第3話 暗殺 1

 橋宇土が、駐屯所にワープゲートで入ると、割に緊迫している。

 詰めているのは木村隊で、モニターには拘置から釈放されて自宅に帰る副社長が追跡されて映っている。

 奥の処置室の前で水野小隊長が座って待っている。

「よし、宇津井副社長が車に乗った。」

「ポイントは七尾交差点、次は、七尾交番前。ここでできなかったとき、南台入り口。要員配置済み随時実行します。」

報告が木村小隊副隊長から逐次上がってくる。

「監視ドローン配置。」

鹿嶋が言うと、画像が30画面いろいろな角度からモニターに現れる。現場の戦闘員はどの画面も自由に見れる。

まず七尾交差点に信号停止する。

「標的、後部運転席、はっ・・・・」

その時大型車が視界に入って停車して見えない。

「大型車障害物により、実行不可次のポイントに移動。」

信号が青になり、副社長の車か進む。次は七尾交番前に停車する。

「標的捕捉、・・」

信号がすぐに青になりすぐ発進する。

鹿嶋が

「南台の信号は赤のままにしろ。」

「はい」

「木村副隊、南台に移動します。」

「了解。」

 3分して、小高い公園の森の中に木村副隊が固まり、スナイパーが構えて、他3人が周りを警戒して一人がスナイパーの補助につく。南台交差点に宇津井の乗った車が来て赤信号になる。しかしここは車のとおりがほとんどない。宇津井の車は信号無視して住宅街に入っていって狙撃の機会がなかった。

「目標信号無視して進行、目的達成できませんでした。」

鹿嶋が

「了解、戻れ。」

というと、2分ほどでワープゲートから狙撃部隊が返ってきた。副隊長がすみませんと頭を下げているが、

「気にするな、よくあることだ、」

木村と鹿嶋がまた話し込んでいる。


 奥の処置室から右目を包帯でゆわれた隊員がベッドに寝たまま運ばれてきて仮眠室に運ばれていく。

 談話室に行くと水野氏がソファーに腰を下ろして水を飲んでいる。

「おいおい水か」

鹿嶋が言う

「阿部は俺の部隊の優秀なスナイパーだしな、右目が回復しないうちは今回のような作戦はできない。」

水野がもじもじしている。

「魁邸でレーザー光線目に受けてしまったからな、視力低下でも仕事はあるが本人のたっての希望で移植にした。」

鹿嶋が橋宇土に説明する。

「誰の目を移植したんですか。」

「自分の目だよ、スタップで6時間で再生したものだ。拒絶反応もないだろう。」

木村が掛ける。

「ああ、宇津井は逃がした当面家から出てこないぞ。」

ぐれたようにビールを飲み始めている。

鹿嶋が立ち上がって、

「オペレーターたちに休憩をしてもらおう。チャンスが来たらまた詰めてもらう。」

といって指令室に行ってオペレーターにそのことを伝えている。

木村隊の10人は談話室でカーテンを開けて打つ合わせをしている。

「魁邸のように夜やりますか。」

「ドローンだけで攻撃というのはどうでしょう。」

などと意見を交わしている。

ついに

「橋宇土さん協力していただき、貫通弾でやるのは。」

などと意見がとびかっている。

「宇津井は彼だけレプテリアンで妻は人だ。子供は養子で妻の甥になる。家を破壊しての行動は後に証拠を残すからなあ。」

 木村が言って討論が止まる。

 指令室はまた騒がしくなっている。鹿島は談話室を離れている。橋宇土も指令室に見に行く。高橋部隊が集結して配置が始まっている。ターゲットはMXメディカル社員ではなく、人権侵害と早期解決を懸念しているといって、早期釈放を働きかけている黒川議員だ。

「議員は17時まで裁判所にいる。裁判所駐車場をポイントにして車に乗る前を狙う。」

高橋小隊長が橋宇土に説明する。

「今回は貫通弾や防弾ガラスの貫通をせず、直接身体に打ち込み溶解して証拠を残さない弾丸だ。それだけにもし入り口まで車を移動したとすると撃てるチャンスは非常に少なくなる。」

