海に誘われて

クースケ

第1話 デートの誘い?

私は秋元果歩

性格上人見知りすることがなく

自他ともに認める明るい性格だったからコンビニ

向きだと思いバイトを始めた。それも3年経った。

「いらっしゃいませ~」

ハキハキと明るい挨拶をする私を横目に

ボソボソと話かける男性がいた。


相変わらず声が小さすぎて私の耳にはうまく届かない。


「ハハッ、おはよう」と愛想笑いで返す

その男性は榎本 清といい

挨拶のほかにろくに会話らしい

会話をした事はなかった。

シフトの関係上数時間しか会わないという理由もあるけど・・


今日は珍しくシフトがかぶり、忙しさに追われそうこうしている間に

客足が途絶えた店内。先に休憩に行った店長と交代で2人して休憩をもらう。

BGMだけが流れる休憩室。

この雰囲気我慢できずに話を振るが

ふーん と、そうなんだぁ の 二種類しか返ってこない。

しかもこの日に限って二人しかいない。

(なんなんだ~~)

この、やり場のない空気


それは風景写真。はっきりとした緑の木々や田園地帯がどこまでも広がっている。

そして、あるページで手が止まった。広大な海の景色だ。

いつまでも沈黙に耐えられなくてつい話しかける。


「海が好きなの?」


「そう、魚になりたいくらいに」

えっ、返事が返ったことと意外な返事に言葉を選んでいると、

「俺、生まれ変わるまえは、マグロだったから」

「へっ?」

「あははははっは」

からかわれた?顔がほてって、次の言葉が出なかった。それでも好きなものがわかったことと、笑った顔が印象に残った。

その日を機会に少しずつ、話ができるようになった。


そして、それから2カ月がたったころにはメールや携帯の番号を

やり取りをするようになった。


この日も苦手かもの…の発信者名とともに、テンション低めの音が鳴り響く。


ゆっくりとじらしたようにスマホを手に取る。

「はい」

「おれだけど」清の淡々とした声。

「おれおれ詐欺かよ。」

ぷわーと吹き出してから「人が悪いなあ。明日給料出るだろう。海行かないか?」

と言葉みじかめに喋る。

こ、こ、これはもしかしてデート?少しドキドキしながら。

「おれの兄貴が免許取り立てでさ。友達誘えって言われておまえの顔が浮かんだんだ。感謝しろよ」

「なんだーそういうこと、お兄さんがいたんだね。免許とりたてって?まだ死にたくないしー」

友達かあ。何だかその言葉に引っかかった自分に少し焦った。何を期待していたのだろう。それとなんで感謝しないといけないわけ?

「まあ、野郎だけでいってもつまらないから。考えておいて」

えっ?もう切れた。信じられない他にいうことないの?


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