妹に彼氏ができたんだってさ
「聞いてくれ。とうとう妹に彼氏ができた」
「おめでとう」
「めでたくあるかよ。俺よりも先に彼氏作るとかなんだあいつは! 俺は年齢いこーる彼女いない歴なのに!」
「そりゃあ、お前。いい歳してアニメ、ゲームに金しか使わないオタクだからじゃないのか? 付き合いで一緒にいる俺もオタクだけど」
「かぁーしょっぺぇ。しよっぺぇよ! 趣味にお金をかけてなにがわるい! ちゃんと毎日風呂はいって、髪の毛も整えてるのによ」
「人は外見だけじゃないっていうが、しょせんそれは建前だ! 努力、努力」
「失礼な。俺は運動できる、勉強もできる」
「なぜ、それで恋人ができない?」
「……前に、いい雰囲気になった子はいたんだ。けど、その子とちんたら帰ったらリアルタイムでアニメ見れない」
「そりゃ、恋人できないわ」
「一緒にアニメを見たらいいじゃないか」
「いい雰囲気になれないだろう」
「なぜ? 裏切られた主人公が猛烈に這い上がろとする姿なんか萌えない? それついでにいい雰囲気になって手を繋いだりとか」
「しない、しない」
「おかしい。この世界はおかしい。はやくトラックに轢かれて転生しなきゃ」
「もてもてハーレム?」
「スローライフで!」
「……思ったけど、あれ、トラックのあんちゃん大変だろうな」
「人を一人殺してるからな」
「賠償とかその他いろいろと考えたら恐ろしい。殺したやつは異世界無双してるのに、トラックのあんちゃんがかわいそう」
「だったら背中押されて電車に轢かれる」
「あの人身事故ってさ、家族に請求くるそうだぜ」
「まぢかー。じゃあ、遭難する。山で遭難して気が付いたら異世界っ」
「遭難者を探すのも、お金かかるそうだぜ。一億単位で」
「お母さん、お父さん、俺は異世界いくから探索しなくていいよって手紙に書くっ」
「それ、お父さんもお母さんも、ついでに妹も心配して心が病んで家庭崩壊するやつ」
「……ああ、転生難しい」
「ほんと、それな」
「まぁ、俺はこの人生で悔いてることはないんだ。アニメや漫画はあるし、ゲームあるし。心通わせている親友のお前もいるし」
「さむ。やだ、いぼでた」
「殴るぞ、てめぇ。人がいいかんじにしめたら……でさ」
「なんだよ」
「妹の彼氏、誰だと思う? 俺の可愛い妹が他の男のものになるなんて」
「お前、エロゲーでは妹もの避けてなかったけ?」
「リアルすぎてこうやだ。いや、現実の妹はあんな可愛くないけど、いや、かわいいけど」
「拗ねらせた童貞妹大好きか。かわいそうに」
「お前さ、俺に対して辛辣じゃねえ? え、親友だと思ってるのに、ひどい」
「親友。親友。ところでさ」
「軽い。軽いよ。なに?」
「今日からお前のことお兄さんって呼ぶから。よろしく」
「死ねぇ親友!」
「あははは、お前の大好きな裏切られた主人公だぜ。お兄ちゃん!」
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