第2話 海についたよ
あの電話の後はっきり断れなくて結局清と兄の清和、三人車で海へ向かっている。車のことはあまりわからないがコンパクトカーで人気の車種らしい。初心者マークが目を引く。
清和は、あまり清とは似ていなかった。大学に入ってはっちゃけたと笑って長髪の髪をかき上げるときに、うなじの白さに目がいく。
「よろしくね。清の彼女さん」
その言葉に焦って「私たち、そういうんじゃないです」とむきになった自分がいた。
男二人が前座席で私は後部座席。気をつかったのだろうか。
しかし相変わらず無口な清と、やっぱり性格は似ているのか清和も無口だった。車中一人で喋っているような気がしないでもない。
「清和さんは、彼女はいないんですか」の質問に一瞬場が静まった?!気がしたが、今までほとんどしゃべらなかった清が「こいつ、こんなんだけど意外ともてるんだぜ」なあと清和に合図を送る。
合間に食事タイムをはさんだりして時間が経つうちに、少しずつ会話が弾むとまではいかないがお互いに慣れてきていた。2時間近くが経って、見慣れた住宅街が次々と後方においやられてポツンポツンと少なくなってきた景色。さびれた港町に入ったころ、海や水平線が見え隠れして期待通りに海の景色が全開になってきていた。どこまでも広くグラデーションの青の反射に目が痛くなるほど。
堤防づたいに車を止めて降りる。
「海だあー。潮の香りがさいこう」「ああー今日は兄貴に命預けたけど、よかった無事でー」
「うう」
「ん?」感激のあまりに、兄がないている?
「家の兄貴、感激やなんだよ。海久しぶりだしね」
「ううっ」むせびなくように嗚咽が聞こえる。
大げさね。たかが海じゃない。でも、この潮の香りと水面が反射している様子は感激もの。
堤防から、砂浜に降りて三人とも歩きだす。
「何年かぶりの海だから、嬉しい」
「俺たちイケメンに囲まれて余計にな」
「ぷっ、誰がイケメンよ」
「泣き虫の運転手さん、お疲れ様ーです」といいながら、水辺に走っていき水をかける。
清「おい、何がお疲れさまだよー」
清和「眠いの抑えるのが大変だったよー」
清「さっき、泣いてなかったか?」
果歩「涙は~心の~汗だ」と、ひどい音程で歌う。
解放感からか3人共、リラックスしていて互いに海水をかけあう。
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