第11話 イケダ・ブランディング
「うーん」
まず間違いなく、ここでポイントの振り方を失敗すると詰む。池田の大冒険GAMEOVERとなる。
まずは何が必要か。単純な力か、それともふぁんたじー代表の魔法か。
もちろん、情報だな。
ポイントを振るための情報が欲しい。ということで、スキル:ステータスをもう少しだけ上げてみよう。
はい!はい!ステータス、もうちょっと詳細に!はい!
ピコン。
【パーソナル】
名前:池田貴志
職業:リーマン
種族:人間族
年齢:26歳
性別:男
性格:ハト派
【ステータス】
レベル:1
HP:10/10
MP:50/50
攻撃力:2
防御力:3
回避力:2
魔法力:4
抵抗力:4
器用:3
運:7
初期ステータスポイント:1000
【スキル】
ステータス:4
スキルポイント:96
「おお」
やはり強く願うことによってポイントを振ることが出来る模様。このあたりは大雑把である。
しかしその効果は微妙だ。スキルポイントを3消費して、パーソナルな部分しか追加されてない。
どうしよう。
もう少しステータススキルを上げてもいいが、ステータスポイントも振ってみたい。
「…………」
よし、使ってみよう。
先人のゲームを参考にすればHP・MP系とそれ以外系で数値の上昇数が違うはずだ。それぞれの系統に1ずつ振ってみよう。
HPと攻撃力。HPと攻撃力。HPと攻撃力。HPと攻撃力。HPと攻撃力。HPと攻撃力。
ピコン。
【パーソナル】
名前:池田貴志
職業:リーマン
種族:人間族
年齢:26歳
性別:男
性格:右翼
【ステータス】
レベル:1
HP:30/30
MP:50/50
攻撃力:22
防御力:3
回避力:2
魔法力:4
抵抗力:4
器用:3
運:7
初期ステータスポイント:996
【スキル】
ステータス:4
スキルポイント:96
狙い通りHPと攻撃力が上がった模様。
しかしながら値の増加数は同様だった。押しなべて1ポイントにつき10ステータス上がるようだ。
それとポイントの振り方が難しい。今も1ポイントずつ振ろうとしたのに2ポイントずつ振ってしまった。非常にセンシティブな仕様のようだ。気を付ける必要がある。
さて、とりあえずポイント振りのチュートリアルはこんな感じだろう。
ここからが本番だ。どのように余ったポイントを振るか。
うん。
ちょっと悩もう。
シンキングタイム。
★★★★
2日後。
優柔不断の権化と言われる所以がここにある。まさかシンキングに48時間も費やすとは思わなかった。ただその甲斐もあって方針は定まった。
とりあえず盲目状態を解消するスキルを手に入れる。
この2日間は地獄のようだった。眼が見えないのがここまで辛いとは思わなかった。まず1人で何もできない。俺が何かしら行動するときは絶えずセレス様に介護をしてもらった。申し訳なさMAX。
あとすごい不安になる。景色がずっと黒いから。セレス様がいなければ発狂していただろう。先天性の人はどうか分からないが、少なくとも後天的に失明した人はよく生活できていると思う。俺は限界だ。ゆえにまずは視力を回復する。
次。攻撃魔法系のスキルを手に入れる。
セレス様の言動から察するに、この世界では魔物の存在が一般化している。つまりどの場所に行こうが戦いを避けるのは難しいということだ。それでなくても慣れない異世界、何時どんな危険が迫るか分からない。帰するに何らかの防衛手段は必要だろう。
一瞬、近接戦闘も考えたが性根がビビりなので魔法系のスキルにしようと思う。
必須スキルは以上2つ。もしスキルポイントが余った場合は後にとっておく。今は他に思い付かない。
ステータスは防御力、魔法力、抵抗力を上げる。
やはり死なないことが一番ということで防御力、抵抗力。そして魔法を使うので魔法力。安直ではあるが間違いではないだろう。めちゃめちゃ弱腰感が出てるのはご愛敬だ。
こんな感じで。早速いってみよう。
場所は変わらずセレス家。家主は狩猟に出ている。無手で狩りに行くとは時代の移り変わりが激しい。魔法文明様様だ。
「よし」
集中しよう。ポイント振りを間違えたら終わりだ。
くったくたの敷布団上で座禅を組み思考をクリアにする。まず思い浮かべるは回復魔法。盲目を解消する魔法と言えばこれしかない。お前だけが頼りだ。
行くぜ。
「ふぅ…………」
回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復回復
ピコン。
【パーソナル】
名前:池田貴志
職業:リーマン
種族:人間族
年齢:26歳
性別:男
性格:穏健派
【ステータス】
レベル:1
HP:30/30
MP:50/50
攻撃力:22
防御力:3
回避力:2
魔法力:4
抵抗力:4
器用:3
運:7
初期ステータスポイント:996
【スキル】
ステータス:4
回復魔法:10
スキルポイント:86
「おお……」
きたこれ。上等。
「やったよぉ」
注文通り回復魔法が誕生した。しかも10ポイントという絶妙な数字。3度目のステータス振りでこのバランス感覚、今ならイライラ棒も突破できるかもしれない。
これなら盲目状態も解消できそうである。
早速使ってみるか。
「…………」
どのようにして使用するのだろう。ステータススキルのように強く想えばいいのだろうか。
それしか思いつかんな。ほれ。
「回復魔法ぅぅ!こい!」
と叫んだ直後。ブオンという音と共に己が身体に変化が現れた。
「ん?」
あ。
なんか。
目が見えないゆえどのようなエフェクトが形成されたか不明だが、回復魔法がかかった、気がする。
身体の疲れが癒えた。
セレス家の壁にぶつけて打撲した足の痛みが引いた。
目が見えない。
目が見えない。
「…………………」
10ポイントでは足りないというのかダークワールド。何という大食漢だろう。
これは厄介だ。どうする。
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