私の世界

@sh1posu

第1話

「私」はいつも朝が苦手だ。

最近は目覚まし時計というものはすっかりと廃れてしまい、耳障りな電子音に起こされる。

今日見た夢はなんだったかな。

無理矢理起こされ、まだぼーっとする。


2月のまだ肌に突き刺すような寒さの朝を「私」は布団で迎えた。


時計は6時30分。

また今日が始まる。




「私」の家族は

祖父、祖母、父、母の5人暮らしだ。

仲の良い弟は早くに家を出て家庭を持った。

私はまだこの箱に囚われている。


少し認知症入った祖父が何時かもわからないまま大きな声でテレビに話しかけている。

階段を降りながら「私」は

この人間は昨日も死ねなかったのか。と蔑んだ。

階段を降りきった時、祖母がのっそりと部屋から出るのが目に入る。

言葉も交わさず顔を洗って歯を磨き、「私」は駐車場の車まで一直線に駆けた。


駐車場から「私」の家が見える。


ゆっくりと目を瞑り、深いため息をつく。


「私」は何故この家に生まれて今も生きているのだろう。

瞼の中でグルグルと目が回り倒れそうになる。


はぁ....。


冬の空気に溶かすように深く白いため息をもう一度吐くと私は車を発進させた。

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