第2話 報復

 橋宇土はたんまり報酬をいただき、首都の家に戻ってきた。最後は納得できない終わり方だったが、まあ割とおいしい仕事だったと感謝している。節税のために事務所もっといい所にうつして、車も新しくいいもの買うかとネットなどを見始める。

「おれだ、今戻った。そっちの仕事の進捗はどう。御曹司の嫁の素行調査が追加かよ、信じてねーな。加藤の仕事は浮気調査終わって切れてるか、じゃあ休みやれよ2週間くらい特別手当もつけてやる。栗山と佐竹の丸山弁護士の証拠収集の件はどう。」

電話の向こうの事務員から報告が続く。

「うん、うん、わかった。丸山さんに電話しておく。」

と言って切ると、すぐに電話して

「丸山さんとこ、橋宇土です。今いらっしゃらない。そしたら後で都合のいいときお電話いただければ。はい。」

と言って電話終了。

また自分の事務所に電話する。

「あおれ、あとね、摩爾市でスマホ30台借りちまったんで、あっちから引っ越し荷物に入ってくるから返却しといて、できるだけ早くね、一日いくらだから。それ返したらさ、工藤ちゃんも別の戸籍作んないかな、ちょっと海外に行って帰化して戸籍作って、こっちにまた帰化して別人になるんだよ。二つの身分を使い分けられるようになる。海外いけるよ、今なら見せ金もあるし考えといて。」

 部屋を出ると、橋宇土は車を飛ばして、地方へと走っていく。そこの旅館に宿をとると、翌日から道場に行き稽古に参加して汗をかき、夕方戻ってくると縁側で一杯やって、夕方になったら風呂に入って、お膳をいただいて寝る生活をするつもりだったが、翌日、渡部から朝、電話がくる。

「社長。昨日、佐竹と栗山が殺されました。工藤麗が重傷です。事務所は灰になっています。テレビつけてみてください。」

「なんだって。」


 この時起こったことは、丸山弁護士と栗山、佐竹が報告のために事務所にやってきた。栗山、佐竹は経費精算ついでだったが丸山弁護士は何か別の話があったようだ。工藤が経費を精算して現金を渡すと、三人はそれでは社長によろしくと言って出ようとしたところに、やたらにがたいのいい男がひとり入ってきた。 

 その男は丸山弁護士の胸ぐらをつかむと投げ飛ばし、事務所のガラスを割って7階から落ちて行ってしたでぐしゃりと音がした。栗山と佐竹が構えたが、栗山は蹴り飛ばされ窓を割って下に落ち、佐竹はペンを相手の胸に突き立てたが、そのまま胸ぐらをつかまれてやはり投げ落とされた。

 唇を紫にして工藤は震えていたが、男が徐々に近づいてくるので自分から飛び降りて途中の電線につかまったものの滑り落ちて木の中に落ちた。枝が体中に刺さってしまったが一命をとりとめた。

 そのあと男は事務所に火を放って逃げて行った。


 橋宇土は急いで首都の事務所に戻ったが、7階が黒焦げになっていて、8階まで延焼しているのが見えた。

 橋宇土はぐっとがっかりしたようにしゃがみこんだ。

「せっかくここまでにしたのに、佐竹、栗山も一人前の調査をするようになったのに・・・」

しばらくして、気を取り直して丸山弁護士事務所に電話したがつながらなかった。自分の事務所の周りには警官が見張っていて行けば事情聴取されて面倒になるので先に丸山弁護士事務所に行くことにした。丸山弁護士事務所もやはり黒焦げになっていた。ただ事務員はその時外に出て留守にしていたので、無傷だったようで事情聴取されていた。

「すると丸山さんが抱えていた訴訟がこの事件を呼んだことになる。簡単に被告側が企てたことと分かるではないか。こんなバカげたことを実行するのは本当にバカだが、真相はどうなんだ。」