「漁業庁屋上に待機しました。」

報告が入る。15基の透明ドローンが現場の様子をモニターにうつす。

黒川の肖像がモニターに出ている。

「鹿嶋さん、消音拳銃で裁判所内にワープできるかな。」

「できるが防犯カメラだらけでね。」

「行先は近辺ならどこでもいい。」  

橋宇土は、警備員の服に着替えて紙袋に小型拳銃を入れ弾を三発つかんでワープゲートに走って消える。

橋宇土が出たのはビルの壁から生垣に出たので生け垣を超えて道路に出る。やはり車は出口にぴったりつけて議員はさっと後部席に乗って、狙撃できなかったようだ。

 通用門の横に立って数秒待つと、黒川議員の車が出てきて左折のウインカーを出して一時停止する。

 こんこんと運転席の窓を叩くと運転手が少し開ける。

「今後こちらにお越しの時は、駐車許可証をおつくりいただき申請して駐車許可証をボンネットにおいてください。」

 封筒を運転手に渡そうとすると

「ええ、こちらは・・・」

「まあいい受け取って規則に従って申請して、・・」

と後部運転席で黒川が声をかける。窓を少し大きく開けるので運転席からその封筒の中の銃で斜めに宇津井を二発撃って、銃だけ持って橋宇土はもと来た生け垣を超えて壁に消える。ワープゲートは消えて屋上に移り屋上の部隊も撤収する。

 指令室では歓声が上がっている。ドローン画像が黒川議員の暗殺成功を映している。警察があたりを封鎖して非常線を張っている。

 ほっぺたを膨らましていたので、防犯カメラも、人相が橋宇土の顔でないものを推定再現している。

「ただ接近戦はいろいろ面が割れたり、捕まったりする危険が多いからなあ。」

鹿嶋はそんなことをぽつりと言っている。

「この顔でお尋ね者になるのかな。」

「いいや、黒川議員の姿が爬虫類になれば殺人罪は成立しなくなり闇に消える。人ではないから内容も詳細は消えていく。」

「黒川の家族はどうなんでしょうか。」

「調べているが黒川は議員当選後、レプテリアンに入れ替わったようだ。今の黒川は変身した別物になっている。里にもろくに帰らないし、夫婦もくたびれてきて夜もないから妻も気づかないのだ。」

などと話が飛び交う。

「宇津井の対策をどうするか明日また作戦会議をする。今日は解散しよう。」

鹿嶋が言ってあたりは居残り警備班を残してすべて帰宅した。


 翌日、朝駐屯所に次々に正副小隊長たちが集まってきた。

 橋宇土がもう話をしている。

「宅配とか、書留とか言って玄関開けさせて入り込むのが最も安易ですけどね。」

「それはいいが、いろいろ目撃者が出る。そのデータが警察に集まると色々面倒なんだな。」

「ここはどんな権限でこんな活動ができてんだい。国家権力じゃあないのか。」

「それはおいおい話すが、今は面倒なので後回しだ。」

「ワープゲートを彼の家の中に設定して入り込み強硬解決するのはどうだ。」

「ほかの家族が人間なので目撃証言されてしまう。人は殺せない。人の遺体が出たら殺人としての捜査が始まる。トカゲなら殺人にはならないんだ。」

高橋が言う

「なんか新兵器ないんですか。」

「消えられるやつとかあるといいですけどね。」

「あるにはあるが、ゆがみがあって、よく見られると見抜かれる。」

「ゲジゲジ・ドローンを侵入させていくのはどうです。」

「以前そのゲジゲジが捕まって駐屯所がばれたことがあるからなあ。間接で何処かで操縦してもらわねば。」

「持久戦しかないな。宇津井の家の見える一軒家が貸しに出ているからここを借りて駐屯しよう。車は2台部屋は5LDKだから半小隊駐屯できる。」

「宍戸部隊から半分頼む。」

宍戸が了解して、副小隊長が隊員を招集して説明を始めている。


「次の任務は、黒川にくっついている医療省の課長が怪しいので内定を今日行う。下手をすればその周りも、家族も調査だ。高橋小隊長一隊に頼む。内定が取れたら始末は高橋隊に任す。」

