〈幕間〉某少女の覚書2〜Real I'm not born yet〜

 まずは私の一番最初の記憶について書こう。


 色々憶えているから、どれが一番最初かなんてはわからないけど‥‥‥。


 でも、きっと一番キラキラ輝いた純粋で白いものだろう。



 それならあのときかもしれない。




 私には生まれつき魔術の才能があったらしい。


 そんな魔術の才能を母に見せた時。



 そう、あのときが一番輝いていた気がする。


 母の誕生日に水滴を操ってうさぎの形に象り、氷にしたものを母にあげたとき。


 これだ。





 そのときの私は自分がこういったことをできることは知っていたけど、母へのサプライズで母の誕生日まで黙っていたのだ。



 母はそれを本気で祝ってくれた。


「ありがとう!! あなたは天才よ!! 最高の贈り物よ!! ‥‥‥生まれてきてくれてありがとう。」


 と喜んでくれた。そして私を固く抱きしめた。そのため母の表情を詳しくは知ることが出来なかったが私の肩がびっしょりと濡れていたため‥‥‥、まあ、そういうことだ。



 私は母のあまりの喜びように嬉しくなった。



 片親で育ててくれた母に負い目を感じていた。母が毎日険しい目で私を見ていたのは分かっていた。私が生まれてきて良かったのかずっと考えていた。



 でも、私は祝福されていたんだ。私は生まれてきてよかったんだ。



 そう思うと‥‥‥、暖かいものが胸に広まった。


 お母さんに認められた。





 __もっと。



 もっともっともっとお母さんに褒められたい。お母さんに楽させてあげたい。お母さんに認められたい!!


 もっともっともっと!!



 私は渇望の赴くままに魔術の腕を磨いた。


 母に認められたい一心で。




 それが一番キラキラしていた。


 ぜんぶが輝いて‥‥‥、眩しかった。



 でも、こうやって書いていると母は‥‥‥。




 いや、これはやめておこう。




 大事なのは『私』を思い出すことだ。


 はるか昔からぶれが生じている『私』を。




『私』を思い出さなきゃ。



『私』が『私』であるために。

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