〈閑話〉某乙女の要求


銀髪の彼女が私の名前を呼んだとき。



あの一瞬だけだった。


あの一瞬、辛そうなその伏せられた緑の目とかちあいながら私は名前を呼ばれた。


ほんの刹那。


なのに何故か全身がゾワっとした。



歓喜?


そんなはずはない。


アレがそんな喜ばしい感情なはずがない。



これは嫌悪感だ。




彼女に名前を呼ばれたときに全身をすぐに清めたくなるほどの嫌悪感を覚えた。


もしかしたら罰かもしれない。彼女の隣に立つ『あの人』が’’おともだち’’でもいいかなって思ってしまったから。


’’おともだち’’は特別なのに。



反省なら今いっぱいしているけど、それでも治まらない。


『気持ち悪いの』がだんだん溜まっていく。





__ああ、あの子なら清められるかも。






ッ!!


ダメダメダメっっっ!!


あの子はおともだちになるこなんだよ!!



そんな‥‥‥!!そんな、あの子の血を全身で浴びてこの嫌悪感を清めたいとか!!




’’おともだち’’にはこんな感情、必要ない!!


でも、一滴ぐらい‥‥‥。


その考えに至る自分に手の震えが止まらない。



だめだよ。’’おともだち’’とはちゃんと遊ばないと。


そうしてやっと『親友』になれるんだから。







そうだよね?




さあ、遊ぶ用意は、もうできた?





ね?エリースちゃん?

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