橋宇土は裁判所に行き裁判記録の閲覧を申請した。そこには刑事が二人おなじくその記録を閲覧に来ていた。

「ちょっとあなた、ああ橋宇土探偵事務所の橋宇土さんですね、ちょっとお話伺いたい。署まで来ませんか。」

「いや任意ならこことか向かいの喫茶店で十分でしょ、私も時間が惜しい。すぐに済ませましょう。」

裁判所の待合室を借りて話をし始めた、

「丸山さんの訴訟の内容は今まで知りませんでしたし、栗山、佐竹の両名は証拠集めに協力してまして、何をつかんでいるかは私ではなく依頼主の丸山さんに話していたと思いますが、焼かれてしまった以上事務所には何も残っていないでしょうね。」

「まあね、二つの事務所が焼かれているということは共通している案件がかかわっていたのは明白でしょうからね、裁判の争点は血液製剤の効果と副作用についてですね。」

刑事が訴状の内容をかいつまんで言う。

「何か決定的な証拠を探偵がつかんだようですね。それが何かです。」

「書いてないんですか。」

「書いてないです。」

「パソコンに入ってないかな。」

「全部焼けてますね、復旧もできませんでした。あとはクラウドとか、メールでさまよっているとか、なんか届いたら教えてくれませんか。」

「それはもちろん、できればギブアンドテイクで」

「いやあわしらは公務員でね、守秘義務があるんですよ、あなたもでしょ。・・・でもこの件に関しては、ギブアンドテイクは早期解決につながるでしょうから、内緒でいいかな。」

「そうですか、では栗山と佐竹のクラウドのアドレスとパスワードをお教えしておきます。すでに私はバックアップしました。何かここ数日ですごいものを見つけたと書いてあります。地図の座標もいくつかありますね。早速ガサ入れするなら私もつれて行ってほしい。」

「ダメだけど、外で見ているなら構いませんよ、まず令状を申請してからなので明日朝一で行きましょう。」

 その夜に、生き残った、加藤と渡部に、

「どうもうちの事務所はまずい。解散しよう。」

「ええ社長、せっかくいいとこまで来たのに、名前も通ってきて、自慢できるようになったのに。」

と渡部が言う。

「ただとは言わん、亡くなった栗山、佐竹の家族に1億ずつ渡してきた。工藤麗とお前たちにも1億ずつ配る。あとはどこかで再起しろ。」

「その再起にもう一度社長とやりたい。」

加藤が言う。

しばらく三人は無言で酒をちびちび飲んでいた。

「明日がさ入れがある。いくか。」

加藤と渡部はうなづく。

「とりあえず金はもうとっとけ、なにが起こるかわからん。それが再起までの給料だ。」

小切手を彼らに渡すと、

「じゃあ明日。9時警察署で。」

 翌日警察のガサ入れ部隊が同時にクラウドのポイント二か所と、被告MXメディカル本社に入る準備をして整列していた。逐次一か所ずつでは逃げられるので怪しいところ同時に入るのである。

「三か所に分かれるのか。」

「俺たちも三か所に分かれますか。」

渡部が言う。

「そうしよう。無理するな、連絡と記録をよろしく。」

橋宇土ももはや社長として上から指令ではなく同志という意識で接するようになっていた。

 加藤は本社チームへ、渡部は郊外の主力工場チームへ、橋宇土は湾岸倉庫チームに参加していった。


 本社チームは都市の中心地区にあるから、目立つし、取材も集まっていた。果たして、「MXメディカルは暴力企業だったのでしょうか」という、リポーターの声とともにカメラが見守っている中、令状を提示して次々と中に入っていき段ボールに資料を詰めて回収してくる作業が坦々と進められていた。その様子はテレビ中継ネットライブと大いに盛り上がっていた。


 郊外主力工場は最も証拠が出るだろうと思われたが入ってみると、何もおかしなところはなく、生産ラインは通常通り回っていた。


 湾岸倉庫チームは倉庫を令状を示して開かせると中に入ったが、輸入した材料がフォークリフトで積み上げられていて、特におかしなものがあるという様子はなかった。何か薬草の根とか、木の臭いが薬らしく鼻に刺さってきていた。

