第9話【イジメを受けてる女の子、助けてくれない?】
「俺、『戦う相手はこの世のあらゆる不正義だ』って言ったよね、実は戦う相手ってイジメなんだ」そう皆に告げた。「どう? 不正義でしょ?」とも。
「誰がイジメを受けているのだ?」僧兵がまず口火を切り訊いてきた。
「俺の従妹。庭園雨穂(ていえん・あめほ)っていうんだ」
「なるほど、よほど悪どい奴らと見える。対抗するにはこちら側も手練れを集める必要があったというわけですね」と美少女ちゃん。
「いやいや、討ち入りするわけじゃないから! だいたい雨穂ちゃん小四だし」
「相手は小学生なのか⁉」と候補。
「
「そうではない。我々が10歳ならそれこそ敵を完膚無きまでに叩きつぶせばいいだけだが既にそこは過ぎた。この現状で敵が10歳では話しにならん。そんな者をこの六人で攻撃したらこちらが不正義になる」
今のでずいぶん〝人となり〟が解るよね。いい意味でも悪い意味でも。女子をイジメる相手には確実に女子もまじっていると思うけど全然容赦が無さそう。でも明快な基準を元に敵と味方を峻別するその感覚、嫌いじゃない。
「私が思うにソレはとても難しいことです」と、言った通りの難しい顔でライフルちゃんが発言した。
おっ、いいよね。〝無口〟を心配してたんだ。
「だろう?」候補が〝やはりお前もそう思うか〟と言わんばかりに口にした。
だがライフルちゃんの発言は好ましくても候補に仕切られるのはヨシとはしない。
「思うところ、どんどん言ってみてよ」そう俺も口にした。
「その相手を全て撃つ事ができれば目的は達成可能だが……」終いの方は語尾が消え入った。
いやいや、そういうの最後まで言ってよね。たぶん『そんなことはできない』って言おうとしてたと思うんだけど、その〝撃つ〟って『暗殺』って意味になっていたから!
「それは教師には言ったのか?」僧兵がまた外見に似合わず極めてまともな事を訊いてくる。イライラするほどまともな事を。
「
「わたくしが思うにそれは先生に〝怖さ〟が足りないからでしょう」
いや、美少女ちゃん、怖さは誰にでもにじみ出るもんじゃないのよ。
「貴様には腹案があるのか?」候補が訊いてきた。
フッ、あたぼーよぉ。
「それより前にその雨穂ちゃんって子、助けて欲しいのかな?……」銀髪クンの唐突な発言に、しようと思ってた話の腰を折られた。ここらあたり説明が必要だよな。
「イジメが行われているって事を解ってるって事は両親には言ってあるわけ。これってSOSのサインは出ているって事でしょ?」
「ごめん、舌足らずだった。僕らに助けて欲しいのかな?」銀髪クンが再度発言した。
……言われて初めて気がついた。俺はイケメン達を集めたつもりだが小学生から見たら異形の男どもにしか見えねぇ。つーか俺でも見える時がある。僧兵、候補、銀髪クンは純粋に着てる物がヘンだし、ライフルちゃんは下手すりゃホームレスに見える。唯一まともそうな出で立ちが美少女ちゃんってのが……髪型ポニテなのになにせ女じゃないからね。
「じゃあこうしよう。明日みんなで雨穂ちゃんに会ってもらう。それで雨穂ちゃんに決めてもらおうって事で」
俺の提案に一同が同意してくれた。なんか仕切ってるって実感する。
「よしっ、なんか採ろうぜ」さらに俺が提案する。やっぱりみんな腹は減る。またも一同同意してくれた。
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