第43話大胆な子
☆★☆
「……んじゃ、行ってきまーす」
「ママ、行ってくるね!」
「……はーい、二人とも。気をつけていってらっしゃい。……母さんは、お腹も一杯になったから今から紅葉ちゃんが敷いてくれた布団で寝るぅ…」
「……」
玄関先。
わざわざ見送りに、目をゴシゴシとこすりながら後を付いてきた母さん。
ふらり、ふらふら。
不規則に身体を揺らして、今にもその場で崩れ落ちて爆睡しそうな雰囲気だ。
ついさっきまで小学生並みにキャッキャとはしゃぎすぎた反動が、モロに出てやがる……。
さっきの……あの…。
あー思い出したくもねぇ……。
そう思いつつ、俺は玄関ドアを開け、母さんに見送られながら紅葉と学校に向かった。
☆★☆
「お兄ね、皇さんって私と同い年の子にこの前告られて、そのまま付き合ってるんだよ、ママ」
あの後、何とか打開策を捻りだそうとしたのに、その前にもはや毎度(?)の事ながら、紅葉が母さんに
「えー―――うっそぉぉ!? ミッ君、彼女出来たんだ!! 誰々? どんな子なの? 可愛いの? 写真は? ねぇ、母さんに見せて見せて!」
「ねーよ。……つーか彼女じゃねーし。まだ付き合っても……」
「ママ、この子だよ。私、昨日お兄のスマホからとったから」
「は? 紅葉? おま……いつの間に……」
——制止する間もなく、紅葉のスマホは母さんの手に渡り、すぐに、昨日の皇が俺に送ってきたあの数々の写真が母さんの目に触れることになり――、
「キャー―!! 何この子? ……だ、だいたーん!! 黒ビキニ姿送ってくるなんてすごい子ね……!! でもめちゃくちゃ元気で明るそうな子じゃない!? やったね! ミックン。こんな色っぽい彼女出来て!」
「そうだよ? お兄? 大事にしないとね! 今日の放課後の初デート頑張ってね」
「……うっせぇ。俺、もう制服着替えたらさっさと学校に行くから」
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