 倉庫の奥に申し訳程度に積まれた材料を見てガサ入れ部隊はため息をついた。15人ほど来ていたが、シーンとしてしまっていた。

 一人が機械を床にあてて、班長と話をしている。

 どうも地下に何かあるらしい。空洞になっていると騒いでいる。

一人が削岩機をもって床を掘り始める。倉庫番が慌てて逃げていく。

すでに入るなといわれていたにもかかわらず、強制執行の警官に交じって橋宇土も穴を覗いている。

 床の穴の下から光が漏れてきて覗いてみると、中にはガラスのフラスコのような設備が並んでいるのが見える。

「ここだな」

ガサ入れの班長がニヤリと笑う。

 その時、倉庫の奥の床が開いて下からリフトが上がってきた。そこに3人の屈強そうな男たちが乗っていた。頭から見えて、膝まで登った時3人は素早く倉庫の床に登って、ガサ入れの警官の一人を殴って頭を砕いた。

 次々と殴られて15名全員が倉庫の床に倒れてうなっている。橋宇土は急いで頭を砕かれた警官の胸から銃を取り、彼らに発砲したが素早く逃げられ当たらず、右左と交わされながら近づかれたので、後ずさりしながら外に逃げ、海に飛び込んだ。

 一人がおって飛び込んできた。彼らは魚のように泳ぎも早かった。水に飛び込んだ彼の顔は魚のようにうろこが見え緑に変色して目が猫の目のように縦長になった。

 はし宇土の周りをぐるぐる回ってすきを窺い、後ろに回った時いきなり首を抑えに来た。その瞬間、彼が首に手をかけた距離で懐に入れて後ろ向きにしていた銃を発砲した。素早い男鉢を海中に広がらせてもがいた。橋宇土は後ろ向きに体制を回して銃を頭にあてて三度発砲した。ばっと赤い血が広がる。橋宇土は銃のたまをリボルバーに込めながら海上に出て息を吸った。二人が埠頭の端からこちらを見ている。距離は10メートルくらい。来るかという橋宇土のかまえに彼らは、怒った顔をして素早く走って逃げて行った。埠頭に上がってみると、倒れた警官もすべて頭を踏みつぶされて生きていなかった。

 彼等がリフトで上がってきた地下を覗いてみると、子供が数名横たわってなん十本もの点滴チューブがささっいて、赤い血や透明な液体や黄色い液体が彼らから抽出されている。そして大きな袋から何やら液体が注入されていく。

「ああ、なんてことだ。本当だったんだ。」

降りていくと、子供に刺さった針のチューブの先に機械があり、機械からそれぞれ甲状腺ホルモンや、アドレノクロム、アセチルコリン、アドレナリン、セロトニン、などと書かれた様々の抽出瓶に、しとしとと液体が集められていた。

橋宇土はそこから警察に電話した。

 最初に六台のワゴンに八人ずつ乗って降りてきて、後から次々と車が集まり、百人以上の警官隊によってその周りは埋められた。報道陣の目に触れることなくその倉庫は封鎖され、同時にMXメディカルの役員、役職社員がすべて逮捕連行された。これもまた大きな中継ライブネタになって、にぎやかになっていった。

 橋宇土は逃げた二人の男が気になっていた。まだ自分を追ってくるような気がした。その日は、自宅に戻らず、自宅とは離れたホテルに入り込んで、ベッドに倒れこむと意識を失うように寝た。

 同じとき加藤と渡部はクラウド・データで橋宇土が見た彼らの虐殺戦闘シーン、橋宇土の海中戦闘、そして逃げ去った後の地下施設を見ていた。


 闇の中から明るいほうへと歩くように、目が覚めかけてくると、つけっぱなしのネットライブがMXメディカルの逮捕できなかった出張休暇中の役員・役職社員の名前と顔を載せ指名手配をしているのが聞こえてくる。

