近距離でも撃ってくださいとフィールドマスターは説明すると思うが、それはルールであり正当だと思うがあくまでもコミュニケーションの一つとしておくのがいいと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る