chapter3 鼻の穴から出る魔法


 転生、それは…。

 君が見た光。


 転生、それは…。

 僕が見た希望。


 転生、それは…。

 ふれあいの心。


 幸せの〜♪ 青い〜♪


「店長?」

 ん?

「なんだい田中さん?」

「なんでお線香の歌を歌っているんですか? しかも転生〜♪ って。」

「な、なんと!?」


 声に出ていたようだ…。


「た、田中さんは転生とか…。」


 ピッピー!

「田中さ〜ん、ごめ〜ん! ホールの手伝いヘールプ!」

「はーい!」

 緊急連絡か。

「休憩の途中ですまないね。」

「大丈夫でーす。あ、異世界転生、私も興味ありますよー。」

 そう言ってパタパタと足早に事務室を出ていく田中さん。


 惜しいっ!

 現代に転生なんだなぁ〜。

 だいたい俺は異世界なんて行きたくないし? チートでチュドーンなんて、そんな上手い話なんてあるわけがないし?

 でもハーレムは少しだけ憧れるし?

 

「店長、おはようございまーす!」

「おはよう野坂さん。 今日もよろしくね。」

「はーい。」


 最近の若い子はやたらと語尾を伸ばすというか、はい! と返事のできない子が多い。

 今、出勤をしてきた野坂さんもそうだ。まあ、高校生だし?

 そうそう、先ほど休憩をしていた田中さんの話し方だが。最後が必ず疑問形になる的な?

 あれはちょっと癪に障るというか、癇に障る。

 それに加えて、返事は「はーい。」だ。まったく、クッソイラつくし?


「あー! づがれたー!」

「高木さん、お疲れ様。」

「はーい。お疲れーしたー。」

「どうしたんだい? そんなにお客さんはいなかったと思うけど?」

「あー。昨日、友達とオールしちゃって。」

「あはは。そうだったか。それじゃあ、今日は早くに睡眠をとりなさい。」

「うっわー、店長ってー。なんか年齢に見合わない話し方しますよねー。」


 実際は52歳っす。


「ウチの2個うえっすよね。」

「そ、そうだぜーい?」

「なんで疑問形? てか店長って明日休みっすよね? 買い物に付き合ってくれません?」

「俺がかい? なんでだい?」

「えー。なんか。」


 なんか?

 なんかとは?


「おはようございます。」

「おはよう、市川君。」

「高木さん。外で彼氏が待ってましたよ。」


 ナイスだ市川君!


「彼氏じゃねーよ! 早く着替えて働け市川!」

「こっわー。」

「高木さん、彼氏を待たせては可哀想ではないか。早く行ってあげなさい。」

「彼氏じゃないっつーの! もう、お疲れっしたー。」

「はい、お疲れさん。」


 アオハルっすな。若い子はいいっすな。

 

 ところでだ。今回の題の『鼻の穴から出る魔法』とは?

 それがもし火の魔法だったらどうするんだ? 顔中が大火傷おおやけどになりそうだ。

 または水の魔法だったらどうだ? ツーンとしちゃうんじゃないかい? ツーンと! 

 あとは土! これは大変だ! もしもだよ? 犬の散歩をする人がウンチを回収しなくて、そのウンチの下の土が鼻から出たらどうするんだ?

 考えただけでタマヒュンものだ…。

 ガチで異世界に転生をしなくてよかったっすよ…。


 いやマジで…。

 



      🍃



 

 登場人物

石川いしかわ 拓人たくと 27歳(52歳)

 このお話の主人公

 この男に任せると話が進まないので注釈を入れます。

 前世は実家の造園業で働く、1級造園施工管理士。

 残業中に何かが起こり過去に転生。

 今はなぜか実家が営むファミレス、Squashスクワッシュ Lunchランチの店長。 

 

吉岡よしおか とおる 22歳

 変な子。

 変な喋り方をする子。

 ラーメンが好きなようだ。

 Squashスクワッシュ Lunchランチの厨房で働く社員。


高坂たかさか 一子いちこ 29歳

 Squashスクワッシュ Lunchランチで働くパートタイマー。

 芸能人にいそうなタイプの素敵な奥様。

 真面目で綺麗好きな二児の母。


田中たなか 志穂しほ 19歳

 Squashスクワッシュ Lunchランチで働くアルバイト。

 細かいことにも気がつく優しい女性。文系の大学に通う学生で、趣味でネットに自信の小説を書いているようだ。

 

野坂のさか 奈津なつ 17歳

 Squashスクワッシュ Lunchランチで働くアルバイト。

 目指している専門学校があるらしく、お金を貯めているようだ。偉いぞ野坂さん。

 

高木たかぎ 沙也加さやか 25歳

 Squashスクワッシュ Lunchランチで働く社員。

 当初、学生の時にアルバイトをしていたが、就活が面倒になり、そのまま社員になったようだ。

 働く姿勢はとても頼もしいが、厨房長には辛辣らしい。オンオフがきっちりしているようだ。


市川いちかわ 真嗣しんじ 20歳

 Squashスクワッシュ Lunchランチで働くアルバイト。

 店長の石川に憧れを持っているようだ。

 店長が困っている時には必ず現れる。それは読心術を持っているかと思えるほどらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生したらファミレスの店長だった件 konnybee! @wabisketsubaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