「よっしゃあ」

と高橋一団が指令室に行き2人パネル前に張り付いて、残りは普段着姿でワープゲートから次々と現場に行く。

「宍戸部隊のもう半分は、帝都大学の望月教授の内定を頼む。」

「現在二人、望月教授の講義聴講並びに、研究室に一人入りこんで監視しています。」

ずっと指令室モニターに二人張り付いているが、訳のわからない研究内容で解釈に苦労している。

「望月教授はレプテリアンなのか」

「見たいですね。」

「何の研究している。」

「数学です。」

「稼ぎ頭は暗号変換ですけど、本人の趣味はリーマン予想の証明で望月教授自身もリーマン予想の証明は宇宙の歴史に残ると時々徹夜もして、行き過ぎると講義もさぼって学部長に注意されている。」

「ううん、で、アドレノクロムはどうなんだ。」

「明確ではないですが、脳の機能が落ちると、食人パーティーに行っていないですね。」

「使ったことはあるのかな、望月教授の周りでは被害もない。様子を見るか。」


「MXメディカルのほうが裾野が広い。木村隊と水野隊は逮捕者の拘置所透視データから体温により推定と、その家族の体温データから家族候補者を洗い出すことの作業を進めよう。」

「俺にもなんか調べさせろよ。」

橋宇土が言うと、鹿嶋が

「ああ、それより喫緊の仕事がある。9人の部下を集めて橋宇土小隊を作ってほしい。年間給与予算はとりあえず3億、税金保険は全くなしでそのまま支給だ。ほかの物の支給の方が大きいんだがまずは金だからな。住居はワープゲート209。地上に住んだ場合家族の保証はしない。」

同席している高橋小隊長以外の三人がうなづいている。黒川暗殺での仕事で三人に認められたようだ。

 

