第10話 草食系男子の、勇気。
それからは毎日砂鉄採集だ。
ざっくざっくざっくざっく。
砂鉄用ストレージに砂鉄が溜まっていく。
アタシの過去の話も、やっぱり
作業中に魔物や野生動物に襲われた出くわすってことも今のところはない。
ただ、
トリの姿をしてるくせに夜目が利くっつーのが嫌らしいんだよな。
アタシが剣で応戦して全て倒したが、
でも、この世界じゃ、どんな怪我でも軟膏塗って体力回復させれば治る。
「おい、大丈夫か、
翌朝すっかり怪我は良くなった
怪我は良くなっていても心は別だ。
あれだけ突かれ
「怪我はすっかり治ったけどよ、
「……痛いし不快でしたけど、自分の不注意ですから……」
「まあ、魚の骨出して食べるんなら、地面深くに埋めちまった方が良かったかもな。これからは気をつけな」
意外にもそんなに恐怖が刷り込まれたって訳じゃなさそうだ。
まあ良かった。
「そういやあよ、オマエの秘技『鬼逆撫で』って発動しなかったのか? あれジェニーの締め付けに耐えるくらいだからよ、
「……一応、相手を逆撫でするつもりで声出してたんですけど……人相手じゃないと駄目なんでしょうか……」
「おいおい、あの『ちきしょう!コイや~!』ってのがそれかぁ? まあオマエにしちゃ勇ましい方かも知れねえけどよ、『ちきしょう!』は止めとけ。何か弱い奴が必死んなってる感じが凄えからよ。
ほんじゃ、今日も砂鉄採集ガッツリやんぞ」
まあそんな感じで、襲撃されたのは一度だけで、比較的穏やかに今回の砂鉄採集は切り上げられそうだ。
だいたい
襲撃されてもそう簡単にやられるなんてことはない。
そんな訳で砂鉄採集も29日目の朝、明日の朝には浜にゲンク爺さんが迎えに来る。ガッツリ採集できるのは今日が最後だ。
今回は
「
「……砂鉄ストレージに3分の1くらいです……」
「おう、初めてにしちゃ十分だな。ほんじゃ明日帰ったら『製鉄』教えてやるからよ、ちっとでも多く鉄のインゴット作れるように今日一日気合い入れて採集しろよ」
「……はい」
アタシと
「今日明日で焼魚生活もお終いだからな。オマエはしっかり料理したモンが好きみてーだから、ようやく帰れて嬉しいだろ?」
「……そうですね……でも、これはこれで楽しかったし美味しかったです」
「そっか。なら良かったよ。
でも余った魚は骸骨ジェイクに売っぱらうからよ、帰っても骸骨亭に行ったら魚中心ってことは変わんねーけどな」
アタシはそう言うと立ち上がり、
実はあの夜以来、
最初は大笑いを堪えるのがホント大変だったが、
さっきみたいな会話しながらニヤニヤ笑い程度で済ませられるようになった。
当然今
今日は大作って程でもないが、両ほっぺたにウズマキ模様、目の上にはクッキリまつげを描いて
明日はゲンク爺さんに、どんな
砂鉄採集最終日ということもあり、アタシも
鉄のインゴット10本で剣1本を打てる。
生活刃物や鍋釜だと大きさによって違うがインゴット1本から5本まで使う。
今回の砂鉄採集で、しばらく打つ分の鉄は十分賄えるだろう。
帰って
そんなことを考えながら砂鉄採集していると、気が付けば森の木の影に太陽が隠れる頃合いになった。もうあと僅かで日が沈む。
突然、森の中からアタシたちの前に男が3人現れた。
「おおっと、こんな人のいない離島に男女が二人っきりかい? 危ない危ない」
「悪い奴らに見つかったらどうすんの~?」
「へへっ、良く見りゃ女の方はなかなか可愛い顔してんじゃ~ん」
「……な、何ですか、ぼ、僕達はただ砂鉄採集しているだだだだけですよ!」
アタシが男達を一喝しようとする前に、
声が震えてなけりゃカッコイイかも知れねえな。
ってか、その顔じゃ何言っても決まりゃしねーんだけどよ。
「オイオイ、兄ちゃん、何だよその顔笑わそうとしてんのかァ?」
「何だよほっぺたにウズマキ描いてよ、真ん中当てりゃあ景品くれんのかァ?」
「パッチリお目目に涙
コイツ炭が全然汗で流れてねえでやんの。
朝の顔のまんまだもんな。
「オイ、
でも3人程度だったらアタシ一人でも十分だ。
オマエはアタシの後ろに隠れてろ」
アタシはそう言うと同時に
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