 何か部屋に気配を感じる。

 薄く目を開けると、摩爾市で見た皮ジャケットの男が、コーヒーを飲みながら窓の外を眺めている。

 体が反応して目覚め、何らかの体制を取るべく構えるが。

「やあお目覚めかな、」

「おい、勝手に入ってくるなよ。」

「まあノックはしたんだが、急いでいたので失礼したよ。」

「お前誰だ、そして用はなんだ。」

「忘れたか、以前君とは命がけの仕事を共にした同志だった、と思っているのだが。鹿嶋だ。」

サングラスを外すと鋭い目の素顔になる。

「君だったか、肥えたな、何してんだ。」

「話せば長いんだけどな、短く言うとレプテリアンを狩っている。」

「なんだそれは。」

「君が今朝殺したトカゲだよ。よく勝てたな。彼らはシンセティクという改造生物だ。さすがだ。」

 鹿嶋がコーヒーを橋宇土にいれる。橋宇土はベットから起きて椅子に掛けて窓から外を見てコーヒーを一口飲む。

「レプテリアンはアダムとイブの時地球に来た。蛇がイブに禁断の木の実を与えたというのがそれだ。それ以降人類は河童やリザードマンなど遭遇したりしてきたが、彼らは寿命が長く、富と権力を保ちやすい。だからある王室にいっだプリンセスが彼らは人でないと逃げだしたり、プッチン大統領がA国元首と会ったとき、人ではないようだと言ったりと一部の人は気が付き始めた。」

鹿嶋は橋宇土が信じているか顔を見る。

「そして、レプテリアンは王や富豪になって権力を得てやがて人を家畜のように食うようになった。レプテリアンにとってこの地球は人間牧場なのだ。ところが、それに気が付いたものがいる。そして、レプテリアンも人間牧場が終わりを迎える危機に近づいていることがわかっている。レプテリアンの不死は人の脳を食って可能だった。それが明るみに出るのもまずいし、もっと悪いことがおころうとしている。まあこの先は長いからゆっくり話せるときにしたい。」

そう言って、一息ついて、

「それでおれと一緒に戦ってくれないか。」

橋宇土はじっと鹿嶋の顔を見る。

「誰がトップなんだ。どこの組織なんだ。」

「そうだな、いずれ明らかにするけど今は信じられないだろうから後で俺らのトップに引き合わせる。活動は大雑把な指令と、すべての采配は一任されてやっている。資金は心配ないぞ。」

ふうと外を眺める。

「で、勝ち目はあるのか。」

橋宇土が聞く。

「まあまだ圧倒的に無勢だな。でも勝たないと食われ続ける、先日の布川さんの子供のように、今日見つけた地下室の子供たちのように、そしてお前の姉さんのように。」

 橋宇土の目はいきなり怒りの目になった。

消していた記憶、忘れようとしていた悲しい思い出だ。平和な日々、ある日、中学に行っていた姉は家に帰ってこなかった。捜索し、学校も大騒ぎになったが、結局見つからなかった。

「勝ち目がなければ戦わないかな。」

間があく。

「まあ、またどこかで会うだろう。その時まで考えといてくれ。」

鹿嶋が出口に向かって立ち上がる。

「まて。やる。」

「そうかありがたい。では、とりあえず、駐屯地に行き準備だ。喫緊は橋宇土君を襲った残り二体のシンセティクだ。」

ホテルの部屋のドアを開けると、空間がゆらゆらしている。鹿嶋が先に出て、橋宇土がついていくと、そこは見たことのない部屋の中だ。

あたりを見回し、

「おいおい」

「ああ、どこでもドアーだけど、そうどこでも行けるわけではない。ワープゲートと呼んでいる。」

パネルに向かった三人の女性の方に鹿嶋が行くと、

「シンセティックは見つかったか。」

「それらしいのは、現在越谷を北に移動しています。その先のMXメディカル役員魁(さきがけ)宅に入るのではと推定されます。」

「そのまま監視して、魁宅に入ったら、今晩決行する。よし隊員は、今晩20時にここに召集。22時まで武器点検。22時スポーツ文化公園第二駐車場に装甲車・移動トラックを配置、同22時にワープゲートをそこにつなげ。まだ15時だ。20時まで交代で休憩してくれ。3時間20分ずつ仮眠などして、徹夜に備えてくれ。」

