『夕暮れのメルヘン』
『モーニングルーティーン(アリかぐ)』
「おはよぉ、かぐや……」
アリスの眠そうな声が聞こえる。
ゆっくりと目を開けて彼女を見ると、白い髪がぴょこぴょこと可愛く跳ねていた。
この光景は何度見ても愛らしくて微笑ましい。
私は枕元に置いてあるスケッチブックを取って、彼女に『おはよう』を返した。
「かぐや、後で髪直すの手伝ってね」
『任せて』
微睡んでいる彼女といくつか言葉を交わして、私はスケッチブックを置いた。
ゆっくりとベッドから出て、アリスの両肩にそっと手を乗せる。
「ん、行こぉ」
私の意図を察して、アリスはのそのそと歩き始めた。目的地に着いたら、二人並んで歯を磨き、顔を洗う。
「ふぅ……目が覚めてきた」
そうしてアリスの話を聞きながら、丁寧に彼女の寝癖を直していく。
淡雪のような白髪を梳いていると、不思議と心地いい。
彼女の髪にはマイナスイオンなんて比較にならないくらいの癒し効果があるのかもしれない。……少なくとも私にはある。
「ありがと、かぐや!」
彼女の笑顔に私の頬も自然と緩んだ。
髪を整えた後は、リビングのテーブルに二人並んでトーストを食べる。
アリスはフルーツジャム、私はバターに小倉あんを塗って食べるのがいつもの光景。
最近やっと馴染んできたこのモーニングルーティーンが、この先もずっと続けばいいなと思いながら、私は甘いトーストを飲み込んだ。
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