第1話 ガレーン国

 隣国ガレーンに来て半年が経ち。わたくしから――わたしに言葉も変わって、ずいぶんと逞しくもなったと思う。


 わたしが、今いるのは高い城壁に囲まれた王都ガレーン。若き国王ドラーゴ・ガーレンが納める、産業、鉱山、剣と魔法が栄えた大国。わたしたちが住むローレンス大陸一、最強騎士団を保有している大国で、有能な冒険者も沢山この国には住んでいる。


 王都の中央の高台から王城が、東南西東に街は区切られた王都を見下ろしている。

 

 北区には亜人種族が住み。

 高貴な貴族と商人は西区と東区。

 一般人が住むのは南区だ。

 

 大昔――北区は奴隷地区と言われていた。国王が代わり奴隷制度は廃止。しかし、北区に住む亜人達は国が発行する――永住権、通行証、契約書がいるみたい。


 ガレーンにくればすぐ冒険者になれると思っていた。

 この国の冒険者ギルドに登録するためには、永住住民権が必要となり、それを取得するのには最低でも一年以上は、王都に住まなくてはならない。


 わたしは乗ってきた馬を売り、安い家と、バイト先を北区に見つけた。







 ミリア亭――北区に唯一ある食堂。

 早朝七時から四時まで週七日働く。その七日の中、一日だけ午前中はお休みで、お昼過ぎから四時まで仕事だ。


 私は店の表から裏に周り、裏口の扉を開けた。


「おはようございます、ミリアさん」

「おはよう、リーヤ」


 挨拶を終えてエプロンを付けて厨房に入ると、この店の店主ミリアが聞いてくる。


「リーヤ、今日の気まぐれは何を作るんだい?」


「気まぐれですか? 今日はオムライスとカボチャのスープ、あとはサラダを作ろうと思っています」


「オムライスか、いいね!」


 ミリア亭で働き始めて三ヶ月を過ぎた頃に、店主のミリアが作ってくれたわたしのメニュー。


「【リーヤの気まぐれご飯】」


 調理が上手くなりたいとミリアに相談したわたしに、調理は愛情を込めて丁寧に手順よく作っていけば美味しくなる。"リーヤは手際と包丁の扱いが上手いから、すぐに上手くなるよ"と言ってくれた。

 

 ミリアはポンと胸を叩き、あとは"この私"を見て経験を積む事だね。店にある材料はどれも使っていいし『足らなかったら領収書きって、商店街で材料を買っておいで!』と言ってくれた。

 

 日替わり定食だけのミリア亭にわたしのメニュー『【リーヤの気まぐれご飯が】』できたのだ。

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