とってもいいゆめ

 目覚めたとき、とても心がふわふわしていた。

 あ、いい夢を見たんだ。

 胸の底からふんわり、ふんわり、タンポポの綿毛みたいな気持ちになる。そうしているとトーストの焼けた匂いがした。珈琲も。

 わたしはベッドから飛び降りる。ふんわり、ふわり。羽みたいに足が動く。

 リビングには見慣れたテーブルのうえに珈琲のはいったカップ。おいしそう。

「きみ、猫になっているよ」

 にゃ!

 わたしはびっくりして尻尾をふる。やだ、わたし、大きな猫になってる。ああ、顔を洗わなきゃと前足で撫でる。

 恋人はくすくすと笑ってわたしの珈琲にミルクをいれる。わぁ、すてき。わたしは尻尾と耳をふりふりさせる。

 ざらざらの舌でぺろりとなめる。

 あまくて、おいしい。

「猫に珈琲って毒だっけ」

「ミルクいりだから平気」

 わたしは言い返して珈琲をすする。

 ふんわりとしたトーストにはジャムをいっぱい塗ってかじりつく。

「今日素敵な夢を見たの」

「へぇ」

「きっと正夢になったのね」

「だろうね。僕もびっくりだよ、飼い猫といっぱいお話したいと思っていたから、これは僕の夢なのかな」

「ふふ、現実かもしれないわよ?」

 わたしはあなたの恋人。あなたの猫。

 にゃおん。

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