 パネルに向かった女性がはいと答えて打ち合わせして二人が、ワープゲートから出て行った。


 「MX役員は全員逮捕だから、シンセティックはアセチルコリンを追加で接種できない、橋宇土君が遭遇した時より動きは鈍く、力も落ちてるだろう。」

隣のソファーの部屋に行ってドカッと座ると鹿嶋は言った。

 先に二人ソファーに座ってくつろいでいる。

「紹介しよう、小隊長の水野君、高橋君だ。こっちは新しく入った橋宇土君。今回のシンセティックの一体を倒した。」

「素手でか」

水野が聞く

「いや殺された警官の銃で」

「よく当たったな」

高橋が言う。

「海中で戦った。」

「あいつらは海中ではもっと凶暴に早い。」

水野が言う。

「銃を隠して後ろに向けて、背中から襲ってくるのを待っていたんだ。」

橋宇土が、鹿嶋が出してくれたウイスキーを一口飲みながら答える。

「速球にはバントで行け、という作戦、戦術だよ。」

鹿嶋がウイスキーを飲みこんで言う。

水野と高橋がうなづく。水野がソファーのひじ掛けのスイッチを動かすとウインドウのカーテンが開く。

「ずいぶん青空がまぶしいな。」

橋宇土が言うと、

「天に近いからな。」

橋宇土が立って窓の外を見ると驚きの光景で、都心の高層ビルの最上階になっている。

「レプどもは地下に潜るが、俺らは天から見下ろして成敗するのさ。」

高橋がいつの間にかウイスキーをやりながら捨て台詞のように言う。

「こんな場所彼らに見つかったりしないのか。」

「見れども見えずだよ。それにここにはワープゲートでしか入れない。」

水野が隣の部屋に向かい

「俺は汗流してサウナがいい。夜が楽しみだ。」

といって隣にの部屋に行く。高橋はいつのまにか寝ている。

「一応、我々の説明はこのモニターに2時間で立場組織武器の説明ビデオになっている。一杯やりながら見てくれ。飽きたらアスレチックなり、サウナなりのリラクゼーションして、腹ごしらえはそこで好みのボタンを押せばあたたまって出てくる。俺は寝る。」

といって鹿嶋は睡眠室に行った。橋宇土はビデオの説明する状況をみている。


 ビデオは画像とともにナレーターが説明する形で始まる。

「人類は赤色矮星ティアマットが地球に接近した時、その衛星の一つ青い星ニビルから、金を掘りに来たアヌンナキによって現地の類人猿と遺伝子工学により作り出された。」

 宇宙の画像とニビルと太陽系の関係、アヌンナキの石像、そして類人猿と現代人の映像が出る。

「それまでの類人猿や地上の恐竜たちは、アグハリアンという、ドラキュラやバンパイア、鬼の原形の星人たちによって飼育されていた牧場だったが、アグハリアンの星は銀河の回転差から遠くに去っていった。」

ドラキュラ・バンパイア・鬼の画像と銀河の回転差が内側の方が早いのを表示する。

「そしてアヌンナキと人類は時に生殖してギルガメッシュ王を生み出しアグハリアンを完全に追い払った。ニビルが地球から離れていくと、そのあとこの星は、人類の楽園だったが、ある日レプテリアンが下りてきて人々に権力と利益と暴力を教え込んだ。これがエデンの園の蛇だ。」

「最初はギルガメッシュのように人の先頭に立ち、人は寿命も1万年あった。しかし、レプテリアンは人のDNAにテロメアを入れ寿命を縮めて賢くなりすぎないようにした。そうして寿命の長いレプテリアンは知識と蓄財において人をしのぎそして、地上の支配者たちは権威と金、そして軍と警察を備えて統治し、戦争を繰り返した。その支配者たちは抗争の激しさ故レプテリアンに入れ替わっていった。」

この画像が流れ、

「レプテリアンたちは人類が殺しあうことに乗じて自分たちに必要なアドレノクロムとアセチルコリンを得るようになったが、人の脳にあるセロトニン、ドーパミンが彼らに人の喜びをもたらすことを知り、陰で人の脳も食べるようになっていった。そして6000年の間レプテリアンは地上を人間牧場として味わってきた。レプテリアンは対立、差別をあおって人の種族を分断して争わせる。餌が自分たちに向かってこないようにしている。その知恵は巧妙だ。」