 ワープゲートで久しぶりに自分のマンションに戻る。

 燃やされた事務所に移動してみると、もう非常線も解除されてすす焦げた部屋が静かに放置されている。

 工藤麗の入院している病院に向かい、病室を聞いて見舞いにいく。

「ひどいわ、お金だけおいて解散だなんて。あたしあちこちボロボロよ、前も背中も引きちぎられて。」

あっち向いて泣いている。

「守ってくれなかったのね。」

「すまない。」

工藤がこっちを見る。

「どうしたらいいの」

「チームを再編したい。参加してくれ。」

「もうぼろきれになっちゃったんだけど。」

「治してあげるから。」

「気休めはいや、何度も手術するのもいやよ。それにあの化け物みたいなのももう見たくない。」

「化け物の一人は俺が退治したが、これからは化け物との闘いだ。だから、お前もこい。」

「ぐすっ」

とこみあげている。

「じゃあ後で迎えに来る。」

そう言って病室を出る。


そのあとは加藤と渡部と話をする。

「ホテルの会議室を借り切って会食とは豪勢ですね。」

「聞かれたくない話なんでね。」

「いい話ですか。」

「わからない。」  

「倉庫のガサ入れで何があったんです。あいつら何なんです。」

「話はそこからだな。」

三人が立て続けに話す。

「クラウドで見たと思うが異常に早くて強い奴らだった。」

「生きていただけすごいですよ。」

そこから嵐のように状況説明と、質問の嵐で1時間ほどの時が過ぎた。

「もう話すことはなくなった。」

「あいつらを倒す部隊を作ることになった。お前らも協力してくれ。早期に部隊を作ってああいつらと戦う。」

加藤も渡部も目をらんらんとさせている。

「決まったな、改めて乾杯。」


 翌日夜、橋宇土と加藤と渡部と三人は工藤の入院中の部屋にワープゲートを使って入り込み、ベッドごとゲートから駐屯所につれこんで、処置室に連れて行ってた。

 談話室で窓から外の年の景色を見ながら、三人でカレーを食べていると、木村が橋宇土の横に座り、

「鹿嶋指令から人員集めが許可されただろ、俺の弟を鍛えてもらえないかな。今警官やっているが即刻辞めさして明日から来させる。」

「ああ、よかった、どうやって集めようか悩んでいた。」

「そか、そか、よかった。よろしく頼む。」

喜んで部屋から指令室に出て行った。

 カレーを食べ終わって返却口に返して、自動洗浄に流れていく。コーヒーを取ってきて元の席に行くと、水野と阿部がやってきて、阿部は後ろに立ち水野が話す。

「鹿嶋指令から人員集めが許可されただろ、俺のいとこを鍛えてもらえないかな。阿部の舎弟もともに陸軍にいる、二人頼めないかな。」

「それは助かる。よろしく頼みます。で、阿部さん目はもういいの。」

「ああ幸運にも神経がうまくつながって、現場復帰だよ。」

なんか近親で構成されていく感が否めないが、信頼がないと構成できない組織のせいだろう。

「あと3人か、外でやるよりここに人員募集と書いておいた方がよさそうだな。」

というが早いか、橋宇土が張り紙書いて掲示板に貼っている。

その日のうちに、高橋隊員と宍戸隊員の縁故で3人集まりノルマの9人が決まり給与は年額3000万ずつで妥結した。

「橋宇土さん、処置室から呼び出しです。」

橋宇土が行ってみると、工藤が笑っている。

「見てみて、長志(ちょうじ)全部あざ消えた。」

と体に巻いていたタオルを取ってぐるりと回ってみせる。

橋宇土の首に抱き着く。

「全部舐めてね。」

「あ、あとでな。」

指令室でオペレーターの女性たちが

「聞こえてるわ」

指令室で内定している男子隊員たちもぶっと吹き出している。


 隊員は翌日に9名揃い、ワープゲートで移動してワープエリア003で訓練が始まる。ワープエリア003はどこまでも続く砂漠の世界で、何時間訓練しても日の暮れない床昼の世界だ。これで訓練が終わると、ワープエリア209に戻り解散するとそれぞれの住居に戻る。隊員家族は地上に住所を残してもいいが、このワープエリアに暮らしていれば外的が来ない空間での生活が送れる。

橋宇土だけは指令室に戻る。

鹿嶋が尋ねる。

「副は誰にするかね、会議には副官とともに参加してくれ。」

「明日、一日訓練して、それで見極めたいからもちょっと待ってほしい。」

周りで各隊の隊員の耳がそばだって手が止まっているのがわかる。また手が動き始める。

「そうか。もひとつ、工藤さんはオペレーターに来てもらって、戦闘員はもう一人男を入れてくれていいんでないか。いずれおなかも大きくなるだろ。」

「うう・・・」

「ではそうしてくれ。もう一人は隊員縁故で鯖江君が来ている。」

ということで新たに鯖江隊員が来ている。

来たついで幹部会に出て行けと、橋宇土がとどめて会議に入る。


 指令室でモニター着座のまま会議が始まる。

「まず報告宍戸隊」

「宇津井邸は動きなし。副社長は引きこもり中です。透視カメラでは一日のほとんどを地下室に隠れて過ごしています。」

「望月教授は肉食も嫌いさわやかな柑橘類が頭には良いと果物中心食事をしている模様。レプテリアン同士の交流にも行きません。」

「ううん、宇津井邸はどうするかな。」

「望月教授は監視解除して放置しよう。」


「つぎは、高橋隊の報告」

鹿嶋が言う。

「医療省健康1課長鈴木単身。医療省薬事局長横川一家、妻息子夫婦。医療大臣補佐官佐々木・夫婦。が現在レプテリアンと認定されており、今日、エンペラーホテルでアドレノクロムパーティーをします。」

