第5話 M14が好きなんだよ!

 電動ガンのトリガーを引く感触とピストンがエアを吐き出すモーター音に昔を思い出した。

 見ず知らずの仲間との連携をしながら敵を撃破しながら笑い合う遊びである。特殊部隊やLEやPMCは普段ストレス抱えて頑張って働いている。休日はそれぞれの部隊になりこうして遊んでいる。

 前は俺もそんな感じであった。


 セミオート復活無しフラッグ戦ー。

 敵基地にあるフラッグを取った方が勝ちである。


 俺はM14を手にした。

 スコープやドットサイトは付けないでアイアンサイトで狙うのである。

「それ格好いいね!」

「将太はコイツの格好良さが解るのか!良いね」

「次貸してもらっていい?」

「良いよ!重いけどな」

「まじか~!」

俺達はゲーム開始して直ぐにバンブーエリアへ向かった。一度ドラム缶に隠れてこっそりと様子を伺う。遠くの櫓方面で撃ち合いが始まっているがこちらは静かである。


 将太を一つ前の黒いシートバリケードまで行かせながら周りを警戒していると例のぼろ屋に人影を見つけた。敵は将太が射程内に入るのを狙って居ると思った。

 しかし、M14は命中精度が良い俺は隙間に見える敵を狙うことが出来た。

“ヒット~!”

「良い声だぜ~」

将太が俺を見て親指を立てた。


 バンブーエリアから続くフィールドの外周を進みながら仲間からの索敵情報を得ながら将太を前に出して進む、将太にヒットを取らせてあげたいのとフラッグの近くまで行かせたいのである。俺は自分が援護系が得意なのを思い出しながら将太を進ませた。


 リールドラムが並ぶ場所から敵基地周辺の櫓で撃ち合う仲間が居た。

 俺はその人のところへ将太を行かせた。

「おお!援護来た!サンキュー!櫓上の階段側からスナイパー居るよ」

「は、はい!え?どこどこ?見えない!」

将太は仲間からの情報で覗いて見るが全く敵が見えていない。

 俺は少し下がった場所から将太に声を掛けた。

「将太~!そこら辺で敵に見えるようにウロウロしてみ~!その間に仲間に撃破してもらえば良いよ」

「え~!?怖~!」

「大丈夫!撃たれたら痛いだけだから!」

この会話を聞いていた仲間が

「俺が囮になるから君が敵を撃ちな!せっかくだからヒット取ろう!」

将太が初心者なのを察してくれて初ヒットに協力してくれたのである。

「いやいや!ありがたいですが!俺が囮に!」

「俺やってみるよ!」

「いや!ここは俺が!」

ダチョウ倶楽部の寸劇ー。

 三人で笑った。将太はポカンとしていたがこれが通じると言うことは仲間は俺と同世代だと思った。


 そして、やはり俺が囮になり後方から一気に前へ出た。

 何枚かバリケードに移動しながら敵に撃たせてる間に仲間と将太が櫓上の敵を倒した。

 それを確認して居たときに違う角度からの狙撃で俺はヒットした。

「ヒットーーーーーー!!」

大きなリアクションを見てくれたスタッフが“ナイスヒットコール!”と言ってくれた。

 セーフティエリアの喫煙所でタバコを吸っていると将太の大きな声が聞こえた「ヒットーーーーーー!!!」そしてスタッフから“ナイスヒットコール!”と言われていた。


 戻ってきた将太とタバコを吸っていると“プーーーー!”とフラッグゲットの音がして先ほどの仲間がガッツポーズしていた。

「おお!とれたんだね!」

「叔父さんがやられた後に俺も突撃してあの人にやっつけてもらったんだよね」

「おお!良い役割したんだね!」

「いいね!サバゲーはめっちゃめちゃ楽しいよ!」

「最高な遊びだよね!」

「ありがとね!」

「また来ような!」

そんな会話をしていると先ほどの仲間が声を掛けてきた。

「ありがとうございました~!いい絵撮れました!」

仲間はユーチューバーらしく動画配信者であった。

 セーフティエリアの席も隣同士だったから将太と記念写真を撮ってもらった。


続く

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