Day.79 競技は参加するより観客席で野次飛ばす方が楽しいわ・よ・ね?
さぁさぁ始まりました、創造神専門学校(仮)運動会!
司会と実況……ついでに
さて今回の運動会では、解説に特別ゲストをお呼びしています。
ボクが管理する『大使館』を介して、このたび『姉妹都市』の提携を結ぶこととなりました
豊穣を司る美貌の女神──『
*****
校舎の窓ガラスよりも透き通った銀髪!
太陽をも射抜くほど熱を帯びた赤い瞳!
豊満な
数多のエルフと妖精を従え、
「あ・な・た……
ふくよかな胸まで垂れた髪を片手ですきながら、フレイヤ様は子どもみたいに頬をぷっくりと膨らませました。
いや〜、さっっっすがフレイヤ様! 超大人っぽい! エロい! おっきな泣きぼくろも太ももまで露出したワンピースも、その御御足をパイプ椅子の上で組み直す仕草も、色っぽくていちいちイヤらしい〜〜〜っ!!
「だ・か・ら。それ、本当に褒めてるの? わ・た・しのこと馬鹿にしてなぁい?」
ば・か・に、してませんっ!
ほら〜ご覧ください、グラウンドで巻き起こった歓声を! 傀儡風情がフレイヤ様を見つけるなり、機械仕掛けのくせして盛りに盛ってますよ〜!
市長さんもバタムとぶっ倒れちゃいました! さ・す・が『
「あ、そう。あり・が・と」
褒めちぎるとウィンクしてくるフレイヤ様。あ、機嫌治った。
……やっぱり頭とお尻が軽い神様だなあ〜……とか、ボクは絶対に口に出したりしませんよ。はい。
「さっそくですがフレイヤ様!」
ボクは彼女がご機嫌なうちに、解説者としてのお務めを果たしてもらうべく一気にたたみかけちゃいます。
「今回の紅白チーム対抗戦、戦況はどう見ますか? 紅組は市長さんが代表、白組は創造神様が代表となっていますが!」
「ん〜……退屈」
「ん? タイクツ??」
「がらくた種族の
あからさまなため息を吐くフレイヤ様。がらくた種族って……たぶん、いや間違いなくロボットたちのことを言ってますよね?
そりゃ〜まずいですよフレイヤ様。これ、運動会ですから。学校に在籍する生徒が参加すること前提の競技大会ですから!
「ましてや、フェアリーはともかくエルフってぇ……もう見飽きたわあ。メスばっかだし。うちにもエルフなんかいっぱぁい住んでるし」
「いやいやフレイヤ様、ドワーフこそおたくの世界にいくらでもいらっしゃるじゃないですか〜。わざわざこっちまで呼んで来なくても……」
「エルフの競技大会なんて、同族同士、しかもメス同士で戦わせたってつまんないのよぉ。ドワーフのオスどもと乳繰りあってる姿を、高みから見物するのが面白いんじゃな・く・て?」
──……はい。
フレイヤ様ってこ〜ゆ〜神様です、皆さん。だいたいおわかりいただけました?
「まあそうおっしゃらず〜!
「ガキは興味なぁい。成人とじゃなきゃあ、合法的にイイコトできないじゃない」
──……はい。
乳繰り合うとかイイコトとか、不健全なワードばっかり連発するのはいい加減やめていただきましょうか! 隙あらば下ネタしか言わねえ、この変態!
ただ、フレイヤ様のモチベを上げたいからって市長さんを引き合いに出すのもいささか問題ありましたね。危ない危ない、市長さんがうっかりフレイヤ様の餌食になるところでした!
これはボクの不手際、失態ですね。反省反省! ん〜じゃあ、ここは〜……。
「あっはは〜フレイヤ様ってば相変わらずのオトコ好きでぇ。しょーがないなー。んじゃーあとで、創造神様と夜の会合でもしたらいかがですか?」
「ばっばばば馬鹿者!?」
あ、怒られた。
スピーカー越しのボクたちの会話を聞いていた創造神様に叱られた。
「こらあプリン、神を売るな神を!! 嫌だよフレイヤなんて神様界隈屈指の情欲の権化! 相手できるのはせいぜい、真っ昼間の健全なお付き合いまでだよ!」
「あら、昼の情事もたまには悪くないわよぉ?」
フレイヤ様はちょっとだけ、満更でもなさそうな顔をしましたたけれど。
じとりと創造神様を見据えてから、こんなことを言うわけです。
「ん〜……わ・た・し、も彼は嫌。背ぇ高なのが嫌。見てくれも女みたいだし」
「さ、左様ですかぁ」
「だってぇ、ドワーフくらいのちっこい髭面に跨って、奴らをヒイヒイ言わせるのが私好みのシチュエーション──」
「ストップスト〜ップ!! 学校行事で猥談はやめろぉフレイヤ!! 自重しろ変態! セルフレイティングに抵触するぅ! ここは私が作った
「誰がお子様だコラァ!」
あちゃあ、市長さんにまで飛び火してしまいました。
う〜ん司会ってけっこう難しいですねえ。実況や解説どころじゃありません!
ただただフレイヤ様が暴走するだけのお時間となってしまいました!
*****
「ま、いいや! 張り切って第一種目いってみましょ〜う!!」
ボクがすべての罵詈雑言をガン無視して、強引に次の進行へと進めちゃいます。これ以上は埒があきませんからね、本当に!
すると、やっぱりジト目でボクにガン飛ばしてくる視線。フレイヤ様がふと、ボクへこんなことを言い出すわけです。
「あ・な・た……前はそんなに、周りの話を聞く子だったかしら?」
「……へっ?」
「人の話聞かなくって、私の許可もなくよその世界行ったり、新しい仕事持ってきたり変な住民連れてきたりいつもひとりで突っ走る、みんなのリーダーぶってる子だったのにぃ」
ぽっかーん。
急に不思議なことを呟くフレイヤ様へ、ボクも口をあんぐりさせちゃいました。
「リーダー……ぶってる……」
「トラブルしか生み出せない生産性皆無なド低脳のお馬鹿さんだと思っていたけれど、あなたも天使風情相応の立ち振る舞いかたをちょっとはお勉強したのねぇ。え・ら・い」
「ド低脳……お馬鹿さん……」
あ、やばい。
頭とお尻の軽さで有名なフレイヤ様から、まさかまさかのド低脳評価を下されるのはさすがにやばい。ボク傷ついた。超傷ついた。
「ま〜これからはせいぜい、私の世界発展に真面目に貢献して? 観光大使のプリンちゃん」
「は、はあ……」
「じゃ〜気を取り直してぇ、第一種目、いっきま〜す!」
司会をぶんどったフレイヤ様が、グラウンド中に甘ったるい声を轟かせました。
いよいよ始まる運動会。
勝つのは市長さん率いる紅組か、はたまた創造神様率いる白組か!?
……でゅ、デュエルスタンバイっ!!
(Day.79___The Endless Game...)
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