「何時から」

「20時から会場と部屋がそれぞれ予約されています。欠員なく全員参加の予定のようです。」

「今晩やるか、ホテル構造とカメラその他を取得してくれ。」

「はい」

と女性三人が返答する。


「MXメディカルのその他残党。水野木村隊」

先に水野が答える。

「研究棟のジェイコプとファーブルはすでに日本を脱出して母国F国に帰った。シンセティックが5体、原因不明で樹海で倒れて死んでいた。」

木村が追加する。

「人から採取したであろう、血液製剤はMXメディカル地下倉庫に冷凍してあるが、違法性が証明できず使われると思われます。一部、精製されず冷凍生の脳組織や松果体があると思われ、本社内に3人の低体温の生物が確認されています。本社内に張り付いて外部に出ず死守している様子です。」

「MXメディカルはこの三人と宇津井で終わりですね。」

「ううん。こいつら冷凍人肉食ったら帰るつもりか、どこかに持ち出すつもりか、捜査が終わったら動くつもりだな。捜査前に突入して破壊するか。」


「よし、今晩エンペラーホテル突入を実行する。時計はちょうど4時間後、各隊2時間前、全員招集。」

「作戦案」

「エンペラーホテルは片面客室なので彼らの部屋を貫通弾で破壊してしまえば、ホテルに被害は与えるが撃ち漏らしはないですね。」

橋宇土が言う。

「最悪の案だな。ほかは。」

「ホテルに客として侵入してすれ違いざまに拳銃で退治する方法はどうです。」

木村が提案。

「各人変装が必須だな。失敗したら逃げられるな。地下駐車場にも部隊を置くべきだな。」

鹿嶋が言う。

「パーティーは最上階のロイヤル・スイートのラウンジで行うので、屋上から侵入して、魁邸の要領でどうでしょう。」

高橋が提案。

「レーザーや鎧を持っていると我々も苦戦する。犠牲も出かねない。」

宍戸が応答。

「我々も鎧をつけていくか」

鹿嶋が言う

「重くていやだ。」

高橋が言う。

「鎧をつけていくには、ゲートをつなぐ必要がある。逆襲されるとこの駐屯所がやばくなる。」

鹿嶋が言う。

「水野隊、橋宇土隊は陸側上空にステルスドローンで滞空待機。貫通弾で待機。スナイプは水野、阿部、橋宇土、」

「銃撃強襲は屋上にステルス・ドローンで着陸して天井に穴を開けて侵入、高橋、木村隊はブラック・フラッシュと融解弾で第一攻撃。」

「宍戸隊は全員オリハルコン鎧とブレードをもって同時侵入。ワープゲートをホテル屋上につなぐ。音がうるさいから待機中はあまり動くな。」


「今回は貫通弾無しでかたがつくな。」

宍戸が笑っている。

鹿嶋が

「橋宇土君、副官を指名してくれ。だめだったら変えればいい。この作戦には必要だ。」

「では水野一郎で。」

「よし。」

招集信号が発せられると指定の1時間前からぽつぽつと隊員が集まり始める。会議室やラウンジで雑談をしてリラックスしている。

 橋宇土隊も全員集まったが、工藤だけ装備を外させてモニターのところで指示の仕方を覚えてもらうことにした。本人も病み上がりで動きが鈍いので納得している。

 

 会議室に各装備で整列した。宍戸隊だけすごく幅を取って背中に大きな剣を背負っている。

 作戦説明を鹿嶋が一通り映像を通して説明する。

「水野・橋宇土隊は第一会議室で説明、高橋・木村隊は第二会議室で説明。宍戸隊はここで説明。分かれ。」

 各分隊での説明が終わる。

 すでにワープケートから宍戸隊が送られ始めている。

「ステルスドローンのある207エリアに移動。」

高橋が号令して月次とワープゲートに入っていく。

その先は真っ白な世界で、ステルスドローンが無限に並んでいるように見える。

「各隊一基に乗って目的地にしっゅばつ。30秒後ゲートが開く。」

急いでみなドローンに乗り扉を閉めると、空間の上部が開いて星空が見える。

「よし、発進だ。」

橋宇土と水野のドローンはホテル最上階と水平の位置に停止して、片側を開いて、貫通スナイパーライフルを橋宇土か構える。

「使える奴いるか。」

橋宇土が言うと水野一郎が隣で構えている。

橋宇土達の隣には水野隊のドローンが静止して、水野と阿部の二人がライフルを構えて透視スコープの画像をゴーグルに映してい見ている。

 ホテルの屋上に木村・高橋のドローンが着陸して隊員が下りて整列した。

「透視カメラでは、スイートのラウンジで7人のレプテリアンが、テーブルに座って会食をしている。動きはない。ウエイトレスも入っていない。さらに人の脳があっては、よそ者は入れられまい。」