「そんな人類を独立させるためにアヌンナキたちは、アブラハム以降聖者を送り続け、イエスキリスト、マホメットを送り続けた。アヌンナキは自分たちが建設した地上の文明に寄生するレプテリアンの排除を計画している。その始まりはニビルの青い星の接近に始まり、ティアマットの赤い星の出現で完成させる計画になっている。 

 一方、インドにはプロコニアンが干渉して目覚めと自立を促した。プロコニアンが地球に来る目的は神の意識に目覚めたものを、自分たちの世界の構成員とするためで、人をえさや資源目当てではないというところまでしか言えない。

 ほかに、様々の宇宙人が地球に迷い込んでいる。レプテリアンと戦うにあたって人と味方なのかどうかの関係を解説する。」

「アヌンナキと、シリウス星系に故郷を持つシリアン、ケンタウルス星系に故郷を持つケンターリアンは同一起源で人類と同じであり同盟できる。

 レプテリアンは前述のとおり人類を飼いならし食用を目的とする。銀家系で他の生命を食用として最も繁殖している種族である。

 グレイはレプテリアンと同盟し人類と交雑して強い生命体になろうとしたり、人体実験をしたり、信頼してはいけない。

 ジャノシアン、オリオン、ライラーン自国の星が崩壊または敗北して逃走している。

 プレイアディアンすばる星系からきている、高度な科学技術を持っている。

 セティアン エルフといわれる。

 ドワーフ  小人であるが科学技術はプレイアディアンと同程度に高い。

 アナク、ネフェリム 巨人族。友好的星人であるが、母星が離れており地上に残されたものも少なくなっている。

 シンセティック レプテリアンが作った改造人間、最悪の知能を持ったロボットといえる。ほぼ危険。

 ハイブリッド 異星間交雑種、グレイが主に作っている。要注意。

 アークトーリアン、プロコニアン 次元を超えた生命体。戦っても勝てない、失礼のないように。」

彼らの姿とともに一応の解説が終わる。

それからしばらくの休憩の時間をとる。夜になる。


 20時になった。すでに駐屯所内は40名の部隊が大部屋に武装して着席している。

5人の列が8列、先頭が小隊長と副小隊長、4小隊ごとに統制している。

 9列目に橋宇土が隊服を着て武装してたつ。

 鹿嶋が作戦を説明する。

「今回は、住宅地で隣との間が非常に近い。幸い豪邸で住宅の間隔はある程度あるが、前回の摩爾市のような炸裂弾、バズーカ、火炎放射器などは使えない。

ターゲットはこの家に逃げ込んだシンセティック2体だがこの一家全員がレプテリアンの可能性もある。したがって、まず最初にスズメバチ型ドローンを200機送り込みブラックライト・フラッシュで紫外線を浴びせレプテリアンか確認する。確認された段階でリアルタイムでそれぞれにデータを送る。

 水野、宍戸部隊は浮遊ドローンで空から下を撃て。横打ちすると隣の民家に飛ぶので必ず上から打ち下ろすようにしろ。高橋部隊はシンセティックがこの範囲を逃げ出した場合どこまでも追って仕留めろ。この場合木村副長隊も参加せよ。木村部隊副長隊は現場で走行車とトラックの運転木村隊長以下半分は橋宇土隊長とともに家族の子供がレプテリアンの場合、拘置所の役員・魁を射殺せよ。透視カメラと貫通弾を使用して、必達で最悪は犠牲拡大もやむを得ない。」

 説明が終わると隊員それぞれコップに飲み物を持ち、乾杯してしっばつする。

 ワープゲートが起動していて魁邸襲撃部隊がすべて出ていくと、ワープゲートの色が切り替わって真っ暗になりそこを抜けると拘置所の見える公園に6人が出る。公園の街灯に墨を発射して真っ暗にする。

