第47話大好きです(皇目線)

(やった!)


先輩のデートOKの返事に、私は心の中で思わずガッツポーズをしました。


嬉しい!


嬉しいです!


言ってみるものですね!


「嬉しいです! じゃあ、どこ行きますか? カラオケ、ボーリング、ゲームセンターでも……何なら私の家でも大丈夫です! 今日、お父さんもお母さんも仕事で居ないですし!」


私がそう提案すると、先輩は罰が悪そうに目線を少しだけ上の方に向けながら、


「いや、あの、そ、そうだな……皇の家以外ならどこでも……。家はちょいまずいだろ‥‥。後、ちょっと距離近……」


しどろもどろになる先輩。


「分かりました! じゃあ、全部行きましょう! 駅周りなら全部学校終わった後でも回れるはずです! 全部! 全部です!」


「お、おう。分かった。……じゃあ、放課後待ち合わせしてそのまま行くか」


「はい! 絶対ですよ」


先輩の気が変わらない内に、確実なものにしたくて、流れるように約束を取り付けました。


私が嬉しすぎて、有頂天になって舞い上がってると、先輩は言いにくそうに、


「……昨日のRINEさ……アレごめんな」


「いえ、全然私は気にしていませんよ。むしろ、昨日のアレがあったからこそ今こうして先輩は私とデートしてくれる気になったわけですし。私は結果オーライ主義何で、グッドです!」


先輩が言うアレとは、昨日の夜私に送ってきたRINEの返事の事です。


私が、既読無視する先輩に返事をして欲しくて送ったRINEの返事で、


『なあ、いきなりだけど明日俺とデートする笑?』


「ふええ?」


本当にいきなりすぎて、思わず変な声が漏れてしまいました。


私が1番先輩に言って欲しかった言葉。


嬉しさよりも戸惑いの方が大きかったです。


でも、少し冷静になるとすぐに違和感を感じました。


私に対してあんなに消極的な態度の先輩が急にこんな文を送ってくるのはおかしい。


それに、『笑』なんて言葉を絵文字付きで先輩が送ってくるのも変な感じがしました。


‥言ってしまったら悪いですが、先輩は『今見た』とか『了解』とかそんなぶっきらぼうでナンセンスなメッセージを送ってきたら御の字のイメージです。


そして、私は疑問をそのまま先輩に送りました。


『‥‥もしかして先輩、今誰か代筆していますか?』


それしか考えられないなと思って、返事を待っていると案の定先輩から、


『ごめん皇。妹が勝手に送った。』


そして続け様に、妹の紅葉さんから、


『すご、なんで分かるのw

ちょっと怖いんだけどw

ま、でもお兄がデートなんて誘う度胸もないからその辺?

てか、皇さん、うちのお兄のこと好きだったんだwマジで意外ww

うちのお兄、全然モテないし、恋愛経験もないから、皇さんとデートの一つや二つ積んで練習積めば良いかなーと思って私が代わりに送っちゃった( ´Д`)y━・~~善かれと思ってやったんだけど、むかついたらマジごめーん』


先輩とは対照的な長文。


私はノータイムで打ち返していました。



『はい、紅葉さんが先輩を好きなぐらい私も先輩の事大好きですよ笑』




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