鹿嶋の報告が入る。

「準備出来次第実行せよ。」


 そのことばで、屋上に穴をあけて次々とラウンジに降りていき、レプテリアンの体内で解けて、彼らの体も溶かす融解弾を激射しているのが見える。宍戸隊が鎧をつけて後からラウンジに降り立っている。

 魁邸の件で彼らは警戒していたようだ。レプテリアンは全員が鎧をつけてパーティーをしていて、突入の音を聞いた瞬間にアセチルコリンを飲たんだようだ。ヘルメットが自動で展開して融解弾と紫外線のブラック・フラッシュは無力になった。

「ええい撤収。」

高橋・木村隊が宍戸隊に後を任せて撤収した。

透視モニターで見ていると、レプテリアンの方が圧倒的に早く力もあるようだ。

橋宇土が貫通弾で一体打ち抜いた。ラウンジは混戦状態になっている。高橋隊の逃げ遅れた一人が割れた窓から突き落とされて落ちていく。浮遊装置をつけているので地面にたたきつけられることなく、高橋隊のドローンに拾われる。

 阿部が隙を見つけて一体撃ち抜く。それでも中は乱闘だ。ラウンジから吹き抜けて上に行く階段が剣で破壊されて崩れる。

 宍戸が高速で動き回るレプテリアンが迫ったところを、虎倒の剣法で刺し貫いて押し倒してさらに首を切っている。

 水野の貫通弾がさらに一体の頭を吹き飛ばした。

「残る三体は雌かな、やや攻撃が緩い。」

水野一郎がもう一体打ち抜く。中で三人の鎧兵が一体を取り押さえて刺している。

「残りは一体。」

 その時、最後のレプテリアンが鎧の前についている小さな箱のスイッチを入れた。

「だぶん自爆装置だ、退避、みんな逃げろ。」

 宍戸小隊長の声が聞こえる。

鎧兵は部屋を出て離れる方に廊下をはしる。

ステルス・ドローンは爆風を避けるためにはなれていく。

幸い下の階は披露宴会場らしく灯りは消えている。

爆発した。

完全にスイート部分はなくなって粉粉になった。

「最上階廊下突き当りに、帰りのワープゲートをうつす。宍戸隊はすみやかに帰れ。」

「了解。」

ステルス・ドローンはワープエリアに帰還して、ドローンを降りると、全隊員は駐屯所に帰還した。

「今回の任務遂行は7分10秒。エレベーターを止めていないと警備員が駆け付ける危険があった。」

鹿嶋が統括する。

「負傷者は高橋木村隊骨折3名、宍戸隊骨折、筋肉断裂、裂傷8名、すぐ処置室へ。」

「宍戸さんこちらへ」

「俺は一番最後でいい」

宍戸小隊長は結構内出血跡があった。鎧を着ても鎧の中で鎧に打ち身する。

水野・橋宇土隊は結局七体中四体を退治した。

 木村・高橋部隊は宍戸隊に整列して敬礼している。

「宍戸隊が行かなければ、今回は相手も、ブレード持っていたからなあ。死人が出たかも。」

 水野が橋宇土に言う。

「俺ら一番おいしいとことった感じですかね。宍戸隊が行かなければ、強襲隊を同士討ちしていたかもしれなかったですし、流れとしてはよかったというべきではないですか。」

 橋宇土は無気力に言う。

「それにしてもあんたのいとこはいけるな。スナイパー訓練受けてたんだな。」

「みたいだな。役に立ってもらわないと人が食われちまう。」

二人は顔を見合わせてにやりとする。

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