 各人がサングラスのモニターで作戦の進行を見ている。中継モニタードローンが魁邸上空に20機停止して画像を送信している。魁邸の中が透視モニターで見える。魁のMXメディカル役員は拘留中なので妻と、息子夫婦と孫たちが3人映っている。シンセティックは客室に二人でこもって何か組み立てている。

 息子はパソコンモニターで何かを必死に見ている。息子の見ているパソコンモニターをハッキングして表示している。ニュースと警察の動きを検索また、海外の仲間と連絡会議をしている。

 こちらの共有モニターで鹿嶋が今のところ一家全員レプテリアンの可能性が高いな。全員体温が低い。人間なら病気だ。そちらも狙撃準備に入れ。シンセティックが組み立てているのはビームガンか光線銃かわからないが、ビームガンなら空気抵抗でそう飛ばない、防弾チョッキは役に立たないが、反射服を着ているのでやけど程度で済む。サングラスをつけろ、打たれる前に打て。

 準備完了部隊事報告。」

「宍戸部隊完了」

「水野部隊完了」

「高橋部隊完了」

「木村副隊完了」

公園で拘留所に向けて透視モニターをスイッチオンにしてみる。体温の低いのが何人かいる。

「31号室」

と木村が指定する。

橋宇土がスナイパーライフルをセットする。

「標的捕捉」

「木村隊完了」

そこで、鹿嶋が

「ドローン投入5秒前始め!」

と同時に、空中に浮いている隊員が魁邸の窓を撃って穴をあける。

ドローンが飛んでいき内部でレプテリアンのうめき声が聞こえてくる。シンセティックのいる部屋に集中射撃が始まる。


 同時に橋宇土も撃つ。一発目壁が厚くて貫通しなかった。二発目貫通して標的が倒れ、あたりの人が動き始めるのが見える。

村隊長が言う

「よし確認はいいヒットアンドアウエイだ。ゲートに入れ、物を落とすな。撤収。」

最後に橋宇土が公園の闇の中に浮かぶワープゲートを通って駐屯所に入ると、ゲートが閉じる。そしてゲートは熊谷第二駐車場につながる。

 女性事務員がフルに操作していろいろな情報を記録解析分配している。

 

「魁役員は退治、拘置所が非常事態になっています。」

指令室で女性が報告すると、

「成功」

と鹿嶋が応答。

「シンセティック二体破壊。」

「よし」

「ばばと妻、退治。」

「よし」

「子供3人地下室に入った模様、透視モニターから消えました。」

「息子レプが鎧をつけて武装して立てこもる模様」

報告が上がる。

「オリハルコンか」

鹿嶋が聞く

「いいえスペクトルからチタンです。」

「高橋隊逃亡はない、集中攻撃に参加して全員抹殺、急げもう2分経った。」

住宅の周りの家が電気をつけて外を見始める。装甲車部隊が白煙できりのようにあたりを隠している。


 橋宇土が木村を見る、うなづいてワープゲートを通る。そこから現場まで走り、透視モニターをセットして橋宇土が貫通弾ライフルをセットして照準を定める。

 息子は一人残り空に向けてレーザー銃を乱射している。空に浮いている仲間もシュウシユウと湯気を出しているのでやけどしているようだ。

 貫通弾が標的を貫通した先は大理石の彫刻だ。発射。

 大理石の彫刻が粉々になるがその先には弾は進んでいない。鎧を付けた息子は倒れる。木村隊は撤収する。

 空に浮いていた部隊が崩れかけた家の地下室入り口を見つけ、ブラック・先行弾で地下室に逃げた子レプテリアンを撃ちまくって退治合図する。

鹿嶋が

「よし、全部隊撤収。」

装甲車とトラックは走り去り、ドローン兵は次々とワープゲートに飛んできて帰っていった。


 駐屯所では、

「ああ、あのトカゲ、レーザーうちまくりやがってやけどひどい。」

「皮が剥けて服脱げない」

など大変な事態になっている。

「4分12秒 今回はてこずった。」

鹿嶋がみんなの前で報告する。

「とにかくやけどの治療と人工皮膚を塗って、応急手当だ。応急室から白い顔の男女不明の美形の医者が二人出てきて負傷者の治療が続いた。」

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